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2026.11.03

貧血の数値が正常でも、身体の中の鉄は足りている?

貧血の数値が正常でも、身体の中の鉄は足りている?

健康診断や血液検査で「ヘモグロビンは正常です」と言われても、身体の中に蓄えられている鉄の量まで十分とは限りません。

鉄の状態を知るためにはヘモグロビンだけでなく、鉄の貯蔵量を反映する「フェリチン」という検査項目にも目を向けることが大切です。

2026年、米国血液学会(ASH)は、鉄欠乏の診断に関する新たなガイドラインを公表しました。そこでは、血液中のフェリチン値をどのように評価するかについて対象となる人の状態に応じた基準が示されています。

検査結果の数値は、自分の身体を理解するための大切な手がかりです。しかし、数値だけで身体のすべてが分かるわけではありません。

今回のコラムでは、ヘモグロビンとフェリチンの違い、ASH 2026の診断指針、そして数値と自分の身体を知ることが健康を考える力につながる理由についてカイロプラクティックの視点からお伝えしていきます。

■ ヘモグロビンとフェリチンは、何を示す数値なのか

血液検査で鉄の状態を考えるとき、よく知られている項目の一つがヘモグロビンです。

ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、肺から取り込んだ酸素を全身へ運ぶ役割を担っています。ヘモグロビンの値が基準より低い状態は、貧血を判断するうえで重要な指標になります。

一方、フェリチンは身体の中に鉄を蓄える働きを持つタンパク質です。血液中のフェリチン値は身体に蓄えられている鉄の量を推定するための指標として用いられます。

この二つは、同じ鉄に関係する検査項目でも見ているものが異なります。

ヘモグロビンは、主に血液が酸素を運ぶ働きに関係する指標です。フェリチンは身体にどれくらい鉄が蓄えられているかを知るための指標です。

そのため、鉄の貯蔵量が減少していてもヘモグロビンの値がすぐに低下するとは限りません。貧血の状態になる前に身体に蓄えられた鉄が少なくなっている場合もあります。

ただし、フェリチンの値も単独ですべてを判断できるものではありません。フェリチンは炎症などの影響を受けて上昇することがあるため、検査結果を評価するときには身体の状態やほかの検査項目もあわせて考える必要があります。

■ ASH 2026が示したフェリチンの診断基準

2026年、米国血液学会(ASH)は、鉄欠乏の診断に関するガイドラインを公表しました。

この指針では、貧血の有無だけで鉄欠乏を判断するのではなく血清フェリチン値を用いて身体に蓄えられた鉄の状態を評価することが重視されています。

成人のうち、月経のある人や妊娠している人を含む複数の対象群について、ASHは血清フェリチン値30 ng/mL以下を鉄欠乏の診断に用いる基準として提案しています。従来用いられてきた15 ng/mL以下という基準よりも高い値を採用することで、鉄欠乏を見逃すリスクを減らすことが意図されています。

ただし、この数値はすべての人に一律に適用されるものではありません。

例えば、月経量が多い人や、鉄欠乏に関連する症状・リスクがある人などでは、50 ng/mL以下の基準が診断や管理の判断に適切となる場合があるとされています。また、炎症がある成人では、フェリチン値だけでなく、トランスフェリン飽和度(TSAT)もあわせて評価することが提案されています。

炎症があると、身体に蓄えられた鉄が少なくてもフェリチン値が高くなることがあります。そのため、検査値の意味を理解するには、数値だけでなく、検査を受けた人の状態や検査項目の特徴を知ることが重要です。

なお、ASHの指針は米国の専門学会による診断ガイドラインです。日本国内での診断や治療は、国内の医療指針や医師による個別の評価を踏まえて行われます。検査結果について気になることがある場合は、医療機関で相談することが大切です。

カイロプラクティックでは、脳と神経を通じた身体の働きや構造と機能の関係に着目します。血液検査で分かることと身体の状態を評価することで分かること。それぞれの役割を理解することが自分の健康を考えるうえで大切です。

■ 数値も知る、自分も知る、その先の健康へ

血液検査の数値は、自分の身体を知るための大切な情報です。しかし、健康は数値だけで捉えられるものではありません。私たちの身体には、さまざまな環境の変化に適応し、生命を維持しようとする働きが備わっています。

カイロプラクティックでは外から不調だけに対処するのではなく、身体の内側にある働きを理解することを大切にしています。これは、検査や医療を必要としないという意味ではありません。数値から分かることを知り、身体の働きにも目を向ける。その両方を通して、自分の健康を多角的に考えることが大切です。

健康を、目の前の数値や症状だけで判断するのではなく身体が本来持つ働きからも考えてみる。自分の身体を知ることは健康に対する見方を広げるきっかけになります。

身体の内側から健康を考える。

一人ひとりが自分の身体に備わる働きを理解し、健康を自ら考えていく。その積み重ねが、インサイドアウト健康文化につながっていくと考えます。

中島 恵

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵

新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。

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