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運動すると痒くなるアトピー

運動すると痒くなるアトピー

睡眠や足のしびれも良くなった

50代男性
主訴
全身の湿疹
来院に至った経緯

5〜6年前から湿疹が出現するようになり、特に疲労が蓄積したときや汗をかいた際に悪化する傾向がみられていた。発症当初は皮膚科を受診し、ステロイド外用薬を使用していたが、一時的な改善にとどまり、根本的な解決には至らなかった。その後はステロイドの使用を中止し、現在も湿疹を繰り返す状態が続いている。

また、消化器症状として腹痛を伴わない下痢がみられるが、特定の食べ物との関連は自覚しておらず、慢性的に続いている。自律神経の乱れを思わせる症状も以前から感じていた。睡眠についても、10年ほど前から寝つきが悪く、仕事が遅くなる生活リズムも相まって、十分な休息が取れていない状態が続いていた。

過去15年前および5〜6年前にも強い痛みを経験しており、その際にはレントゲン検査やMRI検査を受けた既往がある。ここ数年はデスクワーク中心の生活を送っており、入力作業を始めると肩こりが強く出現する状態が続いていた。また、ここ1〜2か月ほど前からは、体勢を変えた際にめまいを感じるようになり、全身の不調を強く意識するようになっていた。

今年に入ってからは腰部の症状が再び顕著となり、4月にはゴミを捨てようとした動作で腰痛が出現し、5月にも前方へ物を投げ捨てようとした際に同様の痛みを繰り返した。このときは鍼治療を受け、1週間ほどで症状は落ち着いたものの、8月にはぎっくり腰を発症し、その後左下肢にしびれが出現して約1か月間続いた。整体へ通うことで一時的に症状は軽減したが、再び左下肢のしびれが出現し、症状の再発を繰り返していることに不安を感じるようになった。

これまでマッサージや整体を定期的に受けながら対処してきたが、湿疹をはじめとする皮膚症状や坐骨神経痛、下痢、睡眠障害など、複数の不調が点在する状態が続き、「部分的な対処では限界がある」と感じるようになった。身体を全体から見直し、根本的に整える必要性を強く感じ、来院に至ったものである。

初診の状態
  • 01

    下部頸椎部にスポンジ状の浮腫

  • 02

    下部腰椎の可動制限

  • 03

    背部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、背部起立筋・左胸鎖乳突筋の過緊張、頸胸移行部・下部腰椎周囲にスポンジ状の浮腫が確認された。体表温度検査では、腰仙部と中部胸椎、下部・上部頸椎に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また腰椎5番、胸椎9番、頸椎7番に可動制限が認められた。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4/5レベルで、頸の椎間板の段階は慢性的なD5レベルが確認された。

初期集中期では仕事の都合上、週1回のケアから始めた。

6週目(6回目のアジャストメント)には、手足の湿疹が減ってきてかゆみが減少し、しっかり眠れるようになってきたと。左内くるぶしの感覚が出てきたがしびれる感じはまだあるとのこと。頚胸移行部周囲の浮腫減少してきた。SLR(-.+)。

10週目(10回目のアジャストメント)には、体幹の前や背部の湿疹も落ち着いてきた。最近はお腹の調子も良いとのこと。左足のしびれが無い日が増えてきた。下部頸椎周囲に湿疹が限局している。背部の起立筋の緊張と腰仙部の浮腫も減少してきた。また腰部屈曲の可動制限なく腰部の張り感があるとのこと。

13週目(13回目のアジャストメント)には、前かがみや腰部屈曲も違和感なく左足のしびれも落ち着いているとのこと。SLR(-.-)。最近散歩をしても体調を壊すこともなくなり、湿疹もだいぶ落ちついてきた。下部頸椎周囲の発赤と浮腫は減少してきた。

17週目(17回目のアジャストメント)には、下部頸椎周囲の湿疹もおちついてきた。仕事が多忙でも体調を崩すことなく睡眠もとれるようになり休みも外出できると喜んでいた。

現在も定期的なカイロプラクティックケアを希望しており、メンテナンスをしていくこととした。


考察

今回の症例では、湿疹やかゆみ、睡眠の質の低下、下肢のしびれといった症状が複合的にみられたが、その背景には交感神経領域の機能低下による神経伝達障害が存在していたと考えられる。初診時には、背部起立筋および左胸鎖乳突筋に強い過緊張が認められ、頸胸移行部および下部腰椎周囲にはスポンジ状の浮腫が確認された。体表温度検査では、腰仙部・中部胸椎・上下頸椎に明らかな左右差がみられ、交感神経支配領域における循環および代謝機能の低下が示唆された。また、腰椎5番、胸椎9番、頸椎7番といった交感神経と関連の深いレベルに可動制限が集中していたことも、本症例の重要な所見である。

レントゲン評価では、腰椎椎間板が慢性的なD4/5レベル、頸椎椎間板がD5レベルと、長期間にわたる負担が確認された。これらの慢性変化により、交感神経領域の神経伝達が低下し、本来交感神経が担う血管収縮・代謝促進・炎症制御・内臓機能調整といった働きが十分に発揮されていなかった可能性が高い。

交感神経機能が低下すると、皮膚や腸管、末梢神経への血流調整がうまく行われず、代謝産物や老廃物の処理能力が落ちる。その結果、皮膚においては湿疹やかゆみといった形で排出反応が現れやすくなり、腸管機能の低下によって免疫調整が乱れ、症状が慢性化しやすくなる。また、末梢神経への栄養供給が不十分となることで、下肢のしびれといった神経症状が出現していたと考えられる。

ケアを開始し、交感神経サブラクセーションに対して神経伝達の回復を目的としたアプローチを継続する中で、まず皮膚症状に変化が現れ、手足の湿疹やかゆみが徐々に軽減していった。同時に睡眠の質が改善し、夜間にしっかりと眠れるようになったことは、交感神経と副交感神経の切り替えが正常化し始めたサインと考えられる。頸胸移行部周囲の浮腫が減少してきた点も、循環と代謝の回復を裏付ける所見である。

さらに経過が進むにつれて、体幹前面および背部に広がっていた湿疹が落ち着き、腸の調子が良くなったという訴えがみられた。これは、交感神経機能の回復により腸管運動や消化・吸収、免疫調整機能が改善してきた結果と考えられる。また、左下肢のしびれが日によって消失するようになり、神経症状が末梢から順に改善していく過程が確認されたことは、神経再生・回復の生理的プロセスと一致している。

背部起立筋の過緊張や腰仙部の浮腫も徐々に軽減し、体幹の安定性が高まったことで、前かがみや腰部屈曲といった動作でも違和感がなくなった。散歩などの軽い運動を行っても体調を崩すことがなくなり、皮膚症状も大きく改善していったことから、交感神経領域の機能が回復し、身体全体の適応力が向上したと考えられる。

最終的には、仕事が多忙な状況でも体調を崩すことなく、安定した睡眠が取れるようになり、休日には外出を楽しめるまでに回復した。これは、交感神経領域の機能低下によって滞っていた神経伝達が正常化し、血流・代謝・内臓機能・免疫調整が本来の働きを取り戻した結果である。

本症例は、湿疹やしびれ、睡眠障害といった症状が、交感神経機能の低下によって引き起こされていたことを示す重要な症例である。神経機能を第一に考え、交感神経サブラクセーションの解消を目的としたカイロプラクティックケアによって、身体が本来持つ自然回復力が引き出され、全身状態の改善につながった典型的なケースといえる。

金城 寿生

執筆者塩川カイロプラクティック金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティックに入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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