思考と感情の司令塔 ― インサイドアウト健康文化の核心
命を統括する最高司令部
私たちが考え、感じ、選択し、行動できるのは、頭蓋骨の奥に守られた「脳」という司令塔があるからです。
脳は、全身の情報を受け取り、判断し、次の一手を決める“最高司令部”。
思考の舞台であり、感情が生まれる場所であり、人生の方向性を静かに指揮し続けています。
その重さは、わずか1.3〜1.5kgほど。片手で持てるほどの大きさの中に、私たちの記憶、感情、価値観、そして未来への選択がすべて詰まっているのです。
脳の働き ― スーパーコンピューターであり、オーケストラの指揮者
脳の役割を例えるなら、スーパーコンピューター と オーケストラの指揮者 を同時に担う存在です。
五感から届く膨大な情報を瞬時に処理し、「見た」「聞いた」「感じた」を一つの体験として統合する。
同時に、心臓の鼓動、呼吸のリズム、筋肉の動き、ホルモンの分泌まで調整し、全身のハーモニーを保っています。
もし指揮者がいなくなれば、音楽が乱れるように、脳の働きが乱れれば、体も心もバランスを崩してしまいます。
それほどまでに、脳は全身の秩序を保つ中心的存在なのです。
脳の神秘 ― 数字が語る驚き
脳の中には、約860億個もの神経細胞(ニューロン)が存在しています。
それらはシナプスと呼ばれる接続で互いにつながり、その総数は約100兆以上。
まるで、夜空の星を何層にも重ねたような巨大なネットワークです。
神経信号の速度は秒速約100m。熱いものに触れた瞬間、0.1秒以内に脳が判断し、手を引っ込める。
この一瞬の反応も、すべて脳の指令によるものです。
さらに驚くべきことに、脳は体重の約2%しかないにもかかわらず、安静時でも体全体のエネルギーの約20%を消費しています。
それだけ、常にフル稼働しながら私たちを生かしている臓器なのです。
感謝・感動・希望を持って
私たちが笑うこと。
涙を流すこと。
誰かの言葉に心を動かされること。
そして、明日を思い描くこと。
そのすべては、脳が一瞬たりとも休まず働いてくれているからこそ可能になっています。
普段は意識されることの少ないこの働きに目を向けると、自然と感謝が生まれ、その精巧な仕組みに感動し、「自分の中には、まだ使いきれていない可能性がある」という 希望 が湧いてくるのではないでしょうか。
インサイドアウトの視点へ
脳の働きは、外から与えられるものではありません。学ぶ力も、立ち直る力も、感じる力も、すでに私たちの内側に備わっています。
健康も人生も、「正しく管理する対象」ではなく、内側にある秩序と叡智を信頼し、引き出していくもの。
脳を「思考と感情の司令塔」として意識したとき、私たちは気づきます。
未来をつくる力は、すでに自分の中にある。
それを信じ、尊重すること。そこから始まるのが、インサイドアウト健康文化 なのです。

執筆者塩川カイロプラクティック塩川 雅士D.C.
1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。