辛かった首から肩にかけての痛みが改善
20代の頃、スキーで転倒し左骨盤骨骨折、左股関節脱臼で手術をした。その後、痛みなど気になりながら生活していて、徐々に左股関節の痛みが悪化し、歩行も困難な状態となり40代で左股関節を人工関節にした。
50代の頃から左膝が徐々に痛みが出始め、痛みを我慢していたら膝に水が溜まるようになってしまった。知人の紹介で整形外科を受診し、膝の関節が狭くなっていると診断を受ける。その頃から、膝に水が溜まったら整形外科に抜きにいき定期的に通院をしていた。
社会人になりデスクワークで長時間座っていることが増えてから首こり・肩こりを感じ始め、現在は首から肩甲骨まで凝っているというよりは、痛みでパソコンの作業に集中できなくなってしまう。整体やマッサージ、ストレッチ専門店にも半年ほど通院したが、やった直後は楽になるがすぐに戻ってしまった。
知人の方が当院に通院しており、患者様のご紹介で来院に至る。
頚椎から背中にかけて過緊張
腰部脊柱起立筋の過緊張
左膝の膝蓋水腫
腰部の椎間板がD5レベルと確認されたため、週3回のケアを提案したが諸事情により週2回のペースからケアを開始した。
2週目(3回目のアジャストメント)には、膝蓋水腫が軽減、歩行時の膝の痛みも改善した。
3週目(4回目のアジャストメント)には、膝は水を抜かなくても維持できている。
4週目(6回目のアジャストメント) には、頚から背中の痛み、腰痛の改善がみられた。また、痛みが出てもすぐに和らぐようになる。
6週目(8回目のアジャストメント)には、長時間歩いても膝は痛みが出なかった。
9週目(11回目のアジャストメント)には、1週間間が空いても前回アジャストメントした部位が維持できていた。
今回の患者様の主訴は首から背中にかけての痛みで来院された。主訴の他にも左膝の痛み、腰痛の悩みがあった。検査と問診で自律神経の症状はみられなかったため筋骨格系でアプローチを開始した。
主訴である首から背中の痛みでは、特に肩甲骨の内側の痛みを強く訴えておられ、首から肩甲骨の辺りまで筋肉の緊張が強くみられた。さらに症状を強く感じている辺りの第2胸椎から第7胸椎まではディッシュで生理的な弯曲が消失し真っすぐな状態だった。生理的な弯曲が消失しまう原因の一つに骨盤のバランスの乱れが考えられる。左右の骨盤のバランスが乱れていれば骨盤の上にある背骨にも負担がかかってしまうからである。
腰の痛みも骨盤のバランスの乱れによって背骨の配列にも影響があり、椎間板にも負担となってしまうと考えられる。
左膝の痛みはレントゲン上でみてわかるくらい関節が狭くなっていたのであろう。痛みや水が溜まってしまう原因も関節が狭くなっているところ炎症が起こっていたからではあるが、膝関節が狭くなってしまう原因はレントゲン評価でも骨盤の傾きがみられ、骨盤の可動域の低下があったからと考えられる。
骨盤の動きが妨げられることで股関節の可動域は大きな影響受けやすい。股関節の役割の一つは上半身の重さを二分して左右均等に分散する働きがあるが、うまく働かないと膝関節は影響を受けてしまう。
さらに、骨盤や腰部から出る神経は膝関節にも関与しており、体の土台である骨盤部で長期的に神経の流れに負担がかかっていたことも、左膝の炎症していた部分の回復も低下してしまったものと考えられる。
過去にも左側の骨盤骨骨折、左股関節脱臼の既往歴があり、その後、左股関節は症状が悪化し人工関節の手術をしている。左右の骨盤のバランスは乱れやすい状態となっていたのだろう。
骨盤や背骨でのサブラクセーション(根本原因)へのアジャストメントによって、今回の悩みであった部分である頚や背中、腰部、左膝への負担が軽減したことと、神経の流れが正常に戻り自然に損傷部分が修復されたものと考えられる。
外傷や人工関節があったとしても、サブラクセーションを取り除くことで体が自然と回復できることを改めて実感できた症例であった。
今後も引き続きケアを続けていきながら経過をみていきたい。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。