鼻血が出なくなって生理周期も安定した!
お母さんの話によると赤ちゃんの頃から便秘気味だったようだが、中学生になる頃には1週間以上も便が出ないということが当たり前になっていた。また、幼少期の頃から寝つきが悪く、寝てもすぐに目が覚めてしまうことが続いていた。
小学生の頃からアレルギー体質で、体調が悪い日は草木や金属など、さまざまな物に反応してしまい、肌が赤くなるような発赤が出てしまうことが頻繁にあった。この頃から手の指先や足のつま先にしびれを感じることが頻繁にあった。
高校生になった頃から頭痛が頻繁に出るようになった。時間帯や天候の変化などは関係なく、いつも急に頭痛がしてくる。頭痛の出る場所は毎日のように変わり、日によってはズキズキしたり、ドクンドクンと脈打ったり、頭全体がギューッと締め付けられるというように頭痛の質も毎回違った。
婦人科系の問題もあり、生理痛は生理が始まった当初からきつく、特に初日や2日目は腹痛で動けなくなるほどだった。また生理不順もあり、3か月生理が来なくなることもあったり、来てもほとんど出血もなく1日で終わってしまったりが続いていた。
今回、来院に至った一番の理由は、ここ2年間で頻繁に鼻血が出るようになってしまったことだった。また、大学生になった頃から便秘がさらに酷くなり、来院前には2週間便が出ていなかった。
鼻血の方は病院で精密検査を受けても「鼻の粘膜が少し弱いですね。」としか言われなく、それ以外はまったく異常なしと診断されてしまった。どうしらたいいのか不安に思っていたところ、親戚の方のご紹介で来院された。
頸部全体の過緊張
右仙腸関節の可動域制限
正中仙骨稜の異常な浮腫感
椎間板にはそれほど異常は確認されなかったため、初期集中期の段階では週1回のケアからスタートした。
4週目(4回目のアジャストメント)には、一番気にしていた鼻血はまったく出なくなった。また来院時には2週間出ていなかった便秘が3日に1度くらいは出るようになった。また頭痛の頻度も明らかに減ってきた。
6週目(6回目のアジャストメント)には、便秘も調子が良いときは1日1回は出るようになった。この頃から睡眠の質が変わったと感じるようになり、今まではちょっとした物音でも起きてしまっていたのが朝まで眠れるようになった。この段階でケアのペースを2週間に広げることができた。
12週目(9回目のアジャストメント)には、最低でも1日1回は便が出るようになった。この頃には睡眠の質もすっかり改善し、頭痛も一切出なくなった。また生理痛も明らかに軽くなり、生理周期も安定してきた。
18週目(12回目のアジャストメント)には、アレルギー反応以外の症状はすっかり落ち着き、ケアのペースを3週間に広げることができた。
27週目(15回目のアジャストメント)には、徐々にアレルギー反応にも変化が見られ、体調が良い日は金属製のネックレスをつけていても発赤は出なくなった。
現在は、二度と同じ症状には苦しみたくないという思いから、月1回のカイロプラクティックケアを継続している。
今回のケースでは、骨盤部と上部頸椎という副交感神経支配に反応が強くあったことから交感神経が過剰に働くことで自律神経のバランスが乱れ、その結果として不眠症などにも繋がっていたのだろう。
両手足がしびれる問題は、触診すると手足など末端が冷え切っていた。交感神経が優位に働くと末梢の血管が閉じてくるが、その状態が長くに続くことで末端まで血が巡らなくなり末端冷え性になってしまう。その結果、血流異常による手足のしびれを感じていたのだろう。
頭痛に関しては、時間帯や天候の変動などは関係なく、また頭痛が出る場所や頭痛の質が毎日のように変わるケースに関してはホルモンバランス異常が考えられる。自律神経のバランスが乱れることで、体の各ホルモン分泌器官と脳の情報のやり取りが上手くいかなくなることでホルモンバランス異常を引き起こしていたと考えられる。
今回の主訴であった『頻繁に出る鼻血』の問題は、便秘や生理不順などが原因で体に毒素が蓄積した結果、体の外へ毒素を排出しようとした人間が本来持っている排出機能によるものだと考えられる。
便秘は、交感神経のサブラクセーション(根本原因)が問題となっている場合が多いが、幼児期からあるものは副交感神経の問題である可能性が極めて高い。幼児期からの便秘によって、体に毒素が蓄積してしまったと考えられる。
生理不順も体に毒素を蓄積させてしまう原因となる。生理、つまり月経は女性にとって月に一度の体のお掃除にあたる。3か月に1度しか生理が来なかったり、来ても1日で終わってしまったりと体に毒素が溜まりやすい環境になってしまっていたのだろう。また、生理不順だけではなく、生理痛もあり、女性ホルモンの分泌異常が考えられるが、女性ホルモンの乱れは便秘の原因にもなってしまう。
女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌に異常をきたすと、代わりにプロスタグランジンというホルモンが過剰に分泌されてしまう。プロスタグランジンは痛みを伴うホルモンで生理痛の原因にもなる。
子供の頃からあったアレルギー体質やちょっとしたことでの発赤も体に毒素が溜まっていたことも要因だろうと考える。アレルギーには副腎という臓器が関係していることが多いが、土台である骨盤部の乱れは下部胸椎にある副腎の神経支配領域に2次的負担をかけてしまう。副腎に繋がっている神経に対して直接的に負担をかけているのか、補正作用によって2次的負担がかかっているのか、あるいは自律神経のバランスが乱れ、ホルモンバランス異常が起こっているのかを詳しく検査することが重要となってくる。
今回の症例のように、症状がたくさん出ている場合は、まず初めにどこの神経系に負担が掛かったのかを特定することが極めて重要となる。問診や検査によって問題の神経系を絞ってアプローチすることの重要性が分かる症例である。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真
1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。