

何をしても繰り返していた腰痛から、身体全体の変化が見られた症例
現場仕事に従事し、日々多忙な生活を送る中で、数年前から慢性的な腰痛をはじめ、身体のさまざまな不調を感じるようになっていた。
腰痛だけでなく、慢性的な左膝の痛みや、ときおり左足の小趾に痛みを感じることもあった。さらに、眼精疲労や首・肩の慢性的な張り感、疲労が強いときには寝つきが悪くなり、雨の日には気分が落ち込むなど、身体だけでなく体調全体の変化を感じることが増えていた。
仕事が多忙な中でも、少しでも身体を楽にしようと、これまでマッサージや整体、知人の鍼灸師による施術など、さまざまなケアを受けてきた。その都度、一時的には身体が楽になるものの、しばらくすると再び同じような不調を繰り返していた。
「このまま同じことを繰り返すのではなく、何か別の方法はないだろうか」
そう考えていた頃、YouTubeでカイロプラクティックの動画を目にした。これまで受けてきた施術とは異なり、症状が出ている場所だけではなく、身体をコントロールする神経の働きや、その背景にある問題に着目するカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになった。
当初は東京まで施術を受けに行くことも考えていたが、調べていく中で、塩川グループのカイロプラクティック院が全国にあることを知った。その中で、自宅から通院できる当院を見つけ、「今までとは違う視点から、自分の身体をしっかり診てもらいたい」と考え、来院に至った。
右耳介上方
骨盤部から腰部の皮膚の乾燥
右仙腸関節部のスポンジ状の浮腫
初診時の検査では、右仙腸関節周囲に浮腫がみられ、右腰部起立筋、右後頭下筋、には過緊張が確認された。また、右仙腸関節や後頭骨には可動性の低下がみられた。
体表温度検査では、仙骨、腰仙関節、中部胸椎、上部頸椎にかけて左右の温度差が確認された。
レントゲン評価では、頸椎ではD4レベル、腰椎ではD5レベルの椎間板の状態が確認され、特に腰椎には骨棘形成も確認された。頸椎・腰椎ともに長期間にわたって負担がかかってきたことがうかがえる状態であった。
画像レントゲン評価での椎間板の段階から、初期集中期では週2回のカイロプラクティックケアを提案した。ただし、遠方からの来院であることに加え、現場仕事で多忙な生活を送っていたことから、無理なく継続できる頻度を考慮し、週1回のケアから開始することとなった。
2週目(2回目のアジャストメント)
2回目の来院時には、仕事中や就寝時に感じていた腰の痛みや違和感が以前より落ち着き、少しずつ変化を感じるようになっていた。
検査では、右仙腸関節周囲の浮腫は引き続き確認されたものの、初診時にみられた後頭骨の可動制限には変化がみられた。
6週目(6回目のアジャストメント)
6週目になると、日常生活の中で腰の痛みや不安を感じる場面はほとんどなくなっていた。仕事中の腰の状態も安定し、以前のように腰を気にしながら生活することが少なくなった。
また、疲労が溜まった際にみられていた寝つきの悪さについても変化があり、本人からは「最近は問題なく、しっかり睡眠がとれるようになってきた」との話が聞かれた。
ほぼ毎日のように気になっていた左膝の痛みについても、時折感じることはあるものの、その頻度は減少し、普段の生活ではほとんど気にならない程度まで落ち着いていた。
腰だけではなく、来院当初に抱えていた複数の不調にも少しずつ変化がみられるようになった。
12週目(12回目のアジャストメント)
12週目の検査では、初診時から確認されていた右仙腸関節周囲の浮腫はほとんどみられなくなり、仙腸関節の可動性にも変化が確認された。
本人が特に気にしていた慢性的な腰痛をはじめ、寝つきの悪さや左膝の痛みについてもほとんど気にならなくなり、仕事や日常生活において支障を感じることもなくなっていた。
身体の状態が安定してきたことから、この段階でケアの頻度を2週間に1回へ移行した。
現在は、良好な身体の状態をできるだけ維持していきたいという本人の希望もあり、定期的に身体の状態を確認しながら、カイロプラクティックケアを継続している。
初診時には、右仙腸関節周囲の浮腫、右腰部起立筋、後頭下筋の過緊張がみられ、右仙腸関節および後頭骨には可動制限が確認された。
特に骨盤は脊柱の土台となるため、骨盤部のバランスが崩れた状態が長期間続くことで、腰椎や椎間板、周囲の筋肉や関節への負担が偏り、慢性的な腰痛につながっていた可能性がある。また、身体のバランスを補正する過程で左下肢への負担が増加し、左膝の痛みにも影響していたと考えられる。
さらに、寝つきの悪さについては、日中に高まった交感神経の働きから休息時の状態への切り替えがスムーズに行われていなかったことも、一つの要因として考えられる。
今回のケースでは、腰痛、左膝の痛み、不眠といった個々の症状を追いかけるのではなく、検査によってサブラクセーション(身体の正常な神経機能を妨げる状態)を評価し、特に骨盤部を中心として必要な部位にアジャストメントをするにつれて、右仙腸関節周囲の浮腫や可動制限が軽減し、それに伴って仕事中や睡眠時に感じていた腰の違和感や不安感も徐々に軽減した。
さらに左膝の痛みも日常生活ではほとんど気にならなくなり、睡眠についても安定して取れるようになった。
これらの経過から、身体に現れている症状だけに着目するのではなく、骨盤や脊柱を通じて神経系が適切に働ける状態を整えていくことが重要であると考えられた。サブラクセーションを継続的に評価し、その人に必要な箇所へアジャストメントを行うことで、身体が本来持つ適応力や回復力を発揮しやすい状態へ導くことの重要性を感じた症例である。


執筆者ルミナカイロプラクティック北野 大輔