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自律神経失調症

自律神経失調症

自律神経失調症によって出ていた症状が薬に頼らず治った!

30代男性
主訴
自律神経失調症、不眠症、呼吸が浅い、高血圧、不整脈、動悸
来院に至った経緯

仕事は営業職で車移動とデスクワークの繰り返しだったため、社会人になってから15年以上慢性的な腰痛に悩んでいた。何度かぎっくり腰もやってしまったが、仕事は休ませてもらえず、無理をしてさらに悪化させてしまった。

腰痛が酷くなると、座っていても、歩いていても、痛みがあった。ぎっくり腰のときは横になっても痛みがあり、腰を痛めるたびに近所の接骨院や整体院に通っていたが、最近は休みがまったくもらえずシップ薬やコルセットを巻いて対処していた。

入社当初から残業が多かったが、ここ5年くらいはノルマも厳しくなり残業がさらに多くなった。朝8時には始業して、帰宅するころには23時を過ぎていることもあった。あるとき、その月のノルマが達成できず、上司から延々と説教された。時計が0時を過ぎても帰らせてもらえず、心臓がバクバクして倒れてしまった。

救急外来に運ばれて、その日は点滴を打ってもらい横になった。当然、次の日も仕事は休ませてもらえずに、むしろ前日の倒れたことを延々と上司に愚痴られた。その日はなんとか日をまたぐ前に帰宅することができたが、疲れているはずなのに眠ることができず朝を迎えてしまった。

そのまま寝ずに仕事に行き、営業で出社すると運転中に激しい動悸に襲われた。心臓がバクバクして、大量に汗をかき、呼吸も荒くなった。これはただ事ではないと思い、そのまま社用車でなんとか病院にたどり着いた。当然のように上司からは鬼電が掛かってきていたが、それどころではないほど体調が悪くなっていた。

検査入院することになり精密検査を受けると血圧値が上230下150と異常な数値となっていた。一晩横になると血圧値は少し治まったが、ずっと浅い夢を見ている感覚で寝た気がまったくしなかった。検査では、頻脈性の不整脈があると診断されたが、心臓や血管には特に異常はないと言われた。

その後も、仕事のストレスなのか営業先や上司から小言を言われる度に、心臓の鼓動が速くなるのが自分でも分かった。またどれほど疲れていても睡眠の質は悪く、これは不眠症だろと思い病院へ行くと、おそらく心の問題だから心療内科に行けと言われた。

心療内科では自律神経失調症と診断され、自律神経失調症が原因で不眠症や動悸、不整脈が出ている状態だと説明された。特に治療法はないのか、睡眠薬、抗うつ薬など薬を大量に処方されただけで、薬を飲んでも当然のようにまったく変化がなかった。

結局、両親にも相談して転職をすることになったが、転職しても症状が治まることはなかった。そんなとき、お兄さんが当院に通って不眠症が治ったという話を聞き、「自律神経に強そうな先生だったから行ってみたら」とご紹介で来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部全体の過緊張

  • 02

    右第一頸椎横突起にスポンジ状の浮腫

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

腰部と頸部の椎間板にD4レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。

5週目(5回目のアジャストメント)には、日常生活中の腰痛はほとんど感じなくなった。また呼吸が深く吸えているなと感じるようになった。この段階でケアのペースを2週間に一度に広げることができた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、睡眠の質が良いなと感じるようになった。この頃には動悸がすることも、ほとんどなくなったが、残業が多くなってくると心臓付近がソワソワするような感覚があった。

19週目(12回目のアジャストメント)には、睡眠の質は完全に以前のように戻り、動悸などもまったく気にならなくなった。自宅用の血圧計で測っても正常値内で安定していた。

25週目(15回目のアジャストメント)には、病院の定期健診でも不整脈の気も出ていないと言われた。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の自律神経失調症の原因は、まさに自律神経の乱れが原因であったと考えられる。検査では骨盤部と上部頸椎という、どちらも副交感神経支配領域にサブラクセーション(根本原因)が確認された。

副交感神経にサブラクセーションがあることで、交感神経が過剰に働いた結果、自律神経のバランスが乱れたのだろう。また交感神経が過剰に働くことで、休まるスイッチが入らず不眠症にも繋がっていた。

動悸や頻脈性の不整脈もあったが、心臓や血管などに異常がなかった場合には、上部頸椎(特に左の迷走神経)の問題が考えられる。心臓の鼓動など意識していなくても動いているところは自律神経がコントロールしている。自律神経のバランスが乱れた結果、ストレスなどの環境に適応することができずに、動悸や不整脈となっていたのだろう。

長年あった腰痛は、骨盤部の乱れから腰部の配列に影響を与え、骨盤部や腰部から出る神経に大きな負担が掛かっていたと考えられる。骨盤部の安定と共に腰部の神経にも良い影響を与えたのだろう。

一時的に異常な数値となっていた高血圧の問題もあったが、拡張期/収縮期ともに高い場合は交感神経に対してアプローチしたいところではあったが、それ以外の症状はすべて副交感神経の問題と考えられ、副交感神経の問題が安定した段階で高血圧も落ち着いたので、今回の高血圧の問題は自律神経の乱れが原因だったのだろう。

数多くの症状が出ていたとしても、問題の根本原因を特定して神経の流れを整えて、体の情報を脳へ届けてあげることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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