
ラグビーも復帰できた
仕事柄、一日中座り続けることが多いが、体力維持と健康管理のため、週に1回ジムに通い、週に1回ゴルフを楽しんでいる。さらに、長年の趣味としてラグビーも週に1回行っていた。しかし、最近になって身体の不調が現れ始め、ラグビーのプレーが困難になったため、現在は休止している状況である。
症状の始まりは1ヶ月前にさかのぼる。左肩甲骨の内側に痛みを感じるようになり、初めのうちは軽い筋肉の張りや疲労によるものと考えていた。しかし、痛みは徐々に強くなり、2週間前からは左肘から左指先にかけてしびれが現れるようになった。特にデスクワーク中や長時間同じ姿勢を続けた後に症状が悪化し、日常生活にも影響を及ぼすようになっていった。さらに、上を向くと痛みが強くなることに気づき、違和感が増す一方であった。
このような状態が続いたため、原因を知るためにインターネットで調べたところ、「頸椎症」の可能性が高いのではないかと考えるようになった。症状が当てはまることもあり、不安を感じたため、整形外科を受診した。診察の結果、医師からは「頸椎症」と診断され、経過観察とともに、痛みが続くようであればリハビリや投薬治療を行うよう勧められた。しかし、診断を受けた後も症状は改善せず、むしろ新たな違和感が出現するようになった。最近では、右腰にも違和感を覚えるようになり、これまでになかった不調が次々と現れている状況であった。
このままでは仕事や趣味に支障をきたすだけでなく、さらに症状が悪化するのではないかという不安が強くなった。整形外科での診断を受けたものの、根本的な改善には至らなかったため、他の治療法を探していた。より専門的な施術を受けることで、原因を明確にし、適切なケアを行いたいと考えるようになった。そして、信頼できる施術を求めて情報を集めた結果、当院の存在を知り、一度診てもらおうと決意し、来院に至った。
下部頸椎部にスポンジ状の浮腫
右仙腸関節の可動制限
左頸肩部筋の過緊張
初期集中期として週に2回のペースでケアを提案したが、仕事の関係上2週1回のケアで開始することとした。
4週目(3回目のアジャストメント)には、以前よりは眠れるようになってきた。うつ伏せと頸部伸展はまだ痛みと左手のしびれは残存している。腰も可動時なし。
8週目(6回目のアジャストメント)には、頸から背中の痛みは落ち着いてきた。頚部左側屈と左回旋は問題ないが、うつ伏せと頸部伸展はまだ痛みと左手のしびれはまだ残存している。昨日ゴルフして腰に張り感はあるが、日常生活に問題はないとのこと。
14週目(9回目のアジャストメント)には、頚部伸展やうつ伏せもしびれは落ち着いている。左手知覚鈍麻も左右差無くなったとのこと。
その後ラグビーを再開しても全く問題なし。身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回のケースでは、初診時に下部頚椎と骨盤に明らかな可動域制限が確認され、さらに強い浮腫感がみられた。体表温度検査では左右の温度差が顕著であり、神経の機能異常が示唆された。
特に下部頚椎の影響により、左手のしびれが出現していたと考えられる。しびれの進行過程は「痛み→しびれ→麻痺」の順に進み、回復時には逆の順番で改善していく。初期段階では、神経への圧迫が長期間続いていたため、改善には時間を要すると予測された。
ケアを開始した当初は、睡眠の質が向上するなどの回復の兆しがみられたが、うつ伏せや頸部伸展時には痛みと左手のしびれが残存していた。このことから、神経の圧迫が依然として残り、完全な回復にはさらなるアジャストメントが必要であると考えられた。
その後、頸から背中にかけての痛みが軽減し、頸部の左側屈および左回旋の可動域が正常化した。しかし、頸部伸展時の痛みや左手のしびれは持続しており、完全な神経の回復にはまだ時間が必要な状態であった。ゴルフ後に腰に張りを感じたが、日常生活に支障はなく、身体の適応力が向上していることが確認された。
継続的なケアによって、頸部伸展やうつ伏せ時のしびれはほぼ解消され、左手の知覚鈍麻も左右差がなくなった。これは神経の修復が進み、サブラクセーションによる神経圧迫が解消された結果と考えられる。その後、ラグビーを再開しても問題が発生しなかったことから、神経系の機能が正常化し、体が適切に環境へ適応できる状態になったと判断できる。
本症例では、神経の圧迫が原因となり、痛みやしびれが発生していた。しかし、定期的なカイロプラクティックケアにより、神経の流れが正常化し、症状の改善が見られた。
特に、回復過程でしびれが消失し、最終的には知覚の左右差もなくなったことから、神経の修復が適切に進行したことが確認できる。また、継続したカイロプラクティックケアによって、スポーツ活動への復帰後も問題が起きることなく、身体のメンテナンスができている点は非常に重要である。神経系のバランスを保ち、体の適応力を高めるために、今後も定期的なケアを行うことで、さらなる健康維持とパフォーマンス向上が期待できる。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生
1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。