
不妊専門クリニックでも叶わなかった妊娠が、自然妊娠することができた!
学生の時から子供が欲しくて25歳で結婚した。それから4年間妊活を続けてきたが、妊娠できない日々が続いていた。インターネットで調べると、「健康な男女が1年間、避妊無しで妊活をしても妊娠しない場合は、不妊症になる」という事実を知った。
妊活を始めて2年目には不妊治療専門のクリニックを受診したが、それから4年経っても妊娠することができなかった。8歳年上の姉も同じように不妊症で、姉も25歳から妊活を始めて、7年後にようやく体外受精で妊娠することができた。
両親にも、「姉妹はやっぱり似るのかね?」と言われて、どんどん不安が募っていった。なんとか20代のうちに妊娠したいと思い、不妊症に効くと評判の針治療や整体の先生を頼ったりしたが、結果は実らなかった。
足つぼマッサージも試したり、漢方を試したり、よもぎ蒸しを試したり、不妊専門クリニックでの治療と併せてできることはなんでもやってみたが、一向に妊娠することは叶わなかった。
不妊専門クリニックでは、タイミング法や人工授精を試したが、妊娠には至らず。体外受精で胚盤胞までいったものを何度か移植したが、着床したのはたったの1回で、その1回も結局すぐに流産してしまった。
不妊専門クリニックで1回に払う費用も莫大な金額が掛かっており、「なんでここまでやっても妊娠できないんだろう」と自暴自棄になってしまい、生活自体も苦しくなったので不妊治療は一時中断した。
お互いの両親が費用面を支援すると言ってくれたが、なんとか自分たちの力だけで子供を授かりたいと思い、両親からの支援は断った。
20代でここまで妊娠できないのは、きっと何か原因があるはずだと自分の体調を振り返ってみたが、学生時代から婦人科系の症状がたくさん出ていたことも不妊症に関係しているのかもしれないと思うようになった。
中学生の頃から生理痛が酷く、痛み止めを常用するようになっていた。妊活するようになってから薬は辞めていたが、毎月強い生理痛に苦しんでいた。生理不順もあり、毎月決まった周期で生理が来ている記憶はなかった。
大学生になると生理周期は落ち着いたものの、今度は生理前になるとものすごくイライラするようになり、友達に当たってしまう自分が嫌になって生理前は学校を休むようになった。
不妊でストレスが溜まってイライラしている影響なのか、歯医者に行くと食いしばりを指摘され、気づけば口を大きく開けると右顎に軽い痛みがあることに気づいた。
マウスピースを付けるように指導されたが、効果はまったくなく、今度は午後になると頭痛が頻発するようになった。
子供の頃から低体温で平熱も35.5度くらいしかなく、頻繁に風邪を引いてしまうなど、体はあまり強い方ではなかった。手足も冷たく、大人になっても末端冷え性は治らなかった。
「私がしたいのは顎の治療じゃない。マウスピースもまったく効かない。何をやっても上手くいかない。」とストレスが増加して、気づけば夜も眠れなくなり不眠症になってしまった。
妊娠のために、これまでいろいろなことを試してきたが、「根本的に体の内側から変えないとダメかもしれない」と思うようになったある日、当院のホームページに行きついた。
これまでカイロプラクティックは一度も受けたことがなく、ただ骨をボキボキするというイメージしかなかったが、「根本原因の改善」という言葉に興味を持つようになった。
よく調べてみると、同じように不妊症で悩んでいた人が妊娠できたという症例があり、「ここならすべて解決するかもしれない」と思うようになった。少し遠方ではあったが、ここならなんとかなるとはずだと期待して、当院に来院された。
正中仙骨稜に強い浮腫感
腰部起立筋の過緊張
頸部右胸鎖乳突筋の過緊張
初診時の状態では、第一頸椎には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、骨盤部と上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また正中仙骨稜と第一頸椎右横突起に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。
レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネック(を通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。)となっていた。
初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、遠方からの来院だったため週1回のケアから開始した。
5週目(5回目のアジャストメント)には、午後になると感じていた頭痛はほとんど感じなくなった。また、生理前のイライラや生理痛が明らかに軽減していると感じるようになり、人生で初めて手足が温かいと感じるようになった。
11週目(8回目のアジャストメント)には、睡眠の質がすごく良いと感じるようになり、寝起きに顎周りが楽だと感じるようになった。家族からも、「最近歯ぎしりしなくなったね」と言われるようになった。
19週目(12回目のアジャストメント)には、これまで何度不妊治療を受けてきても妊娠できなかったが、自然妊娠することができていた。「ギリギリ20代で妊娠できた」と本人もとても喜んでいた。
52週目(23回目のアジャストメント)には、臨月(出産直前)までカイロプラクティックケアを行い、最後のアジャストメントを行った1週間後の妊娠40週目に、無事に元気な女の子を出産。
現在は、母子ともに安定しており、出産後もほとんどの症状が落ち着いているが、出産後の身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回の不妊症は、骨盤部の乱れが最大の原因であったと考えられる。子宮は骨盤から3本の靭帯で繋がっているハンモックのような状態である。
大人でも実際のハンモックが捻じれている状態では横になるのが困難なのと同じように、骨盤部の乱れによってハンモックが捻じれたような状態になると、赤ちゃんが着床しにくい環境となってしまう。
不妊症以外にも、生理痛や生理不順、月経前症候群(PMS)のような婦人科系の問題が出ていたが、正中仙骨稜(仙骨の中心部分)に負荷が掛かると婦人科系の疾患が出やすくなる。
検査では骨盤部以外に上部頸椎にも強い反応が確認されたが、骨盤部や上部頸椎はどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経に負荷が掛かることで、交感神経が過剰に働いてしまい自律神経のバランスも乱していたと考えられる。
交感神経が過剰な状態というのは、体全体が過緊張を起こしていることと同義である。睡眠中でも過剰な緊張が続いていたことが、食いしばりや歯ぎしりに繋がり、その状態が長期間続いたことで顎関節にも過度な負担となって顎関節症も引き起こしていたと考えられる。
末端冷え性も引き起こしていたが、末端冷え性は交感神経が過剰になっている人の特徴でもある。交感神経の作用として末梢の血管を閉じる役割がある。それ自体は交感神経の普通の作用であるが、その状態が長期間続いてしまうと、末梢の血管が閉じたままとなってしまい末端冷え性を引き起こしてしまう。
午後になると出ていた頭痛も緊張性の頭痛である、交感神経が過剰になっていると表れる症状の代表例となる。子供の頃から頻繁に風邪を引いているというのも自律神経のバランスが関与していた可能性が高い。
人間の免疫には、白血球の比率が大きく関係している。交感神経が優位になると顆粒球の比率が多くなり、副交感神経が優位になるとリンパ球の比率が多くなる。自律神経のバランスを乱すということは白血球の中にあるリンパ球と顆粒球の比率が乱れて、風邪を引きやすくなってしまう。
アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、不妊症だけではなくさまざまな自律神経症状の改善に繋がったと考えられる。あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けることの重要性が分かる症例である。
※本症例は、カイロプラクティックケアを開始してから自然妊娠できた症例となります。当院では、40代でもカイロプラクティックケアと不妊治療を併せて実施したことで、妊娠できた例は数多くあります。ですが、不妊症は時間との戦いでもあるため、早ければ早いほど効果が高くなります。そのため、できる限り早めのカイロプラクティックケアをおススメしております!
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真
1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。