
”68kmのマラソンを無事完走しました!”
2ヶ月前にランニング中に左足首を捻挫してしまった。それ以来、踵をしっかり着いて踏み切る動作が思うようにできず、踏ん張るときの感覚が以前とは明らかに違う。走る際にしっかりと力を込めることができず、不安定な感覚が残っている。
日常生活でも違和感は続いており、歩いているときや階段の上り下りで、足首がスムーズに動かないのを感じる。軽くジョギングを試みても、無意識のうちに足首をかばうような走り方になってしまい、フォームが崩れているのが分かる。このまま放っておくと、バランスが悪くなり、膝や腰など他の部分に負担がかかるのではないかと不安になっている。
また、長時間立っていると足首に違和感が強くなり、じわじわとした痛みを感じることもある。足首自体がうまくはまっていないような、歪んでいるような感覚があり、根本的に整えたいと思うようになった。これまで湿布や軽いストレッチを試したが、根本的な改善には至らなかった。
特に、トレイルランをする際に、思うように足を動かすことができず、さらにスピードを出したり、急な坂道を走るときに踏ん張りが効かないと感じることが多い。もっと自由に、思い通りに走れるようになりたいという気持ちが強くなった。カイロプラクティックの施術なら、足首の歪みを整え、正しい動きを取り戻すことができるのではないかと思い、来院を決意した。
両足首に違和感と痛みがある状態
仙骨の中心からやや右にかけてスポンジ状の浮腫
脊柱起立筋の過緊張
腰椎側面像、頚椎側面像において、椎間板の摩耗が確認できるため、サブラクセーションが発生してから、時間が経過している。そのため、初期集中期として週に2回のケアを推奨するも、当院からの距離と仕事の頻度の都合上でまずは2週に1回とし、ケアをスタートした。
4週目(2回目のアジャストメント)では、前回のアジャスト後に骨盤の動きがいつもより出ている感覚があり、仕事がスムーズにできた。それによって、いつもよりハードに仕事をしてしまったらしく、腰の緊張は強い。
5週目(3回目のアジャストメント)では、ランニングを再開。とても楽しく走れていると喜んでいた。右の大腿四頭筋が疲れる傾向にあるらしく、まだ骨盤の機能性が全開ではないと推察できる。
6週目(6回目のアジャストメント)では、ハーフマラソンに参加することができ、自己ベストを出すことができた。特段痛みを気にすることもなかったそう。脊柱起立筋の緊張は少々残存しているが、骨盤の可動性は十分に出始めている。足首のことは話題に上がることはなかった。
30週目(14回目のアジャストメント)では、68kmのウルトラマラソンに参加したり、トレイルランをしたりと、多くの大会に出るようになった。足の付け根からしっかりと走ることができる感覚があり、好調なご様子であった。
実際、骨盤の可動性はしっかりと確認することができ、神経圧迫、浮腫も減少傾向にある。
現在は、また数ヶ月後にウルトラマラソンに参加する予定があり、コンディションを整えるために月に2回程度、メンテナンスを続けている。
2ヶ月前に左足首を捻挫して以来、踏ん張る感覚やバランスが崩れ、ランニング中や日常生活の中で「うまく噛み合っていない」ような違和感が続いていたこの方は、回復が思うように進まず不安を感じて来院されました。
検査をしてみると、実は問題は足首だけではなく、右の骨盤と首の一番上の骨(第一頚椎)に神経の圧迫がありました。
骨盤にズレがあると、地面から伝わる衝撃をうまく吸収できず、本来なら足首から膝、股関節、骨盤と順に分散される負荷が足首に集中しやすくなってしまいます。その結果、捻挫後も必要以上に負担がかかり、なかなか治りきらなかったと考えられます。
さらに、首のゆがみは神経の流れに影響し、身体全体のバランス感覚や筋肉の緊張のコントロールにも不調をもたらします。実際にケアを進めていく中で、こうした骨盤や首のバランスが整ってくると、足首の安定感も次第に戻り、走るときの感覚も少しずつ改善されていきました。
今回のケースは、一見すると足首の問題のように見えますが、身体全体のバランスや神経の流れといった「土台」の部分が整うことで、本来の回復力が発揮されていった良い例だと言えるでしょう。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友
1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。