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薬だけが増えていく改善されない自律神経の不調

薬だけが増えていく改善されない自律神経の不調

困っていた複数の不調が、薬なしで改善されました!

カテゴリ: 前田 一真頭痛
20代女性
主訴
自律神経の乱れによる諸症状(頭痛、腹痛、不眠、肌荒れ)
来院に至った経緯

4年ほど前から、原因がはっきりしない体調不良が続くようになった。最初は一時的な不調だと思っていたが、ある時期を境に、頭痛、腹痛、不眠、肌荒れといった症状が重なるようになり、「身体が何かに過敏に反応しているのではないか」と感じるようになった。

思い当たることといえば勉強によるストレスくらいであったため、当初は病院を受診することもなく、市販薬で対処しながら様子をみていた。しかし、ある日午後にこめかみに突然ズキズキとした鋭い頭痛が出現した。それまで経験したことのない質の痛みで、同時に熱っぽさや強い倦怠感も伴っていた。その後、腹部の不快感が強まり、腹鳴とともに下痢と便秘を繰り返す状態が続くようになった。

もともと小さい頃から腹痛を起こしやすい体質であり、胃腸内科では過敏性腸症候群と診断されたこともあった。日常的に腹部の違和感を抱えながら生活していたが、この数年は症状の波が大きくなり、体調が安定しにくい状態が続いていた。

同じ頃から不眠も目立つようになった。夜になるとまるで運動直後のように神経が高ぶった感覚があり、布団に入っても頭が冴えてしまう。寝付けたとしても途中で目が覚めやすく、睡眠の質が明らかに低下していた。肌荒れやニキビも出やすくなり、身体の内側で何かのバランスが崩れているような感覚が続いていた。

ストレスや生活リズムの乱れが原因だろうと考え、生活習慣を整えようと試みたほか、鍼治療や整体にも通院していた。施術直後は一時的に身体が軽くなる感覚はあったものの、症状の波そのものが安定することはなく、「このまま悪化していくのではないか」という不安が徐々に強くなっていった。

症状が一つだけであれば我慢できたかもしれないが、頭痛、腹痛、不眠、肌トラブルといった複数の不調が同時に続くことで、いくつもの医療機関を受診することになった。薬の種類だけが増えていく一方で、症状の改善を実感できない現状に家族も心配するようになり、両親がさまざまな治療法を調べる中で当院のホームページにたどり着いた。

当院のHPを読み進めるうちに、神経機能の乱れが身体全体の不調につながるという考え方に関心を持つようになった。これまでとは違う視点で身体をみてもらえるかもしれないと感じ、藁を掴む思いで当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 02

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

初診時の状態では、第一頸椎と左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左等突起と左上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は慢性的なD5レベルで重度の骨盤の傾きや過前弯で反り腰が確認された。首の椎間板の段階は6段階中3段階の慢性的なD3レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネックを通り越してスワンネック(逆カーブ)となっていた。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、学業とアルバイトの関係で時間の確保が難しかったため、無理のない範囲で週1回のケアから開始した。

5週目(4回目のアジャストメント)には、頭痛の出現頻度に変化がみられ始めた。これまで突然強く出ていたこめかみの鋭い痛みが軽減し、「出ても強くならないことが増えた」との自覚があった。腹部の不快感もわずかに安定し、下痢と便秘の切り替わりが穏やかになり始めていた。不眠についてはまだ波があったが、寝付くまでの過度な緊張感がやや軽減していた。

15週目(9回目のアジャストメント)には、症状の波そのものが小さくなっている様子がみられた。頭痛は発生しても短時間でおさまることが増え、腹部症状の頻度も明らかに減少していた。夜間の覚醒回数が減り、「眠れないことに対する不安」が軽くなってきたと本人が表現していた。肌荒れについても強い悪化はみられなくなっていた。

31週目(15回目のアジャストメント)には、頭痛と腹痛は日常生活に支障をきたすほどの強さではなくなっていた。睡眠も安定し、途中覚醒はあるものの、再入眠が比較的容易になっていた。身体全体の過緊張が抜けてきたことで、日中の疲労感が軽減し、以前より体力の回復が早くなっているとの自覚があった。

38週目(18回目のアジャストメント)には、初診時にみられていた頭痛、腹痛、不眠、肌トラブルはいずれも大きく落ち着いていた。強い症状の波はほとんど出現せず、体調が安定している期間が継続していた。過度な神経の高ぶりを感じる場面も減少し、「以前のように身体が過敏に反応する感覚がなくなった」との訴えがあった。

現在は、初診時にみられていた諸症状はほぼ安定している。今後も神経機能の安定を維持し、再発を防ぐ目的で、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを継続している。


考察

今回の頭痛、腹痛、不眠、肌荒れといった諸症状は、単一臓器の問題ではなく、自律神経機能の慢性的なアンバランスが背景に存在していたと考えられる。

初診時の評価では、上部頸椎および骨盤部に明確な機能低下が確認された。この二つの部位はいずれも副交感神経機能と深く関与する領域である。副交感神経の働きが低下すると、相対的に交感神経が優位な状態が持続する。つまり「休めない身体」が固定化されていた状態であったと推察される。

午後に出現するこめかみの鋭い頭痛は、長時間の交感神経優位による筋緊張の持続が背景にあったと考えられる。交感神経が過剰になると血管収縮と筋緊張が強まり、側頭部周囲の緊張性頭痛を引き起こしやすくなる。本症例のように突然ズキズキと出現するタイプは、神経系の過敏状態を反映しているといえる。

不眠についても同様である。副交感神経が十分に働かない場合、身体は安静モードへ切り替わらない。布団に入っても神経が高ぶり、まるで運動直後のように覚醒状態が続くのは、交感神経優位が持続していたことを示している。

胃腸症状も、副交感神経機能低下によって説明できる。消化管運動は副交感神経が優位なときに活発に働くため、その機能が低下すると蠕動運動が不安定になり、便秘と下痢を繰り返す状態が生じやすい。幼少期から腹痛を起こしやすかった背景には、自律神経調整の脆弱性が存在していた可能性がある。

肌荒れについても、腸内環境と自律神経の相互作用は近年多く報告されている。交感神経優位が持続すると腸管の血流や免疫機能が乱れやすくなり、結果として皮膚状態にも影響が及ぶ。本症例では、胃腸症状と肌トラブルが同時に改善傾向を示した点からも、局所的な皮膚疾患ではなく全身的な神経調整の問題であったと考えられる。

アジャストメントにより上部頸椎および骨盤部の神経機能への負荷が軽減されたことで、副交感神経が働きやすい環境が整い、交感神経の過剰な緊張が徐々に鎮静化していった。その結果として、頭痛・腹痛・不眠・肌トラブルが段階的に安定していったと考えられる。

本症例は、複数の症状が同時に出現する場合でも、それぞれを個別に対処するのではなく、自律神経機能の中枢的調整に着目することの重要性を示している。上部頸椎および骨盤部に存在していたサブラクセーション(根本原因)による神経機能低下が整えられたことで、身体が本来持つ恒常性維持機構が回復し、全身症状が安定していった症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティックにて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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