

原因が分からず悩んでいた体調不良が落ち着き、安心して生活できるようになりました!
約2年前、特に大きなきっかけがあったわけではないが、突然左顎のかみ合わせに違和感を感じるようになった。それまで顎のトラブルを自覚したことはなかったが、「噛み合わせが合わないような感覚」が続くようになり、同じ頃から左肩の前方部に強い痛みと可動域制限が出現した。いわゆる五十肩のように腕が上がりにくくなり、日常生活にも支障を感じる状態となったため、鍼灸院などに通院したが症状の改善はみられなかった。
その後まもなく、呼吸器症状も現れるようになった。痰が絡むような喘息症状が強く出るようになり、医療機関で処方された薬を服用したところ、夜に神経が高ぶり眠れなくなることが増え、不眠症状が目立つようになった。また同じ頃から、視界が二重にぼやけて見えるような異常を感じることもあり、身体の状態に対する不安が徐々に強くなっていった。
さらにその年の夏頃、突然40度近い高熱が出現した。いったん38度程度まで下がっても再び高熱が出るという状態を繰り返し、なかなか熱が下がらない状況が続いたため複数の医療機関を受診した。しかし精密検査では明確な異常は見つからず、最終的には心療内科を紹介されることとなった。
心療内科では薬を処方されたが、服用すると強い眠気やぼんやりとした感覚が出る一方で、睡眠そのものが大きく改善することはなかった。日中の活動にも支障を感じるようになり、体調の不安定さが続いたため仕事を継続することが難しくなり、約1年ほど前から休職することになった。
その後、年末頃には不眠症状がわずかに落ち着いてきたものの、今年の初め頃には新たな症状として両手の痺れが出現した。数日間にわたり両腕全体が痺れるような感覚が続いたため医療機関を受診したが、頸椎椎間板ヘルニアや脳の異常は否定され、原因は明確にならなかった。
こうした経過の中で、顎のかみ合わせの違和感、左肩の痛みと可動域制限、喘息、不眠、視界のぼやけ、原因不明の高熱、両腕の痺れに加え、足先の冷え、便秘、高血圧傾向、眼精疲労、不整脈、腰痛、逆流性食道炎や胸やけ、耳鳴りなど、さまざまな不調が同時に続く状態となっていた。
症状の改善を求めて複数の治療院にも通院したが、いずれの施設でも明確な改善はみられなかった。初回の段階で高額な回数券の購入を勧められたり、サプリメントの購入を勧められることもあり、不安を感じる場面も多かった。また、ある施設では施術を受けた翌日に強い腰痛が出て動けなくなるほど悪化した経験もあり、治療そのものに対する不信感も生まれていた。
これまでカイロプラクティックを受けた経験はなかったが、さまざまな方法を試しても改善がみられない状況が続いたため、身体を別の視点から評価してもらえないかと考えるようになった。これまで通院していた医療機関でも整体を勧められたことをきっかけにカイロプラクティックに関心を持ち、複数の不調の原因を総合的にみてもらいたいという思いから当院に来院された。
第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫
頸部胸鎖乳突筋の過緊張
右仙骨翼にスポンジ状の浮腫
初診時の状態では、右の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と右仙骨翼に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。
レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。
初期集中期の段階では週2回のケアが必要な状態であったが、自律神経症状が多数出ていたことも加味して、週1回のペースを継続していくケア計画から開始した。
4週目(4回目のアジャストメント)には、まず睡眠の質に変化がみられ始めた。これまで夜になると神経が高ぶり寝付くまでに長い時間がかかっていたが、「以前よりも自然に眠れる日が出てきた」との自覚があった。痰が絡む喘息症状もわずかに落ち着き、呼吸の苦しさが軽減する日が増えてきていた。
9週目(9回目のアジャストメント)には、身体全体の不安定さが徐々に落ち着き始めていた。以前繰り返していた原因不明の発熱はみられなくなり、両腕に出ていた痺れもほとんど出現しなくなっていた。左肩前方部の痛みはまだ残っていたものの、腕を動かした際の可動域が少しずつ広がり始め、「以前より肩が動かしやすい」と感じるようになっていた。
14週目(14回目のアジャストメント)には、複数あった症状の波が全体的に小さくなっていた。視界が二重にぼやけるような症状はほとんど出なくなり、喘息の発作も大きく落ち着いていた。便秘や胸やけなどの消化器症状も徐々に安定し、日常生活の中で身体の負担を感じる場面が減ってきた。
19週目(18回目のアジャストメント)には、初診時に訴えていた多くの症状が大きく落ち着いていた。顎のかみ合わせの違和感や肩の可動域制限は日常生活でほとんど気にならない程度まで回復し、不眠症状も安定していた。以前のように身体の状態が急激に崩れることはなくなり、体調の安定した日が継続するようになっていた。
現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回みられた顎関節症、左肩の可動域制限、喘息、不眠、視界異常、原因不明の高熱、両腕の痺れといった複数の症状は、個々の臓器の問題として捉えるよりも、自律神経機能の慢性的なアンバランスが背景に存在していたと考えられる。
初診時の評価では、上部頸椎および骨盤部に明確な機能低下が確認された。この二つの部位はいずれも副交感神経機能と深く関与する領域であり、ここに長期的な機能障害が存在すると副交感神経の働きが低下し、結果として交感神経優位の状態が持続しやすくなる。すなわち、身体が常に緊張状態に置かれ、十分に回復できない状態が続いていたと推察される。
不眠や不整脈、眼精疲労といった症状は、交感神経優位が長期間持続することで起こりやすい代表的な症状である。交感神経の活動が過剰になると、身体は常に覚醒状態に近い状態となり、夜間になっても神経の高ぶりが鎮まらず、睡眠の質が低下する。また心拍数や自律神経調整にも影響を及ぼし、不整脈や慢性的な疲労感を引き起こす要因となる。
呼吸器症状としてみられた喘息についても、自律神経の影響は大きい。気道の収縮や分泌は自律神経によって調整されているため、交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、痰が絡むような呼吸器症状が出現しやすくなる。本症例では神経機能が安定していく過程で喘息症状が軽減していったことからも、局所の呼吸器疾患というより神経調整の問題として捉える方が自然である。
顎関節の違和感や肩関節の可動域制限についても、単なる関節局所の問題ではなく、神経機能の乱れに伴う筋緊張の持続が関与していた可能性が高い。交感神経優位の状態では筋緊張が持続しやすく、頸部や肩周囲の筋群に慢性的な緊張が生じることで、顎関節や肩関節の機能低下につながることがある。
また、本症例では原因不明の高熱が繰り返し出現していたが、精密検査では明確な異常は確認されなかった。自律神経は体温調節にも深く関与しており、神経機能の調整が乱れると体温のコントロールが不安定になることがある。神経系の過敏状態が続いていたことが、このような体温調節異常の一因となっていた可能性も考えられる。
アジャストメントにより上部頸椎および骨盤部の神経機能への負荷が軽減されたことで、副交感神経が働きやすい環境が整い、交感神経の過剰な緊張が徐々に鎮静化していったと考えられる。その結果として、睡眠の改善、喘息症状の安定、発熱の消失、四肢の痺れの消失など、複数の症状が段階的に落ち着いていったと推察される。
本症例は、顎関節症や肩関節の問題、呼吸器症状、神経症状など、異なる領域にみえる症状であっても、その背景に存在する神経機能の乱れを整えることで身体全体の状態が安定していく可能性を示している。上部頸椎および骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)による神経機能低下が整えられたことで、身体が本来持つ恒常性維持機構が回復し、複数の症状が同時に改善していった症例である。


執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真
1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティックにて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。