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舌痛症

舌痛症

20年以上も悩まされた舌痛症が解消された!

50代男性
主訴
舌痛症、顎関節症、食いしばり、頭痛、下痢、末端冷え性
来院に至った経緯

サーフィンが趣味で14歳から約40年間波乗りをやっているが、今から22年前に大波にすくわれて頭から砂浜に叩きつけられてしまった。それ以来、首にずっと違和感があり、痛みに似たつまり感を感じていた。

その1年後、右顎に強い痛みが出て口が開かなくなってしまった。それがサーフィンによる頭部強打と関係があったのかまでは分からないが、顎に痛みが出る半年くらい前から口を開けると顎からクリック音が鳴っていた。

顎に痛みが出た当時は、仕事のストレスがすごくて、自分でも分かるくらい食いしばりがあった。食いしばりすぎて、歯医者では口の中の骨が隆起してしまっていると言われた。また食いしばりすぎたときは、決まって頭痛が出ていた。

顎の痛みや食いしばりが気になりだして半年が経った頃、舌の奥の方にものすごい痛みを感じるようになった。痛みの質は火傷をしているような痛みで、とても耐えられるようなものではなかった。いつも舌の左奥の方に痛みが出ていたが、右奥の方に痛みが移動することもあった。

病院では舌痛症だと診断されたが、舌痛症は現代医学だと「これをやれば治る」という明確な治療方法がないと言われてしまった。それから口腔外科や顎関節症専門医にも通ってみたが、舌痛症が解消されることはなく20年以上舌痛症に苦しんでいる。

舌痛症を発症してから半年後、今度は交通事故に遭った。信号待ちをしているところに、後ろから4トントラックがノンブレーキで突っ込んできて、乗っていた車が大破してしまうほど追突された。それから不安感が消えなくなり、病院では抗不安薬を処方された。

抗不安薬を飲むようになってから、痛かった舌の痛みが少し緩和された。最大が「10」だとすると、抗不安薬を飲むことで舌の痛みが「3~4」に落ち着いた。舌の痛みが少しだけ和らいで気づいたことは、味覚が弱くなっているということだった。

まったく味がしないわけではないが、何を食べても病院食をさらに薄味にしたような薄い味にしか感じなくなってしまった。不安感自体は10年前に完治したが、抗不安薬を飲むのをやめると舌の痛みが「10」まで戻ってしまうので、ずっと薬を飲んで対処していた。

1年前にバイク同士で正面衝突事故を起こしてしまった。そのときにヘルメットのひもをちゃんと締めていなかったので、ヘルメットが外れて頭部を強打し頭蓋骨にヒビが入ってしまった。そのときの事故で、脳の前頭葉の一部が死滅していると言われた。それ以来、嗅覚障害が出てしまい、匂いが分からなくなってしまった。匂いがするときは鼻の奥の方に異臭が漂っているような臭いで、舌の痛みに追い打ちをかけてしまった。

子供の頃からお腹が緩く、乳製品を食べたあとは顕著に下痢になってしまった。酷いときには、大人になってからも便を漏らしてしまうほどだった。いつも無痛の下痢で、腹痛でトイレに駆け込みたくなるような下痢ではなく、水のような下痢が続いていた。

昔から末端冷え性もあり、手足がキンキンに冷えているのは自分でも気づいていた。10年前には腰椎5番のヘルニアを発症したが、現在は腰痛は何も感じないので特に腰のケアはしておらず、たまにマッサージガンで腰を緩める程度だった。

今回の舌痛症を発症してから20年間で、口腔外科、顎関節症専門医の病院以外でも、整体院、針鍼灸院、オステオパシーなどのさまざまな代替医療に通ったが変化はまったくなかった。カイロプラクティックも、シオカワグループとは関係がないカイロプラクティックの学校をやっている有名なカイロプラクティック治療院に行ってみたが、何も変化がなかった。

何かないかなと探していたところ、Youtubeで塩川満章先生の動画を見て、この先生すごそうだなと思っていた。塩川先生の治療院がある銀座までは遠くて何度も通えないなと思い、近くにお弟子さんはいないかなと調べてみた。

すると、すぐ近くの藤沢駅前に塩川カイロプラクティック治療室で副院長を務めていた先生がいると知った。多忙だったため奥様が先に来院されて、奥様からすごく良かったよというご評価をいただき、奥様のご紹介という形で来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 02

    第一頸椎右横突起の強い浮腫感

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

腰部と頸部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。

1週目(1回目のアジャストメント)には、開きにくかった右顎が開きやすくなった。

3週目(3回目のアジャストメント)には、舌痛症の痛みが、一番痛かったときが「10」とすると、当院に最初に来た時が「3~4、酷いと5」だとしたら、1くらいまで痛みが落ち着いてきた。ただし舌の奥の方にしびれ感が少しある状態であった。

4週目(4回目のアジャストメント)には、舌の痛みはかなり楽になり、しびれ感もなくなった。冷え切っていた手足にも血流が戻ってきているようで、この日は冷え切っていた足首から先がポカポカしていた。また下痢もほとんど気にならなくなった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、食いしばりによる頭痛もまったく気にならなくなった。骨盤部もかなり安定してきて、この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

9週目(9回目のアジャストメント)には、舌痛症による舌に痛みは完全になくなり、薬を飲まなくても痛みをまったく感じなくなった。この日の来院時点で舌の痛みが完全になくなったとのことだったので、8回目のアジャストメントで舌痛症は解消されていたものと思われる。

現在は、味覚以外の症状は落ち着いたが、このままケアを続けていれば味覚も戻るかもしれないという思いから、2週間に一度のカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の舌痛症は、上部頸椎の神経圧迫が原因だと考えられる。なぜなら舌に繋がる神経と上部頸椎は密接な関係があるからである。脳から出る舌咽神経(第9脳神経)は、舌の後方部3分の1の味覚や痛覚を支配している神経になる。

味覚が極薄味になっている問題は、舌咽神経の機能が正しく働いていない可能性がある。舌の後方部3分の1に出ていて痛みが解消されたことから、舌咽神経の機能回復が20年間も続いていた舌痛症の改善に繋がったと考えられるため、この先もケアを続けることで味覚にも変化が起こる可能性がある。

舌痛症の発症前に、顎関節症を発症していたが、このことから考えても慢性的に上部頸椎に負担が掛かっていたものと考えられる。顎関節症で、直接顎に外傷がない場合は、ほとんどのケースで上部頸椎(特に第一頸椎)の問題であるケースが多くみられる。なぜなら顎関節の動きを支配している神経は上部頸椎と密接な関係があるからである。

検査では上部頸椎のみならず骨盤部にも強い反応がみられた。上部頸椎と骨盤部はどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、交感神経が過剰に働いてしまい、自律神経のバランスを乱していたと考えられる。

末端冷え性も発症していたが、末端冷え性は交感神経が過剰に働いている人の特徴でもある。交感神経の作用として末梢の血管を閉じる役割があるが、その状態が長期間続くことで末梢の血管が閉じたままとなり末端冷え性を発症していたと考えらえる。

食いしばりからの頭痛も発症していたが、食いしばりは体が常に過緊張となっている状態であり、交感神経が過剰になっていたことを意味している。食いしばりより、顎関節周辺の筋肉も硬直を起こしてしまい、血流異常により頭痛を発症していたと考えられる。

下痢症状も発症していたが、腸の蠕動運動は副交感神経が優位なときに活発となるが、無痛での下痢症状は交感神経が過剰に働いている問題である可能性が高い。交感神経が過剰になることで、人間の排泄機能が過剰に働いてしまい、下痢症状を引き起こしていたと考えられる。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれたことで、20年以上も続いていた舌痛症による舌の痛みの改善のみならず、さまざまな自律神経症状の改善に繋がったと考えられる。

今回のケースでは、交通事故による嗅覚を支配する嗅神経(第2脳神経)の一部に欠損があるため、嗅覚障害を起こしていた。それ自体は脳の欠損によるものなので、この先も嗅覚については変化が見られない可能性が高い。

しかし20年以上も続いた舌痛症が、わずか9回のアジャストメントで改善されたということを考えると、検査によって問題の神経系を特定し、神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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