更年期のケアは「ホルモンだけじゃない」脳と自律神経が鍵を握る!

40代後半から50代にかけて、「なんだか調子が悪い」「疲れが取れない」「気分が落ち込みやすい」といった不調を感じる女性が増えてきます。
顔がほてる、急に汗が噴き出す、寝つけない、肩こりがひどいなど、体や心のさまざまな不調を「年齢のせいかな」と見過ごしてしまっている方も多いと思います。
これらは、更年期に起こりやすい代表的な症状であり、単なる加齢によるものではなく、「脳の働き」と深く関係している可能性があります。
今回のコラムでは、更年期の不調と脳と神経との関係性についてお伝えしていきます。
更年期とは?女性の体に起こる“第二の変化”
更年期とは、卵巣の働きが徐々に衰えていき、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少していく時期のことです。一般的には閉経の前後5年、計10年間ほどがこの時期にあたります。
この時期の女性の体には、さまざまな変化が起こります。例えば、顔がカーッと熱くなるような「ホットフラッシュ」が起こったり、何もしていないのに急に汗が噴き出したりすることがあります。また、心臓がドキドキと速く脈打つような感覚があったり少し動いただけで息切れしたりする方もいます。
さらに、強い倦怠感を感じたり疲労感がなかなか抜けない、肩こりや頭痛がいつも以上にひどく感じる、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど、日常生活に支障をきたすほどの不調が出てくることも少なくありません。
感情の浮き沈みが激しくなったり、理由もなく気分が沈み込んだりするような、心の不調を感じる方も多くいます。
視床下部の混乱が不調の引き金に?
これらの不調の背景には、「脳の中枢」である視床下部の混乱が関わっていると考えられています。
私たちの体は、脳によって24時間コントロールされています。視床下部はその中でも非常に重要な役割を担っており、体温や血圧、心拍、睡眠、感情、食欲といった生命活動のバランスを整えてくれています。さらに、ホルモンの分泌をコントロールする機能も備えています。
更年期に入り、エストロゲンの分泌が急激に減ってくると、視床下部は「ホルモンが足りない」と判断して、何度も卵巣に「ホルモンを出して」という信号を送ります。しかし、加齢によってその機能が低下した卵巣は、その指令に十分に応えることができません。この“空振り”の命令が繰り返されるうちに、視床下部が混乱し、自律神経のバランスも崩れていきます。
自律神経が乱れるとどうなる?
視床下部の混乱によって自律神経が乱れると、さまざまな不調が現れやすくなります。たとえば、体温調節がうまくいかなくなり、少しの刺激で汗が出たり、のぼせたような状態が続いたりします。
また、心拍が不安定になることで動悸や息切れを感じたり、ちょっとしたことで気分が落ち込み、感情のコントロールが難しくなってしまうこともあります。夜に眠れなくなったり何度も目が覚めてしまったりと、睡眠の質が著しく低下することも自律神経の乱れによるものです。
自律神経は、交感神経と副交感神経がシーソーのようにバランスを取り合うことで体の内外の変化に柔軟に対応し、私たちの健康を維持しています。しかし、更年期にはホルモンの変動に加えてストレスや加齢による影響が重なりバランスが大きく崩れやすくなるのです。すると、体の働きだけでなく、心の安定も保ちにくくなり、不調のスパイラルに陥ってしまいます。
このように、自律神経のバランスが崩れることで、更年期の不調はさらに強く、長引きやすくなってしまうのです。
更年期の対処としては、ホルモン補充療法などの医療的なアプローチが知られていますが、それだけでは対応しきれないこともあります。
実は、「自律神経のバランスを整える」という視点からのケアも、とても大切です。
自律神経が安定すると脳と体の情報伝達がスムーズになり、ホルモン分泌のリズムも整いやすくなります。つまり、自律神経を整えることはホルモンバランスを内側から支える土台をつくることにもつながっていくのです。
カイロプラクティック・ケアで自分の体のサインを知る
更年期の不調は単なるホルモンの減少だけが原因ではなく、脳と体の情報伝達をしている神経のバランスの崩れが大きく関係しています。神経の通り道である背骨や骨盤でのサブラクセーション(神経圧迫)を整えることで、つらい不調を根本からケアすることにつながっていきます。
カイロプラクティックでは、背骨や骨盤での神経圧迫を取り除き、神経の通り道をクリアにすることで、脳と体との情報伝達をスムーズにすることを目指します。この神経伝達の回復は、視床下部や自律神経の働きを整える手助けとなり、結果的にホルモンバランスの維持にもつながる可能性があります。
特に、自律神経はホルモン分泌を司る視床下部と密接に連携しており、自律神経の働きが安定することで、ホルモン分泌のリズムも整いやすくなります。つまり、自律神経のバランスを整えることは、ホルモンバランスを安定させるための土台づくりにもなるのです。
また、婦人科や内科などでの相談や定期的な検査も取り入れながら、自分自身の状態を正しく知っておくことも重要です。
更年期は、ただの“老化現象”ではなく、心と体が次のステージへと移行していく「第二の成長期」ともいえます。だからこそ、「もう年だから」とあきらめずに、今の自分の体と心の声に耳を傾けて丁寧にケアしていくことが大切です。
心も体もゆらぎやすいこの時期にこそ、自律神経にアプローチできるカイロプラクティック・ケアを取り入れて、より快適な毎日を過ごしましょう。

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。