

首も自由に動かせるようになり、海外出張も安心して行けるようになりました!
以前から慢性的な首の痛みと肩こりに悩まされていた。特に右側の首から肩にかけて突っ張るような感覚があり、疲労が蓄積したときや長時間同じ姿勢で過ごした後には、痛みや違和感が強くなることがあった。
仕事では海外出張も多く、長時間の飛行機移動や慣れない環境での仕事が続くことも珍しくなかった。特に飛行機の座席で長時間同じ姿勢を取り続けた後には、首から肩にかけての筋肉が強く張り、疲労が蓄積するほど首の痛みを感じやすくなっていた。
首の動かしにくさも以前から感じており、約20年前には病院で首のレントゲン検査を受け、首の骨の間隔が狭くなっていると説明されたこともあった。
以前住んでいた地域では、カイロプラクティック院へ月に1回ほど通っており、定期的にケアを受けることで首や肩の状態は比較的安定していた。しかし、転居をきっかけにそれまで通っていた治療院へ通うことが難しくなり、次第に首の痛みや肩こりを感じる機会が増えていった。
最近では、首を右側へ倒したり、右後方を振り向いたりする際に、右側の首筋が強く突っ張るようになっていた。上下に動かすことはそれほど苦痛ではなかったものの、右側へ倒す動作では明らかな可動域制限を感じており、日常生活の何気ない動作でも首の痛みが気になるようになっていた。
約2か月前からは、これまでの慢性的な首の痛みに加えて、右腕に痺れを感じるようになった。特に首を右側へ倒した際には、首の痛みだけではなく右腕にも強い痺れが走るようになり、首を動かすこと自体に不安を感じるようになっていた。
それまでは右側の首や肩の筋肉が張るような感覚が中心だったため、右腕にまで痺れが現れるようになったことに強い恐怖を感じた。「もしかすると脳に何か異常があるのではないか」と心配になり、病院でMRI検査なども受けたが、検査では特に異常は認められなかった。
この頃には、右肩甲骨周辺にも痛みや違和感があった。腕を上げること自体はできるものの、肩を動かすと右肩甲骨周辺に違和感があり、寝返りを打った際に右側へ体重が掛かると痛みを感じることもあった。
転居後は以前のように定期的なカイロプラクティックケアを受ける機会がなくなり、仕事の忙しさも重なって、首や肩の不調を抱えながら仕事を続ける日々が増えていた。
病院で検査を受けても異常が見つからず、右腕の痺れも続いていたことから、「このまま痺れが強くなってしまうのではないか」「以前のように首を自由に動かせる状態に戻れるのだろうか」と、将来への不安が次第に大きくなっていった。
以前からカイロプラクティックを受けることで身体が楽になった経験があったため、転居先でも安心して身体を任せられるカイロプラクティック院を探すことにした。そこで、藤沢駅周辺のカイロプラクティック院をインターネットで探していたところ、駅からすぐ近くにある当院のホームページを見つけた。
ホームページには慢性的な首の痛みだけではなく、腕の痺れについても詳しく書かれており、症状だけではなく根本原因にアプローチするという考え方にも共感した。これまで長年悩まされてきた首の痛みと、新たに現れた右腕の痺れを根本から改善したいと思い、当院に来院された。
頸部全体の過緊張
頸部右側屈の極端な可動域制限
隆椎周辺の浮腫感と熱感
初診時の状態では、下部頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また隆椎周辺と左上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頸部全体と腰部起立筋は過緊張の状態であった。
レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。
初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事が多忙で海外出張も多く、週1回の来院も難しい状況でケアを開始した。
9週目(3回目のアジャストメント)には、慢性的に感じていた首の痛みや肩こりに少しずつ変化がみられ始めた。特に右側の首から肩にかけての強い突っ張り感が以前よりも軽減し、首を動かした際の痛みも和らいできた。一方で、首を右側へ倒した際には右腕に痺れが出ることもあり、右肩甲骨周辺の痛みも残っていた。
21週目(6回目のアジャストメント)には、首の可動域が徐々に改善し、以前は強い突っ張りを感じていた右側屈や右後方を振り向く動作も楽になってきた。慢性的な肩こりも軽減し、仕事中に首や肩の状態を気にする時間が少なくなっていた。また、右腕の痺れも以前ほど強く現れなくなり、首を動かすことへの不安が少しずつ薄れてきた。右肩甲骨周辺の痛みも軽減し、寝返りを打った際の不快感が以前よりも少なくなっていた。
28週目(8回目のアジャストメント)には、長年悩まされていた首の痛みや肩こりは大きく改善し、日常生活ではほとんど気にならない時間が増えていた。首を右側へ倒した際に現れていた右腕の痺れもほとんど感じなくなり、以前のように首を動かすことを怖がることもなくなっていた。右肩甲骨周辺の痛みについても、腕を上げる動作や寝返りの際に痛みを感じることが少なくなり、身体を動かしやすくなっていた。
45週目(11回目のアジャストメント)には、慢性的な首の痛みや肩こりはほとんど気にならなくなり、首を右側へ倒したり、右後方を振り向いたりする動作もスムーズに行えるようになっていた。特に、来院当初に強い不安を感じていた右腕の痺れはほとんど現れなくなり、右肩甲骨周辺の痛みも落ち着いていた。仕事や日常生活でも首や肩の状態を気にすることが少なくなり、以前のように安心して身体を動かせるようになっていた。
現在も海外出張が多く、仕事の都合によってケア間隔が空いてしまうこともあるが、長時間の飛行機移動や多忙な仕事の中でも、以前のように首や肩の不調を気にすることなく快適に過ごせるようになった。良好な身体の状態を維持するため、帰国後や仕事の合間に時間を調整しながら、定期的なカイロプラクティックケアを継続している。
今回の慢性的な首の痛みと右腕の痺れには、下部頸椎における神経への負担が関係していたと考えられる。また、右肩甲骨周辺の痛みや慢性的な肩こりについても、頸椎の機能的な問題が影響していた可能性がある。
頸椎から出る神経は、首だけではなく肩や腕、手指などの感覚や運動にも深く関係している。特に下部頸椎から出る神経は腕神経叢を形成し、肩から腕、手指へと広がっている。そのため、頸椎周辺で神経が刺激されると、首の痛みだけではなく、肩や腕に痛みや痺れが現れることがある。
また、肩甲骨周辺の痛みについても、必ずしも肩甲骨周辺の筋肉そのものに原因があるとは限らない。頸椎に由来する関連痛として肩甲骨周辺に痛みが現れることもあれば、神経への刺激に伴う筋肉の緊張が関係することもある。肩甲骨周辺の筋肉には頸椎由来の複数の神経が関係しており、首と肩甲骨周辺の症状を関連づけて考えることが重要である。
本症例では、首を右側へ倒した際に右腕の痺れが強く誘発されていた。これは、頸椎の動きに伴って神経への刺激が強まっていた可能性を示す重要な所見である。慢性的な首の痛みに加え、右腕の痺れや右肩甲骨周辺の痛みが同時に現れていたことから、下部頸椎の状態に着目する必要があった。
一方、慢性的な肩こりについては、大きく分けて二つの要因を考えることができる。
一つは、骨格のバランスが崩れることで頭部の重さを効率よく支えられなくなり、首や肩の筋肉が過緊張を起こすケースである。もう一つは、自律神経の働きが変化し、交感神経の活動が高まることで、筋肉の緊張が強くなるケースである。
本症例では、前者の影響が大きかった可能性がある。頸部のレントゲン評価では、前弯カーブが失われ、スワンネックと呼ばれる逆カーブが確認されていた。頸椎の配列に変化が生じている状態では、頭部を支える筋肉の働き方にも影響が及び、首や肩の筋肉に負担が集中することがある。
神経は脳と身体の各組織をつなぎ、筋肉の収縮や弛緩、感覚の伝達、身体の動きの調節など、さまざまな機能に関係している。痛みや神経への刺激が長期間続くと、身体はその部位を保護しようとして周囲の筋肉を緊張させることがある。こうした反応が慢性化すれば、筋肉の過緊張が持続し、首の痛みや肩こりが改善しにくい状態につながる可能性がある。
本症例では、下部頸椎に明らかな可動域制限があり、隆椎周辺には浮腫感と熱感が確認されていた。さらに体表温度検査でも同領域に左右差が認められた。これらの検査所見に加え、首を右側へ倒した際に右腕の痺れが強く誘発されるという症状の特徴を総合し、下部頸椎を重要な評価部位とした。
また、本症例では下部頸椎だけではなく、身体の土台となる骨盤部にも問題が確認されていた。
人間の背骨は、骨盤を土台として積み重なるように構成されている。建物の土台が傾けば、その上にある柱や屋根にも負担が掛かるように、骨盤のバランスが崩れることで背骨全体にまで影響が及ぶことがある。身体は頭部を安定させ、視線を水平に保とうとするため、骨盤や背骨のバランスに変化が生じると、その影響を補うように各部位の筋肉や関節が働くことになる。
本症例では、左仙腸関節にも明らかな可動域制限が認められていたため、下部頸椎だけに注目するのではなく、身体の土台となる骨盤部にもアプローチした。
カイロプラクティックにおいて重要なのは、骨格の形を整えることや、痛みが現れている筋肉を一時的に緩めることだけではない。脳と身体をつなぐ神経の働きに着目し、サブラクセーション(神経の働きに悪影響を及ぼしている背骨や骨盤の機能的な問題)を見極め、身体が本来持つ機能を発揮しやすい環境を整えることである。
本症例では、下部頸椎と骨盤部の状態を総合的に評価し、身体全体の働きを考慮したアジャストメントを行った。海外出張が多く理想的なケア間隔を確保することは難しかったが、継続的なカイロプラクティックケアの過程で首の可動域や症状に改善が認められた。こうした変化には、頸椎周辺の神経への負担や筋肉の過緊張が軽減されたことが関係していた可能性がある。
今回の経過は、症状が現れている部位だけに対処するのではなく、神経機能を通じて身体全体の働きを捉えることの重要性を示唆している。改めて、人間が本来持つ「治るチカラ」の素晴らしさを実感した症例であった。


執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真
神奈川県藤沢市出身。塩川カイロプラクティックにて内弟子として研鑽を積み、塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事。副院長まで務める。2023年、地元である神奈川県藤沢市に「前田カイロプラクティック藤沢院」を開院し、院長として地域住民の健康を支えている。また日本で最も歴史あるカイロプラクティック学校シオカワスクールでは現役講師を務め、次世代のカイロプラクター育成にも力を注いでいる。シオカワグループの一員として、インサイドアウトの健康文化を日本に根付かせるため、一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくことを使命とし、臨床と教育の両面から活動している。