
不安だった旅行も安心して行けた
家族で旅行に行く予定があるものの、歩くことへの不安が大きくなり来院された。
仕事は販売業でデスクワークと立っている時間も長い。
右膝の痛みは5年ほど前からで徐々に強くなり、現在では歩くと痛みが悪化する状態に。さらに、最初は右膝だけだったが最近では左膝にも痛みを感じるようになった。
腰の痛みもあり、頚部は右側の首もずっと寝違えているような状態で肩こりは慢性的に感じている。
7年前には喉の渇きが続いたことがきっかけで徐々に話すことが困難になり、耳鼻科を受診。その後、大きな病院を紹介され、そこで下咽頭がんとシェーグレン症候群と診断を受けて治療を受けていた。2年前は副鼻腔炎の手術もしている。
膝の痛みではケアしてこなかったため、家族との旅行を計画したが歩くことが不安だった。ご家族が当院へ通院していたため紹介され来院された。
首肩周りに筋緊張
仙骨全体の浮腫感
右膝膝蓋水腫あり
初診時の状態では、下部頚椎と骨盤には明らかな可動域制限と強い浮腫感、体表温度検査では明らかに左右の温度の誤差が確認された。
初期集中期の段階では週1回のケアを提示したが、仕事の関係ため週に1回以上の間隔になってしまうこともあった。
3週目(3回目のアジャストメント)には、膝蓋水腫が軽減。階段も降りるときの痛みが軽減し歩行も初回来院された時よりもスムーズになった。朝起きた際の歩き出し、椅子から立ち上がる際の歩き出しの膝の痛みは残存。
10週目(6回目のアジャストメント)には、通院での歩行や階段の上り下りでの飛騨の痛みが軽減。骨盤は仙骨部の浮腫感が軽減、腰部の筋緊張も軽減していた。
12週目(7回目のアジャストメント)には、旅行後に来院された。膝が痛くならないか不安はあったが、長時間歩いても痛みなく観光できたと話されていた。頚部の寝違えたような症状はデスクワークをしていると肩こりはあるものの、肩周りの筋緊張の改善、右側屈時の痛み改善。
25週目(9回目のアジャストメント)には、仕事の関係で2ヶ月ほど期間が空いたが、膝の痛みはあるものの日常生活に支障は出ていない。
現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。
今回の右膝の痛みは、骨盤のバランスの乱れが原因であったと考えられる。
骨盤の左右のバランスが乱れることで、股関節の可動域に大きな影響を及ぼす。股関節は上半身の重さを左右均等に分散させる役割を担っているが、この機能が十分に果たされないと膝関節への負担が増大する。
骨盤や腰部から出る神経は膝関節にも関与しており、骨盤部に長期的な負担がかかることで神経の流れが阻害され、膝の損傷部分の回復が遅れる要因となと考えられる。
損傷部位では、炎症反応が起こりプロスタグランジンが分泌される。プロスタグランジンは血管拡張や痛みの増幅を引き起こし、損傷した膝周辺の腫れや痛みを強くする。このプロセスは痛みを感じる神経と密接に関係しており、神経が過敏になることでより強い痛みを感じることがある。
アジャストメントによって、サブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整ったことと、骨盤の安定性が向上することで膝への負担が軽減され、神経の流れが正常化し、自然な修復が促された結果、左膝の痛みの改善がみられたと考えられる。
長年膝の痛みに悩んでいたが、神経の流れを整え、回復力を高めることの重要性が確認できる症例である。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。