

2024年9月末、カーブスで運動をしていた際に腰を痛め、ぎっくり腰のような症状を感じてしばらく休んでいました。しかし、10月初めにヨガを行ったところ症状が悪化し、その後MRI検査を受けた病院で腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。もともと成人前から坐骨神経痛を経験しており、妊娠中には左腰痛に加えて子宮内膜症や卵巣嚢腫を併発した経過もあります。
そのため、運動をすると腰を痛めやすい傾向があり、現在はコルセットを着用しながら日常生活を送っていますが、常に痛みや再発への不安を抱えています。特に立ち姿勢では痛みが出やすく、午後になると症状が強くなりやすい状況です。さらに、車の運転姿勢も辛く、遠出や旅行に行けなくなっている状態です。ただし、足への放散痛や痺れはみられていません。
身体面だけでなく全身の不調もあり、真夏でも風邪のような症状が続き、常にだるさや寒気を感じていました。お腹を下すことも多く、体調不良が続くことが精神的な不安にもつながっています。夜は入眠が難しく、現在は睡眠導入剤を使用しています。
こうした状況を改善し、旅行に出かけられる体力を取り戻したい、またスポーツに取り組んで筋肉をつけたいという前向きな希望があります。過去に他院でカイロプラクティック・ケアを受けた経験から、自分には合っていると感じ、再び本格的にケアを受けたいと考え、今回ご来院されました。
腰部脊柱起立筋の過緊張
右上後腸骨棘上部に窪んだ浮腫
右仙腸関節の可動制限
初診時には、屈むことに不安があり、レントゲン評価では腰椎5番の椎間板スペースがD6であることから週3回の通院をお勧めしたが、金銭的事情や時間的事情により週2回からスタートした。
5週目(8回目のアジャストメント)では、腰の症状がなくなり、運動を再開することができた。以前は真夏以外は常に風邪気味でだるさや寒気があり、お腹を下してばかりだったが、最近は体の調子も良い。
10週目(12回目のアジャストメント)では、週3回のペースで運動をすることができている。運動をしても腰に不安が出ることはなくなり、体の調子も良く過ごせている。筋肉痛のような痛みは良く出るがすぐに良くなるので様子を見ている。
41週目(21回目のアジャストメント)では、運動をしても筋肉痛が出ることはなくなった。夫の単身赴任で引っ越し作業をした時に腰に痛みが出たが長く続くことはなく治りが早かった。20年ぶりくらいに体重が50Kg台にいきそうで嬉しいとのこと。睡眠導入剤は使用しているが、一番弱いものを半錠だけで飲むようにしていて薬の量は減っているとのこと。
現在も健康的に活動できる体を維持していくため、4−5週のペースで継続的にカイロプラクティック・ケアを受けている。
今回の症例では、はじめに右の骨盤(腸骨)が後ろにずれている状態が確認されました。その後の経過の中で、仙骨という骨の3番目の部分にも歪みが見られるようになりました。骨盤まわりには副交感神経というリラックスをつかさどる神経が通っているため、ここにサブラクセーション(神経伝達の低下)が起こると副交感神経の働きが弱まり、反対に緊張の神経(交感神経)が常に優位な状態になりやすくなります。
交感神経が強く働きすぎると、筋肉が緊張しやすくなり血流も悪くなります。そのため「疲れが抜けにくい」「常にだるい」といった状態が出たり、リラックスができず「眠りに入りづらい」「睡眠の質が悪い」といった症状にもつながっていきます。
アジャストメントを行うことで骨盤のサブラクセーション(神経伝達の低下)が整うと、自律神経のバランスも回復に向かいます。結果として、腰や骨盤まわりの筋肉の緊張がやわらぎ、慢性的なだるさが改善し、眠りやすくなるなど全身的な変化が現れました。
さらに詳しくみると、右の仙腸関節の動きが硬くなっていたため、反対側はその分動きすぎる状態となっていました。このアンバランスが日常生活の中で「ねじれのストレス」となり、腰の骨や椎間板に負担をかけ続けていました。実際にレントゲンでも腰の一番下の椎間板が薄くなっており、それが午後にかけての腰痛や不快感につながっていたと考えられます。
また、長時間の運転姿勢も症状を悪化させる要因でした。運転中は骨盤が後ろに傾きやすく、腰の椎間板に不均等な圧力がかかります。そのため血流が悪くなり、筋肉の疲労物質がたまりやすく、痛みや重さを感じやすくなります。
治療を続ける中で、最初に不安定だった腸骨は安定し、その後は仙骨のサブラクセーション(神経伝達の低下)がはっきりと出てきました。ここを調整していくと、自律神経のバランスがさらに整い、「真夏でも風邪のような症状が出る」「だるさや寒気が続く」「下痢が多い」「眠れない」といった全身的な不調が改善していきました。
通院を重ねるごとに体の変化も明らかになりました。5週目には腰痛が改善し運動を再開、10週目には週3回の運動をしても腰に不安がなくなりました。さらに41週目には引っ越し作業といった大きな負担のあとでも早く回復できるようになり、体重も20年ぶりに増え、栄養がしっかり吸収される体質へと変わってきました。また、眠りを助ける薬も減らせるようになり、副交感神経が本来の働きを取り戻してきたことがうかがえます。
このように骨盤と自律神経のバランスが整うことで、身体が持つ自然な回復力が発揮され、全身の状態が良い方向へ変化していきました。まさに「神経と身体が正しくつながることで、人間が本来持っている力が回復を導く」ということを示した、印象的なケースとなりました。


執筆者OKAカイロプラクティック髙村 悠二
東京都出身。理系大学を卒業後、ミュージシャン・音楽講師として活動を始める。活動の中で解剖学や身体の使い方という視点からの上達法をSNSで見て、「体の仕組み」に興味を深め、整体の専門学校に入学。専門学校卒業後、整体師としても働き始め、勤務先でカイロプラクティックに出会う。より本格的な技術と理論を学ぶため、シオカワスクールに入学を決意し、CSセミナーCLセミナーを修了する。勉強していく中で、自分が音楽家として活動するのではなく、カイロプラクティックでサポートしていきたい気持ちが強くなり、音楽講師をやめ、OKAカイロプラクティックに入社。カイロプラクティックの素晴らしさを普及するため日々施術に臨む。シオカワスクールで後進の育成にも携わっている。