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外出が困難になった不眠症と坐骨神経痛

外出が困難になった不眠症と坐骨神経痛

”旅行に行けるようになりました”

60代女性
主訴
不眠症、(副訴、坐骨神経痛)
来院に至った経緯

78年前から眠れなくなり、布団に入っても1時間以上寝付けず、ようやく眠っても夜中に何度も目が覚めてしまう状態が続いていました。朝はぐっすり眠った感覚がなく、体も頭も重く、疲れが取れないまま一日が始まることが日常になっていました。

最初のうちは年齢のせいかなと思い、生活のリズムを整えたり、寝る前にお茶を変えてみたりと工夫を重ねたそうです。しかし改善せず、病院を受診したところ不眠症と診断され、睡眠薬が処方されました。一時的には眠れる日もありましたが、薬を飲んでも夜中に目が覚めてしまうことが多く、「効いていないのでは」と不安が募っていきました。さらに、薬を飲み続けることへの抵抗感も強まり、「このまま薬に頼り続けるのは嫌だ」という思いが日に日に大きくなっていったとの事でした。

また、不眠と同じ頃から右足の坐骨神経痛も出るようになったとの事でした。太ももから足先にかけて痛みとしびれがあり、買い物に出かけるとすぐに足がつらくなり、途中で何度も立ち止まらなければならない状態に。以前は友人や家族と国内、海外問わず旅行や散歩を楽しんでいましたが、今では外出自体が億劫になり、楽しみを奪われてしまったことにも落胆されていました。

「眠れないのが一番つらい。でも足のこともあるし、このまま年を取ってもっと眠れなくなって、もっと動けなくなったらどうしようと不安で仕方ない」と、ご主人に背中を押される形で当院へ相談に来られました。

初診の状態
  • 01

    下部頚椎に黒ずみ

  • 02

    仙骨中央に浮腫

  • 03

    頸部の筋緊張

経過と内容

腰部レントゲン側面像では、L5D6レベルであり、腰椎前弯カーブは消失していました。
頸部レントゲン側面像では、前弯カーブが消失し後弯気味で、C3C7D6レベルでした。椎骨の変性も進んでいました。
そのため、本来であれば週3回からのケアが望ましい状態でしたが、仕事や家事のご都合により、週2回からのケアを開始することにいたしました。

5週目(6回目のアジャストメント)では、仙骨周囲の浮腫が目に見えて減少し、坐骨神経痛の痛みも軽くなってきました。それに伴い「夜中に痛みで目が覚めることが減り、少し眠れるようになってきた」とご本人からの報告があり、睡眠の質にも改善が見られました。

8週目(8回目のアジャストメント)では、「これまでは欠かせなかった睡眠導入剤を飲まなくても眠れる日が出てきた」との変化がありました。坐骨神経痛の痛みもさらに和らぎ、日中の動きやすさが増してきた様子でした。

19週目(15回目のアジャストメント)になると、「眠れるかどうかの不安がなくなった」とお話しされ、睡眠に関する悩みはほぼ解消しました。また、坐骨神経痛の痛みも完全になくなり、「歩くのが楽しくなってきた」と笑顔で語られるようになりました。

現在は症状自体は消失していますが、ご本人の強い希望もあり、今後も健康維持のためにカイロプラクティックケアを継続していく予定です。


考察

不眠症の原因としては、ストレスや緊張、生活習慣の乱れ、環境の変化などがよく挙げられます。けれども、こうした外的な要因にだけ対処しても、十分な改善につながらないケースは少なくありません。同じような環境で生活していても、不眠になる人とならない人がいるのは、その背景に「体の内側の問題」が関わっている可能性があるからです。

今回のケースでは、長年睡眠導入剤を手放せなかった患者さんが、カイロプラクティックケアを続けることで薬を使わなくても眠れるようになり、最終的には「眠れるかどうか不安になること自体がなくなった」と話されるようになりました。これは単に気持ちの変化ではなく、脳と神経のつながりが整い、体内時計の働きが回復した結果だと考えられます。

体内時計は、睡眠と覚醒のリズムだけでなく、体温やホルモンの分泌など、私たちの体の多くの働きを調整しています。朝は太陽の光を浴びることで交感神経が働き、セロトニンというホルモンが分泌されて目が覚めます。そして夜になると副交感神経が優位になり、メラトニンが分泌されて深い眠りにつくことができます。この流れが乱れると、眠れない状態が続いてしまいます。

カイロプラクティックは、背骨や骨盤のバランスを整えることで神経の流れを回復させ、体が環境の変化にうまく対応できるように導きます。神経が正しく働くと、脳は環境の情報を正しく処理し、必要なホルモンを必要なタイミングで分泌できるようになります。このことが、不眠症の改善につながったと考えられます。

また、この患者さんは不眠症と同時に坐骨神経痛にも悩まされていましたが、痛みの軽減と睡眠の改善が同時に進んだ点も重要です。痛みは自律神経を緊張させて眠りを妨げるため、痛みの緩和は睡眠の質の改善にもつながります。

不眠症は「眠れない」だけの問題ではなく、日中の活動や集中力、自律神経やホルモンの働きにまで影響し、全身の健康に関わってきます。そのため、不眠症を改善することは生活の質を高める大切な一歩です。今回のケースは、カイロプラクティックによって神経機能が回復し、薬に頼らず眠れるようになり、生活全般の改善につながった一例といえます。

つまり、不眠症の根本的な改善には、ストレスや生活習慣といった外側の要因を見るだけでなく、体の内側、特に神経の働きに目を向けることが重要だと考えられます。

細井 康隆

執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆

埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。

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