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起きた瞬間つらい首

起きた瞬間つらい首

“週4でマッサージに今は行かずに済みました!”

60代男性
主訴
長年の首痛/凝り
来院に至った経緯

今回来院されたのは、長年続く首の痛みと肩こり、そして坐骨の違和感に悩む患者さんである。
症状は日によって変動があるものの、特に朝起きたときに首や肩のこりを強く感じると、その日一日が重く、つらくなる感覚があるという。逆に、ほんのわずかでもコリが抜けていると、身体も心も楽になる。その「差」を日々敏感に感じている。

18歳の頃にオートバイで転倒した経験があり、そのときは表面的な擦り傷だけだったが、今思えばその衝撃が身体に残っていたのではないかという自覚もある。現在は、特に左の臀部、坐骨あたりがつらく、椅子に座っていると徐々に痛みや違和感が強まる。デスクワークやテレビ鑑賞など、座ることそのものがストレスになることもある。一方で、歩くことは問題ないため、余計に座り姿勢とのギャップに不安を感じている。

また、スマートフォンを扱っていると首や肩が一気に凝る感覚があり、画面を見るのが苦痛になることもある。現代的な生活スタイルとの相性の悪さも感じている様子だ。

現在は高血圧の薬を服用しており、ペースメーカーも入っている。また、睡眠導入剤(マイスリー)も服用しており、身体の緊張と日々の疲れが睡眠にも影響を及ぼしている可能性がある。薬に頼りながらも、なんとか日常生活を送っているという状況である。

それでも、将来的にはゴルフをもっとしっかり楽しみたいという明確な目標がある。健康的な体で、好きなスポーツに打ち込む生活を送りたいという思いが強くある。

かつて横浜のカイロプラクティックに通っていたことがあり、そのときにとても良い効果を感じた経験がある。その記憶が、今回再びカイロを受けてみようと思ったきっかけになっている。

症状の改善はもちろん、これからの人生をもっと前向きに、好きなことに取り組める身体を取り戻したいという希望を持って来院された。

初診の状態
  • 01

    左の胸鎖乳突筋の過緊張

  • 02

    左乳様突起周辺にスポンジ状の浮腫

  • 03

    胸椎6番周辺にブヨブとした浮腫

  • 04

    寝起きに首がとてもだるくなる感覚が強い

経過と内容

腰椎側面像、頚椎側面像において、椎間板の摩耗や、椎骨の変形が確認できるため、サブラクセーションが発生してから、かなりの時間が経過している。そのため、初期集中期として週に2回のケアを推奨し、実際に開始した。

1週目(1回目のアジャストメント)では、超慢性化していることもあり、特に下部頚椎の筋緊張や靭帯の硬化などが触知でき、アジャスト自体は手応えは全くと言っていいほど無い。しかし、神経の圧迫の反応に関しては減弱する反応が見られたため、そっとしておくこととする。

1週目(3回目のアジャストメント)では、下部頚椎をサービカルチェアにて、深くアジャストすることが可能となり、可動性も出始める。筋緊張の緩和も徐々に確認できた。

3週目(6回目のアジャストメント)では、胸椎にあった浮腫が減少傾向となり、下部頚椎の動きも出始めている。また、左の第一頚椎の可動性、神経圧迫についても経過は良好である。

8週目(17回目のアジャストメント)では、腰部の緊張も緩和され、頸部の緊張や寝起きの辛さもほとんど感じられなくなる。ゴルフに行く予定を立てた。その意欲が出てきたことに驚いていらした。

現在は、寝起きの頸部のだるさから解放され、実際に筋緊張や神経圧迫も初診よりもかなり取り除かれている状態である。現在は、ゴルフ後の体のメンテナンスとして月に1回程度来院されている。


考察

今回のケースでは、「朝起きたときの首のつらさ」が主な悩みでした。特に印象的だったのは、朝の首や肩のこり具合がその日一日の体調や気分に大きく影響しているという本人の強い実感です。ご本人は「今日はコリが取れてるかどうか」にとても敏感で、それが一日の過ごし方を左右していると感じていました。

このような首や肩のこりは、ただの疲れや姿勢の問題ではなく、首から背中にかけての動きの悪さや、自律神経のバランスの乱れが関係していたと考えられます。検査では、首や腰の骨にすり減りやゆがみが見つかり、長年にわたって体の中で負担がかかっていたことが推測されました。特に首の骨は、重たい頭を支えているため、ゆがみがあると周りの筋肉に大きな負担がかかり続けてしまいます。

また、18歳のときにバイクで転倒した経験がありました。ケガはなかったそうですが、その時に体にかかった衝撃が、実は見えない形で今の体に影響していた可能性もあります。大きなケガでなくても、身体のバランスが少しずつ崩れていき、それが何年もかけて今の不調につながったのかもしれません。

スマートフォンを使っていると首や肩が急に重たくなる、という訴えもありました。これは多くの現代人にも共通することで、画面を見る姿勢が続くことで、首の自然なカーブが失われたり、背中が丸まり、肩が前に出るような姿勢になってしまうためです。その結果、首の筋肉が常に緊張してしまい、不調が固定されてしまうのです。

最初のケアでは、頚椎は非常に硬さを帯びていて、可動性においては変化が出にくい状態でした。これは長年の疲労やゆがみが蓄積された慢性症状の特徴で、最初は「たくさん動かす」よりも「神経圧迫さえ取り除けば、そっとしておく」ことが大切な時期だったと言えます。その後、何度かのケアを経て、背中のはれや筋肉の緊張が和らぎ、寝起きの不快感が少しずつ軽くなっていきました。症状の改善とともに、「またゴルフがしたい」といった前向きな気持ちが戻ってきたのも、とても印象的でした。

今回は、首の上のほうや骨盤など、自律神経に深く関わる場所への調整を中心に行いました。自律神経には「アクセル(交感神経)」と「ブレーキ(副交感神経)」のような役割があり、どちらかに偏りすぎると体は疲れやすくなります。そのため、両方のバランスを整えることで、体が本来持っている「回復する力」を引き出すことを目指しました。

今回のようなケースは、骨格のゆがみが神経の働きや体のリズムを乱し、「寝ても疲れが取れない」「朝からつらい」といった状態をつくってしまいます。それが積み重なることで、気持ちの面でも意欲が落ちてしまうことがあります。

しかし、骨格や神経の働きを整えていくことで、体が回復するスイッチが入り、少しずつ朝のつらさが軽くなっていきました。それに伴って「また○○をやりたい」と思える気持ちも戻ってきて、再び人生を前向きに楽しめる準備が整ったと言えます。

このケースは、「体のゆがみや神経の乱れが、生活や気持ちにまで影響すること」、そして「体を整えることで人生そのものが変わっていく可能性がある」ということを、あらためて教えてくれるものでした。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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