
30年前から続く腰の痛みがあった。22年前に子供抱っこでぎっくり腰。そこから2年に1回のペースで繰り返し、左足に出た痺れは右に移ったり、左に戻ったりを繰り返していた。22年前にぎっくり腰で病院に行った際は、腰椎椎間板ヘルニアと診断され、病院では手術以外にできる事はないと言われていた。手術を回避したいと言う思いから、様々な治療法を試したが、症状に変化はなく回復するどころか、症状はどんどん重くなっていった。
仕事中はコルセットをしていないと腰痛で仕事にならず、睡眠時は痛み止めを飲まないと寝返りを打つと起きてしまうほど痛みがあった。5年前からは腰の痛みだけでなく、左足裏まで続く坐骨神経痛と足のしびれが強くなり、コルセットをしても仕事は愚か日常生活もままならないような状態だった。
何より睡眠が1番の苦痛で、どの体勢でも腰痛があり、寝返りを打つと激痛が走るため毎晩痛み止めと睡眠薬を飲んで眠りについていた。
そんなある日、親族で集まった際に、ぽろっと腰痛に悩まされていると言うお話をしたところ、妹から塩川カイロプラクティックに行ったほうがいいと言われた。整体や整骨院、鍼治療などは受けてきたがカイロプラクティックを受けたことがなかった。気になってホームページを調べていると、ここが日本のカイロプラクティック業界のパイオニアだということを知った。
ここだったら症状が良くなるかもしれないと思い、来院を決意した。
腰の痛みで寝返りが打てず起きてしまう
腰の痛みが強く座っていられない
常に続く肩こりとそれに伴う頭痛
レントゲン評価では、腰椎5番の椎間板がD5とかなり慢性的な状態だった。日常生活にも支障が出ているということから理想は週3回ではあるが、仕事もあるため最低週1回のペースでケアを続けていくことにした。
2回目のアジャストメント時には、アジャストメントの反応がかなり出た。腰痛が強くなり、1週間は日常生活も置くのが大変な状態だった。しかし初回のアジャストメント後に「一時的に痛みが強くなるかもしれない」「別の場所に痛みが移ることがあるかもしれない」と言う話をしっかりと聞いていたため、これが先生が言っていたことかと受け入れて、どうにか1週間を過ごすことができた
それ以降のアジャストメントごとに、術後の反応は減っていった。6回目のアジャストメント時には、3〜4日痛みのない状態をキープすることができた。左仙腸関節の可動制限や規律筋の緊張が抜けてきて、仙骨〜腰椎5番エリアに浮腫が集まってきた。このタイミングからアジャストメント部位を腰椎5番と仙骨に優先順位をつけながら絞っていくことに決めた。
9回目のジャストメント時には、約5年ぶりに1週間痛みがない状態で過ごすことができた。もちろん仕事中に気をつけていたり、日常生活でも同じ姿勢を取らないなど気をつけてはいたが、寝返りも気にせずに打てるようになったり、仕事も常に不安を抱えながらする必要はなくなったりなどそれだけでも感動されていた。
上部頸椎の過緊張もだいぶ安定してきて、浮腫は腰椎5番に謙虚に集まってきた。まだ腰椎5番をポンピングすると響いてしまうが、ポンピングの延長で押し込むとしっかりと動いた感じがあるなど、徐々に腰椎5番も動きが出てきている。
12回目のアジャストメント時には、腰椎5番の動きが以前よりもだいぶできていた。変わらず体表温度検査でも反応はあるものの針の触れは小さくなってきており、また浮腫も腰椎5番にピンポイントに集まっている。可動性も徐々にではあるが、出始めてきている状況で、引き続き腰椎5番のアジャストメントを続けていくことにした。
現在も、週一回のペースでのケアを続けながら、さらなる改善に向けて取り組んでいる。
今回のケースは、30年前から苦しんでいた腰痛があり、22年前に腰椎椎間板ヘルニアと診断され、それ以降はぎっくり腰を繰り返したりなど長期間にわたって腰痛や坐骨神経痛、それに伴うしびれに苦しんでいた症例だった。
30年以上にわたりサブラクセーション(根本原因である神経伝達の異常)を放置していたからか、腰椎5番の椎間板には10~15年の負担がかかっている所見が見られるなどかなり慢性的だった。左の仙腸関節もはっきりとしたサブラクセーションが見受けられるなど骨盤部からも腰椎に負担がかかってきてしまっている状態だった。
椎間板レベルの慢性度合いが強い場合、その椎骨自体にサブラクセーションが起こっている場合もあるが、もう一つのパターンとして下位セグメントでサブラクセーションが起こった補正として過剰な動きが生じ、椎間板に負担がかかっているケースがある。
今回のケースでは、まず仙腸関節部にはっきりとしたサブラクセーションが見つかった。仙腸関節部のサブラクセーションを取り除いたことによって腰椎5番にかかっていた負担を減らすことができた。仙腸関節が安定してから、腰椎5番が補正の場合は安定してくるケースが考えられるが、今回は腰椎5番にもサブラクセーションがはっきりと残っていた。そのため腰椎5番にもアプローチをすることに決めた。
椎間板レベルが慢性的な場合、いきなりアジャストメントをしてしまうと、炎症が起こり、症状が逆に強くなってしまう可能性がある。そのため、骨盤部から腰椎部への移行のタイミングと言うのはすごく繊細な判断が求められる。
今回のケースでは毎回骨盤部のアジャストメントを続けていたが、毎回その後腰椎5番に軽い圧を加えるポンピングという動作を繰り返し状態を確認していた。
ポンピングを続けていく中で、腰椎5番に響くような感覚が少なくなってきたタイミングで腰椎5番のアジャストメントに切り替えた。
最初はかなり幅を抑えたアジャストメントを行っていたが、徐々に響きも少なくなり、少しずつではあるが深さも出せるようになってきている。それに伴い経過も上向いてきている。
今回の症例では、いきなり直接の幹部へアプローチをすると言うわけではなく、しっかりとリスクを把握した上で、土台からのアプローチを続けていく必要性と共に、副交感神経から交感神経へ移行するタイミングの重要性を再認識することができた症例だった。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉
神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。