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首の痛みとしびれを伴う甲状腺の問題

首の痛みとしびれを伴う甲状腺の問題

50代女性
主訴
首の痛み、左上肢のしびれ、足のむくみ
来院に至った経緯

6年前、ある日突然、原因は分からないまま首に痛みを感じるようになった。当初は病院に行くほどの痛みではなかったため、そのまま過ごしていたが、一昨年頃から症状が悪化し、生活していても症状が気になるようになった。首の痛みが慢性的に続き、特に左側を下にして寝ると悪化する傾向があった。一方で、腕を上げると痛みが軽減するという特徴的な症状があり、腕を使う動作(例えばペットボトルのふたを開ける動作など)をすると逆に悪化することが多かった。そこで、2023年6月と7月に病院で診察を受け、2回のレントゲン検査を実施。その結果、首の痛みの主な原因は「頸椎下部の椎間板変性」であると診断された。治療として、1週間に1回のペースで注射を3〜4回受け、首の牽引療法も行った。しかし、それらを続けても症状の改善は見られず、次第に左腕の力が抜けるようになり、しびれが発生するようになった。最近は、首を後ろに反らせる(伸展動作)と痛みが強まり、左へ回旋する動作も困難になっていた。さらに左手全体にしびれを感じることが増え、特にひどい時には力が入りにくくなることもあった。これらの症状には時間帯による変化はなく、一日を通して続いていた。

同じ頃、健康診断では「甲状腺機能低下症」を指摘されており、その影響も気になっていた。特に夕方になるとむくみがひどくなり、これが首の痛みと関係しているのではないかという不安を抱えていた。もともと体温は低めで、時折活力が出ないこともあり、慢性的な疲労感や体調不良が続いていたため、何となく生活が過ごしにくいということを実感していた。こうした体調の変化が、現在の症状とどのように関係しているのかも気になっており、根本的な改善を求めるようになった。

腰はいつからかは覚えていないが、慢性的には痛みを感じている。動きの中ではそこまで痛みはなく、座っていると短時間(20分ほど)で腰を動かしたくなる。しかし、首の痛みの方が強いため、本人はそこまで気にはかけていない様子であった。

「痛みを解消し、日常生活を快適に過ごしたい」という思いがあり、具体的には、飲み物をスムーズに飲めるようになりたい、自宅の壁時計を無理なく見られるようになりたいといった日常動作の改善を望んでいた。また、長年楽しんでいる音楽ライブにストレスなく行けるようになりたいという願いもあり、それを実現するために来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    頸部全体の起立筋の過緊張

  • 02

    頚部の右側への疼痛回避姿勢

経過と内容

初診時の視診では、腰部の左凸、頭部前方位、両肩の平行性が確認された。体表温度検査では、S3、C7、C1に異常反応が見られ、左右の温度の誤差が確認された。静的触診では、C7棘突起下端のスポンジ状の浮腫、頸部全体および腰部起立筋の過緊張が認められた。動的触診では、右仙腸関節の可動制限とC7の可動制限が見られた。レントゲン評価では、C6/C7、L5/S1の椎間板がD3レベルと慢性的な変性が確認された。頚部の伸展は10度程で疼痛を誘発し、左側への回旋動作にも制限がみられた。足のむくみは下腿を押すと、少し後が残る。

2回目のアジャストメント時に、レントゲン撮影の紹介状を渡し、追加撮影を実施。レントゲン分析の結果、頸椎の前弯カーブ消失、C3からC5のカーブ消失、左耳介上方変位、T4からT11にかけての側弯(左凸)が確認された。また、T11の椎間板はD4レベルの慢性変性を示していた。患者は、小児期に転倒したことがあると話しており、また過去に1年間顕微鏡を使用する作業を続けていた職歴を思い出した。腕のだるさには変化はまだないが、動かすのが楽な気がするとの事。

7回目のアジャストメント後には、左腕のしびれの頻度がかなり減少し、楽になってきたと報告。さらに、この頃から始めたパートで作業をしていても、しびれの悪化は見られなかった。というよりも、疲れやすさが軽減しているように自覚する。首も動かしやすさを取り戻しつつあり、上を向く角度も45度まで改善している。左に向く動きも難なく行うことが出き、車の運転で後ろを振り向くことも容易になった。

10回目のアジャストメント後には、頸部の痛みは改善され、ほぼ真上を向くことも可能となった。手のしびれもほとんど消失した。また、足のむくみもなんとなく細くなったような感じがし、自覚はなかったものの歩くのが楽になったような感じがしたとの事であった。娘さんとライブに行く約束をしており、後日、難なくライブを過ごせたとご報告をいただいた。


考察
岡芹 侑哉

執筆者OKA接骨院・鍼灸院・カイロプラクティック岡芹 侑哉

1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。

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