
昔から左顎が口を開けるたびにカクカクしていたが、特に痛みがなかったのでそのうちに治るだろうと放置していた。2年前に固いものを食べた時、急に左顎の痛みが強くなり近所の接骨院に通う事になった。顎が痛かったものの、肩こりが原因だという事で顎には原因がないという事で、少し不信感ももちながら少し通ってみた。顎には何も施術される事はなく、肩と首の治療のみ。継続的な通院の結果、強い痛みは軽減したもののずっと違和感があったが通院はやめてしまった。
そんな中、数ヶ月前急に痛みが強くなり、口も開かない状態(指が縦に2本くらいしか開かない状態)になってしまった。口が十分開かない中でもなんとか食べれるものを食べていたが、食べ物を噛むとカクカクと耳の奥で響き、左顎に痛みがあるため満足に食事ができず、食事も楽しくなくなってしまった。
困っていたところ、近所にカイロプラクティックがあった事を思い出し、カイロプラクティックで対応してくれるか相談したところ、改善例があるようなのでカイロプラクティックの事がよく解らなかったけど思い切って通院する事にした。口を開けるカクカクが耳に響き、特に難聴や耳鳴りはなし、顎をぶつけた外傷歴もないという。
右へ頭部の傾き
左頸部の過緊張
右仙腸関節の可動制限
腰部や頚部椎間板の状態がD3(2~5年経過)であったが、頸部の生理的カーブが消失し慢性化している点と、左頸部の緊張が強く、顎関節開口障害が出ていることから週2回のケアが考えられたが、仕事の都合も考慮し週1回のケアからスタートした。
右仙腸関節と左アトラスの副交感神経サブラクセーションからアプローチを絞ってケアを始めた。
1週目(1回目のアジャストメント)には、アジャストメント後には顎のガクガクした感じは残る物の開口が指2本が3本まで開くようになった。
2週目(2回目のアジャストメント)には、問診時に特に訴えていなかったが、日中におこる頭痛や倦怠感が軽減してきた。顎の状態は現状維持の状態。食事もおかずを小さく切って食べている状態が続く。
3週目(3回目のアジャストメント)には、仙骨の浮腫や後頭下の浮腫も軽減してきた。左頸部の緊張も軽減したきた。
4週目(4回目のアジャストメント)には、顎のガクガクが大幅に軽減し、殆ど気にならなくなった。開口も全開までいくようになった。食事も普通に食べれるようになった。
6週目(5回目のアジャストメント)症状が少し戻ってしまい顎のガクガクが気になるようになった。アジャストメント後は回復した。状態が良くなってきていたので1ヶ月に1回の予防のケアに移行した。
現在も1ヶ月に1回のケアで予防を継続している。
今回のケースでは、第1胸椎から第6頸椎まで正常な可動域が制限されていた事で、頚肩部の過緊張が起こっており、顎関節の関節機能障害がおこっていた。
第1胸椎のアジャストメントも考慮したが、右骨盤の可動制限による影響が大きい事、及び開口時には顎関節とともに後頭骨と第1頚椎の関節の可動も関係してくる為、顎関節症としてのメジャーは第一頸椎であると考えた。また、交感神経優位による頚肩部、咬筋の過緊張で顎関節の機能障害も影響していると考慮し、副交感神経のサブラクセーションと決定した。
骨盤のアジャストメント後においては、左頸部の過緊張が軽減し、第1胸椎から第6頸椎までのフィクセーションが改善した。土台の不安定性が頚部にも影響し頚肩部の過緊張に作用していたと思われる。
顎関節の開口障害と左顎にガクっと口を開けるたびにクラック音があり、左顎関節が前下方変位していた為、アジャストメントをおこなった。アジャストメントを続けるとクラック音は軽減し最後には消失した。
副交感神経機能改善により、緊張の緩和から左顎の痛みが改善に繋がり、更には環椎後頭関節の機能改善から運動神経も正常に伝達され、開口障害も改善に至ったと考えられる。
執筆者花みずきカイロプラクティック院孕石 尚志
昭和48年7月 静岡県島田市出身
東京世田谷にある東京カイロプラクティック師協会認定の附属治療院でのインターンを経て、2005年7月島田市にて開業。近隣医院と提携したレントゲン評価を導入した正統派カイロプラクティック院として評価され、新規患者の約7割が紹介という広告に一切頼らない口コミによるネットワークを確立。2023年より母校であるカイロプラクティック界の名門塩川スクールにおいて、塩川満章D.C. 塩川雅士D.C.と共にカイロプラクティックの講師として活動中。