

昨年11月末頃から腰痛に悩まされるようになり、次第に腰だけでなく、左のお尻からふくらはぎにかけて痛みやしびれを感じるようになっていた。
腰には常に痛みがあり、左のお尻にはズキズキとした痛み、ふくらはぎにはビリビリとしたしびれを感じていた。特に身体を前に曲げる動作や、朝起きてからしばらくの間は症状が強く、日常生活の中でも腰や足を気にしながら過ごすことが増えていた。
仕事は農業が中心で、繁忙期になるとなかなか自分の身体をケアする時間を取ることができなかった。痛みやしびれがあっても仕事を休むわけにはいかず、我慢しながら日々の作業を続けていた。
「この腰痛とは、これからもずっと付き合っていくしかないのか」
そう思う一方で、このまま痛みを我慢し続けるのではなく、何か根本的に身体を変えていく方法はないかと探していた。
そんな中、当院のホームページにたどり着く。
農作業が比較的落ち着く冬の間に、できるだけ身体を良い状態にしておきたい。そして、これからも仕事や家事を続けていくために、腰や足の症状に不安を感じることなく動ける身体にしたいという思いが強くなっていった。
「冬の時間が取れる今のうちに、しっかり身体と向き合いたい」
そう考え、当院への来院に至った。
下部頸椎棘突起スポンジ状の浮腫
背部から腰部にかけての起立筋の過緊張
右仙腸関節の可動制限
初診時の検査では、右仙腸関節の可動制限、右腰部起立筋の過緊張、が確認された。
レントゲン評価では、腰椎側面像においてもD4レベルと椎間板への負担がかかり続けてる状態であると確認された。
これらの検査所見から、初期集中期では週2回のカイロプラクティックケアを提案し、週2回のケアから開始した。
2週目(4回目のアジャストメント)
右仙腸関節の可動制限が改善してきているが右仙腸関節周囲の浮腫や可動制限はまだ確認された。本人からも腰の痛み左の下肢に出ていた坐骨神経痛の痛みが不思議とほとんど気にならなくなったとのこと。
5週目(9回目のアジャストメント)
右仙腸関節部の浮腫感、可動制限も軽減して日常生活動作において左殿部からふくらはぎの痛みはほぼ消失し不安もなくいなってきた。日常生活での痛みもほぼ気にならなくなり、良好な経過のため2週間に1回のケアに変更した。
14週目(12回目のアジャストメント)
右仙腸関節周囲にみられていた可動制限は、ほとんど確認されなくなった。骨盤部の可動性が安定してきたことで腰部への負担が少なくなり、果物の出荷作業で重い荷物を持つ作業も痛みなく仕事が出来るようになった。現在は左臀部およびふくらはぎに残っていた痛みはほぼ消失し、日常生活および仕事を送れる状態となった。
本症例における坐骨神経痛は、L5/S1椎間板の慢性的な変性に加え、左仙腸関節の機能低下が長期間持続し、腰仙部に継続的な負荷が加わっていたことが関与していたと考えられる。
レントゲン評価では、L5/S1椎間板にD4レベルの変性が認められた。また、右仙腸関節には可動制限と浮腫、左臀部には熱感が確認された。仙腸関節の機能低下が持続することで、腰椎や椎間板、周囲組織に偏った負担が加わり、左臀部から下肢にかけての痛みやしびれにつながっていた可能性が考えられる。
さらに、胸椎部のディッシングや頸椎前弯カーブの減少もみられたことから、長期間にわたる身体の補正が脊柱全体に及んでいたと考えられる。加えて、長時間の立ち仕事重量物を持つなど、農作業による反復的な負荷も、腰仙部へのストレスを増大させる一因となっていた可能性がある。
身体の土台となる仙腸関節を中心に必要な部位へのアジャストメントを行い、継続するにつれて、仙腸関節周囲の浮腫や可動制限に変化がみられ、それに伴って左下肢の痛みやしびれも軽減していった。
本症例では、L5/S1にD4レベルの慢性的な椎間板変性が存在していたにもかかわらず、坐骨神経痛や日常生活動作に変化がみられた。この経過から、画像上の椎間板変性だけで症状を捉えるのではなく、その背景にある骨盤や脊柱、神経機能を含めて身体全体を評価することが重要であると考えられた。慢性的な変性を伴う症例においても、サブラクセーションに対し、必要な部位へ適切なアジャストメントを行うことで、身体が本来持つ適応力や回復力を発揮しやすい状態へ導くことの重要性を感じた症例であった。


執筆者ルミナカイロプラクティック北野 大輔