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台所に立つのが辛い腰痛

台所に立つのが辛い腰痛

家事ができる時間が増え、安心して日常を送れるように

80代女性
主訴
腰痛、膝から下の重だるさ
来院に至った経緯

昨年の3月頃、家事作業(掃除)の最中に急激に腰に痛みを感じ、ぎっくり腰を発症した。対処をしようと近所の接骨院へ通院し、マッサ-ジや電気の治療を受けていた。しかし、何週間か通院したものの改善が見られず、整形外科で診察を受けたが、レントゲンやMRIなどは特に異常はないとの診断だった。若干の骨粗鬆症の気があるとのことで、カルシウム系の薬を服用していたが変わらず、本人としても薬に頼るのは気分的に否定的である。さらに医師から、症状が緩解されない場合には手術を検討することを推奨されたが、心理的にも避けていた。

ぎっくり腰をして以降、症状が持続していたが、段-痛みが強くなってきた。現在は台所作業など、立って作業をしているだけでも痛みが強くなり、生活の中で腰の負担を強く意識する状態となっていた。台所仕事中は腰や足の疲労感・疼痛が増悪するため、足を広げるなどの姿勢で症状を和らげながら家事を行っていた。

来院時には痛みの部位は腰だけでなく、右のお尻の方にも感じるようになっていた。また、膝下の重だるさはぎっくり腰の発症以降に出現した症状であり、歩行時にも痛みや重だるさを感じていた。この重だるさの影響でまっすぐ歩きにくく、歩いているとフラフラするような感覚があり、特に右足が出しにくいと感じていた。また、足がつることもあり、直近1週間以内にも起きていた。歩行自体は可能だが「普通に歩けない」感覚があり、廊下で歩行練習も試みたものの、目立った改善は得られていなかった。

ぎっくり腰は今回で4回目であり、過去1〜3回目は温泉などで対処して落ち着いていたが、今回は症状が長引いていることが不安に感じていた。さらに、家族から右肩が少し上がって見えると言われることがあり、本人も鏡で同様に感じていた。

身体の不安は続き、最近は右手の握力低下も自覚しており、ペットボトルを開ける動作が難しくなったり、庭木の剪定用のニッパ-を使用すると親指が曲がった状態から戻りにくくなったりすることがあった(この親指の症状は自己マッサ-ジで改善するとのこと)。

高齢ではあるが、現在は一人で生活しているため、家事が行えないと困るという現実的な問題も大きい。「不安なく日常生活を送れるようにしたい」という思いもあり、家族の勧めもあって当院を受診された。

初診の状態
  • 01

    腰部起立筋の過緊張

  • 02

    右仙腸関節の可動域制限

  • 03

    第6頸椎棘突起上にスポンジ状の浮腫

経過と内容

初診時の状態では、右仙腸関節に可動域制限が確認されていた。体表温度検査では骨盤部から腰部、下部頸椎にかけて反応が示されており、静的触診では右仙骨翼の浮腫、腰部起立筋の過緊張に加え、頸部から肩にかけての過緊張および第6頸椎棘突起上の浮腫が確認された。日常生活では台所作業など立位での負荷により腰痛が増悪し、歩行時には膝下の重だるさとふらつきが出現していた。

腰部ではL5がD6レベルと慢性的な段階が確認された。頸部では下部頸椎がD5レベルと慢性的な段階が確認された。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、通院に車が無く、家族の送迎の都合により、週2回のケアから開始した。

2回目のアジャストメントの際、前回施術の翌日からすでに「動きの良さを感じていた」との報告があった。症状が強かっただけに、日常動作の中での身体の反応が感じやすく、少なくとも本人の体感としては動きやすさが出てきている様子がみられた。

6回目のアジャストメントでは、腰の生活動作の全体的な調子が良くなってきており、自宅での活動や家事ができている状態になった。本人も廊下でリハビリがてら歩く、掃除機を動かしてい見るなど、日常生活の活動量が増え、むしろ「やりすぎているのでは」と家族が心配するほどになっていた。最近は足もつっていない。

12回目のアジャストメントでは、美容室で髪を切ってもらう時(同一姿勢の保持を含む)も問題なく行えるようになり、丸まっていた姿勢についても真っ直ぐになったと体感できたとのことだった(家族から見ても姿勢が改善している様子が伺えるとの報告をいただいた)。腰の状態は良好で、これまでできていなかった窓掃除などの家事もできるようになっていた。

現在、腰の状態についてはかなり改善したが、家族の勧めや本人の希望もあり、身体のメンテナンスとして定期的(2週間に1回)のペースでカイロプラクティックケアを継続している。


考察

今回の腰痛および膝下の症状は、変形などの構造的な変化そのものが原因ではなく、骨盤部における神経機能の低下が関与していたものと考えられる。

腰部には腰椎と仙骨の間の「腰仙関節」、仙骨と左右の腸骨の間の「仙腸関節」がある。腰仙関節の場合は体幹の動きを骨盤へ伝える役割があり、仙腸関節の場合は上半身の荷重を下肢へ分散させる役割がある。これらの関節に可動制限が生じると、腰部から下肢の神経機能が低下する。

本症例では、初診時の検査より右の仙腸関節の問題と腰仙関節の可動制限が確認された。レントゲン評価では、腰部の椎間板の段階はD6と慢性的な段階が確認された。カウンセリングでは、腰痛は数ヵ月以内に発症したものと聴取できたが、実際には長期に渡り負荷がかかり続けた事が予想される。これらが放置されたことで周囲の筋肉・神経・血流などに負荷がかかることによって、腰部の痛みや下肢(膝下)の重だるさとして自覚されたものと考えられる。

患者が推奨された手術は「最終手段」としての位置付けが強い。しかし、その後の症状が出ないことが保証されているわけではない。これは実際の負荷の部位と、根本原因(サブラクセーション)が一致していない場合に起こりうる。今回の場合、アジャストメントによって右の仙腸関節および腰仙関節の可動制限が解消されたことで、神経の機能が回復し、骨盤周囲の安定性を取り戻した。これによって周囲の筋肉・神経・血流などが回復しやすい環境が得られ、段階的に回復していったことが推察される。神経の流れを正常化し、脳からの身体への情報を伝えることの重要性が確認できる症例である。

岡芹 侑哉

執筆者OKAカイロプラクティック岡芹 侑哉

1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。

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