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頚椎症による右腕の痺れ、慢性的な肩こり・首こり・腰痛、何度も繰り返すぎっくり腰

頚椎症による右腕の痺れ、慢性的な肩こり・首こり・腰痛、何度も繰り返すぎっくり腰

50代女性
主訴
頚椎症による右腕の痺れ、慢性的な肩こり・首こり・腰痛、何度も繰り返すぎっくり腰
来院に至った経緯

25年前に電車の中で当時3歳の子供を抱っこしようとして持ち上げた瞬間に電車が揺れてバランスを崩し、初めてぎっくり腰をやった。それ以来、日常生活において慢性的に腰痛を感じていた。

40歳で子供が高校を卒業したタイミングで転職し、介護職についた。デイサービスの仕事で、人を支えることが多く、25年ぶりにぎっくり腰をやってしまった。それ以来、何度もぎっくり腰を繰り返していて、介護職15年間で合計30回以上ぎっくり腰をやった。

整形外科を受診してレントゲンを撮ったが骨には異常ないと言われ、仕事中はコルセットを巻くように指示されてコルセットを巻いて仕事をしていた。仕事中は腰への負担は多少マシになったが、今度はコルセットを巻いていない普段の生活中にぎっくり腰をやってしまうようになった。

介護職についてからは近所の整体院や針鍼灸院に何度もお世話になっており、体のメンテナンスは欠かすことができなかった。腰痛がまったくなくなることは一度もなく、寝起きの20分くらいは特に腰回りが固まっていて、毎朝熱いシャワーを浴びないと動けなかった。

ある日の仕事中に、デイサービスの利用者を車イスから立ち上がらせるために、肩に腕を巻いてもらった。いつも行っている動作だったが、肩に回してもらった腕を持ちながら利用者を抱きかかえた瞬間に首から頭にかけてビリっと電気が走った。

次の瞬間、立っていられないほどの猛烈な頭痛のような首の痛みに襲われ、その場で崩れ落ちて動けなくなった。すぐに救急車で病院に運ばれてレントゲンやMRIを撮ったが、ヘルニアにはなっていないし、それ以外も特に異常なしと診断された。

念のため、脳の精密検査も受けたが異常はなく、その日は病院のベッドの上で少し休んで自力で帰宅することができた。次の日の朝、首の猛烈な痛みで目が覚めた。

首を動かすことがほとんどできなくなり、特に上と右後ろを向くような動作は一切できなかった。右腕全体に痺れが出ていて、特に右手の親指側に強い痺れを感じていた。手をグーパーするとゴワゴワしているような感じになり、これは絶対にただ事ではないと思い、仕事を休んで別の病院に行った。

病院では首のレントゲンを撮って、頚椎症と診断された。これまで腰を痛めることは頻繁にあったが、首を痛めたことは一度もなく、どのようにしたらいいのか分からなかった。病院では、少しリハビリすれば良くなりますよと言われたが、リハビリに3か月通っても首の痛みや右腕の痺れは改善しなかった。

肩こりも昔からあったが、首の猛烈な痛みが出てからは肩こりというレベルではなく、頭痛や吐き気がするほど強い痛みが続いた。また、あまりの首の痛みに眠れなくなってしまったため、いつもの腰を痛めた時にお世話になっていた整体院や針鍼灸院に通ってみたが、これは手に負える状態ではないですと見放されてしまった。

ちょうど年末年始を迎える時期だったので、仕事はしばらくお休みをさせてもらうことになった。お正月に、昔から家族ぐるみの付き合いがある友人が家に来て、私の状態を知った瞬間に、「自分も左腕に痺れが出ていたのが、ここの先生に診てもらって良くなったから、すぐに行きなさい!」と猛烈に進められた。

信頼している友人からの紹介で、しかも自分と同じように腕の痺れが出ていて良くなったと聞けば断る理由もなく、紹介という形で当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部全体の過緊張

  • 02

    頸部側屈の極端な可動域制限

  • 03

    隆椎周辺の強い浮腫感

経過と内容

初診時の状態では、下部頸椎と下部腰椎、骨盤部には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、下部頸椎と下部腰椎、骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。

頚部は明らかに熱感を持っていて、頚部全体が炎症しているような状態であった。隆椎周辺と下部腰椎、右上後腸骨棘上端に強い浮腫が確認され、頚部全体と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD6レベルで椎骨の変性が確認された。首の椎間板の段階も慢性的なD6レベルで椎骨の変性も確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックとなっていた。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、眠れないほどの首の痛みは軽減されて、睡眠はなんとか取れるようになった。頸部全体にあった熱感は顕著に引いてきた。

7週目(7回目のアジャストメント)には、右腕の痺れに変化が出てきて、痺れが弱まってきて右腕全体が筋肉痛のような重だるさを感じるようになった。また、寝起きの腰痛はそれほど感じなくなった。

15週目(12回目のアジャストメント)には、右腕の痺れが緩和されてくると、頚部や腰部の痛みをピンポイントでここだと感じるようになった。仕事も少しずつできるようになったが、仕事終わりになると右腕の痺れが少し出てしまった。

21週目(17回目のアジャストメント)には、首や右腕に出ていた痛みや痺れはまったく感じなくなり、仕事もいつものようにできるようになった。肩こりや腰痛も、カイロプラクティックケアを受けるたびに楽になっていると感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の頚椎症による右腕の痺れは、下部頸椎から右腕に向かって伸びる神経への負担が原因であったと考えられる。

検査では、下部頸椎と骨盤部に強い反応がみられた。首は全体的に熱感を持っており、強い炎症が起こっていたと考えられる。今回のケースでの炎症はそれほど悪いものではなく、患部の代謝を高めて治癒しようとした結果だと考えられるが、右腕全体(右手の親指)に痺れが出ていたことを考えると患部にはかなりの負荷が掛っていたと考えられる。

人間の痛みの感覚は「正常→痛み→痺れ→麻痺」の順番で進行していくが、回復過程では「麻痺→痺れ→痛み→正常」の順番で回復していく。また、その回復過程では患部が重くなったり、筋肉痛のように感じる場合もある。今回のケースでは、回復過程で顕著にその過程を辿って行った。

頚部はレントゲン評価でも6段階中、6段階目であるD6レベルと慢性的であった。長年の肩コリもあったが、骨格が不安定になったことで頭の重さを支えられずに、首肩の筋肉をガチガチに固めて頭部の重さを支えようとした結果の肩こりだったと考えられる。

肩こりは自律神経のバランスを乱し、交感神経が過剰に働くことで体全体が過緊張を起こして発症するケースもある。そのような場合であれば、副交感神経支配の部位に絞ってアプローチを行う必要がある。今回のケースの肩こりは、自律神経の問題ではなく、頚部のみならず体の土台である骨盤部の乱れなど筋骨格系の乱れが原因であったと考えられる。

骨盤部の乱れは、長年にわたって患者を苦しめていた腰痛を引き起こす原因であったと考えられる。骨盤部には仙腸関節というものが存在している。人間には必ず補正作用があり、どちらかの仙腸関節の動きが悪くなると、反対側の仙腸関節は過剰に動いてしまう。

すると歩いているだけで腰部に捻じりの動作が加わるようになってしまう。腰の椎間板も最も慢性的なD6レベルであったが、長年の骨盤部の制限から腰部の神経にも多大な負荷が掛っていたと考えら、それによって何度もぎっくり腰を繰り返していたのだろう。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれたことで、右腕の痺れや肩こり、慢性的な腰痛の改善に繋がったと考えられる。あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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