頭痛

薬に頼らなくても頭痛が出なくなった！

来院に至った経緯

仕事は配送業の仕事をしている。朝早くから夜遅くまでトラックの運転と荷物の持ち運びという重労働を10年近く続けている。その影響か腰痛が酷くなり、夜になると頻繁に右脚のふくらはぎがつるようになった。ほとんど毎晩ふくらはぎがつってしまう日があまりにも続くので、針治療やマッサージに通ったが症状はまったく改善しなかった。

20歳頃から頭痛に悩まされていた。頭痛が出る時間帯はいつも夕方以降で、酷くなると吐気を伴うほど頭痛が出るので、今日は頭痛が出そうだなという日は頭痛薬を飲むことがクセになっていた。20年以上、この頭痛と付き合ってきたので慣れっこになってしまっていたが、半年くらい前からずっと飲んでいる頭痛薬が効かなくなり、夜も眠れないようになった。これまで頭痛はあっても不眠症ということは一度もなかった。なんとか眠れると、翌朝には頭痛は治まっているが、夕方になるとまた頭痛が出るというサイクルを繰り返していた。

これまでは薬を飲めば治まっていた頭痛が、薬がまったく効かなくなったことに不安を感じ、年齢的なことも考えてしっかりと体のメンテナンスをしないとダメなのかと思い、何かないかなと探していたところ知人の紹介で来院された。

初診の状態

• 01

  右仙腸関節の可動域制限

• 02

  腰部起立筋の過緊張

• 03

  右後頭部のしこりのような浮腫感

経過と内容

腰部の椎間板がD3レベル、頸部の椎間板はD5レベルが確認されたため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。1回目から2回目の間隔が2週間以上開いてしまったが、それ以降は週1回のペースで来院された。

3週目(2回目のアジャストメント)には、ほとんど毎日のように夜つっていたふくらはぎは、まったくつらなくなった。仕事中も腰痛はそれほど感じなくなったが、翌朝起きると腰が固まっている感覚があった。

5週目(4回目のアジャストメント)には、寝起きに感じていた腰痛も気にならなくなり、頭痛の頻度も明らかに減ったと感じるようになった。

9週目(7回目のアジャストメント)には、右仙腸関節上端と内縁にあった浮腫感も顕著に減った。この段階では、週2回くらいは夕方になると頭痛が出ていたが、かなり安定してきたのでケアのペースを2週間に一度まで広げることができた。

15週目(10回目のアジャストメント)には、20年以上感じていた夕方になると出る頭痛がまったく出なくなった。また、この頃には睡眠の質もすっかり安定してぐっすり眠れるようになった。

現在は症状はすっかり治まったが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。

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考察

今回の腰痛の原因は、土台である骨盤の乱れから腰部に必要以上の負荷がかかっていたこと。また、夜寝るときにふくらはぎがつってしまうことも、骨盤の制限によって起こっていたと考えられる。骨盤から下肢へ伸びる神経機能に異常をきたした結果、下肢の関節や筋肉の動きにも制限がかかり、ふくらはぎに必要以上の負荷をかけていたのだろう。

20年以上、頭痛薬が手放せずに続いていたが、夕方から出る頭痛は交感神経が優位になっている特徴でもある。夕方以降の頭痛は緊張性の頭痛で、交感神経が過剰に働くことで起こる可能性が高い。不眠症も交感神経が過剰に働き、副交感神経のスイッチが入れられずに陥っていたものと考えられる。

自律神経は一度乱れると、その周期に変化が訪れるまでは最低でも3か月間を要する。神経は一瞬では回復せず、一日0.3～1㎜ほどとされている。今回の頭痛や不眠症の問題も変化が出るまで約3か月間を要したことから、自律神経の乱れによって起こっていたものと考えられる。

また、C5の椎間板の段階がＤ5レベルと慢性的ではあったが、触診をすると完全にハイパー(動き過ぎ)ということもあり、そこは一切触らずに上部頸椎にアプローチしたことが結果に繋がったと考えられる。交通事故もなく、1か所だけ頸部の椎間板が薄くなっている場合は、その上下がフィクセーション(固まり)してしまい、椎間板が薄くなっているところだけがハイパー(動き過ぎ)となり、関節面や椎体が摩耗するということが頻繁に確認される。
今回の症例は、「椎間板が損傷している」＝「そこをアジャストメントする」とはならない典型的な例である。しっかりと検査をしてサブラクセーションを特定して、それを取り除き体の情報を脳へ届けることの重要性が分かる症例である。