シオカワグループ シオカワグループ

自律神経失調症による諸症状【イライラ、動悸、不安感、不眠】

自律神経失調症による諸症状【イライラ、動悸、不安感、不眠】

原因不明の不定愁訴が薬に頼らず改善!

30代男性
主訴
動悸、不眠、めまい
来院に至った経緯

社会人になってからというものの、自律神経の症状で困っていた。例えば、動機やイライラ、不安感や寝てから2時間くらいで起きてしまう睡眠障害など、生活に支障が出るようになってきた。季節の変わり目や雨、台風など、天候によって左右されることも多く、そういった日は決まって体調が悪くなる。母親が自律神経失調症であることから、これは遺伝だから仕方のないことなのかと半分諦めるようになって、心療内科に通う日々を過ごしていた。自律神経の乱れであることから、様々な薬を処方され服用していると、どうしようもないだるさや急激な体重の増加によって、精神安定剤は服用を中断。目立った対処法もなく、日々をなんとか乗り越えた。家庭は共働きで、お子様もまだ3歳であり、患者様が在宅ワークが多いことからほとんどワンオペで家事と育児をこなし、心身ともに疲れにピークに。それを境に元々あった症状が悪化する。趣味であったダンスや運動も、ウォーキングですら全くと言っていいほどできない。

仕事にも育児にも悪影響が出ることに、危機感を感じ、対処法をネットで探していると、ダルビッシュ有が使用していた仙骨枕を知り利用してみると、少し調子がいい気がした。

そこで仙骨に興味を持ち、さらに調べていくとカイロプラクティックに出会い、良いクリニックはないかと探していたところ当院を知り、来院にいたる。

初診の状態
  • 01

    全体的に雰囲気が暗い

  • 02

    仙骨2番を中心としたスポンジ状の浮腫

  • 03

    左右の胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容

腰椎、頚椎共に椎間板のレベルがD3へと進行しており、慢性化しているため、初期集中期においては週1回で提案し、ケアをスタートした。

3回目のケアの際には、睡眠が少し取れてきた感覚があるとのこと。同期に関してはほとんど感じることはなかった。仙骨の浮腫はまだ継続であるが、第一頚椎の浮腫とブレイクが緩やかになってきている。

6回目のケアの際には、睡眠はかなり取れていて、問題なく日常生活を過ごせている。最近は趣味だったダンスを再開したり、ウォーキングをしたりとアクティブに動けるようになる。また心に余裕がでてきたからか、育児もより心を込めてできている感覚があるとのこと。仙骨や第一頚椎のブレイクは落ち着いている。

10回目のケアの際には、日常生活で困ることはほとんどなくなり、当初の動悸やイライラはない。ゆっくりとした生活ができている。全体の温度傾向(タイトロン)での評価も初診の際とは、良い変化をしており体質が変わってきている。

現在は休職期間なので、集中的にケアを継続し、復職後はメンテナンスに移行していくケアを立てている。


考察

本症例では、副交感神経の神経圧迫(以下サブラクセーション)によって様々な問題が出てきたと考えられます。

睡眠においては、副交感神経サブラクセーションによって交感神経が相対的に過剰にはたらくことで、ホルモンバランスに乱れが生じました。

例えばコルチゾールというホルモンは、交感神経が優位になることで分泌が多くなります。コルチゾール血糖値を高める作用があり、朝起きる時に本来は一番分泌が多くなるため、起床がスムーズにできるという仕組みがあります。ですが交感神経が常に優位であることから、夜にもコルチゾールが増加しているため、血糖値は常に高く、眠ることが困難になったり、また寝てもすぐに目が覚めてしまうという事象が発生してしまいます。

そうなると、朝にうまく起きることができないということも起こり得ます。そうなった時に次に発生することとしてはメラトニンの分泌低下が考えられます。メラトニンは催眠ホルモンとも呼ばれており、眠気を引き起こすホルモンです。メラトニンは日光を浴びてから約14時間後に分泌されるということが判明しており、朝日を浴びなければ分泌が低下してしまう上に、浴びる時間がズレると睡眠時間にもズレが生じてしまいます。そのため、太陽光をしっかりと朝に浴びるということが非常に重要なのです。
※ブルーライトは朝日と同じような成分があるため、夜中に浴びすぎるとメラトニンの分泌時間が増えすぎてしまうため注意が必要です。
またメラトニンの元になるホルモンとしてセロトニンがあります。セロトニンは夕方になると副交感神経が優位になることで分泌されますが、副交感神経サブラクセーションがあると分泌が低下してしまうため、メラトニンが生成されにくくなってしまいます。

総じて言うと、一度自律神経の波が崩れてしまうと、様々なホルモンに影響を及ぼし、悪循環が発生してしまうのです。

またセロトニンは精神安定にも非常に重要なホルモンとされており、不足するとイライラしてしまったり、不安になったりするため、今回のようにメンタルにも影響することが多く見受けられる。

また動悸に関しても、わかりやすい例として緊張している時があります。緊張するプレゼンや、会食などに赴く時は心臓がドキドキするものですよね。これは交感神経が優位になることで発生する動悸のようなものだと捉えて良いです。それと同様に、副交感神経サブラクセーションによって、交感神経が優位になると動悸が発生しやすくなってしまいます。特に第一頚椎の周囲に存在する迷走神経という神経は消化器系や声帯など多くの臓器や器官に作用します。さらには心臓とも密接な関係があります。この患者様においても、第一頚椎に圧迫があるため、その影響で過剰に動悸が起こったとも考えられました。

本症例は、様々な問題が乱立するように起こっていましたが、全ての原因は仙骨および第一頚椎の副交感神経エリアのサブラクセーションによって、自律神経の乱れがまず発生して、それからホルモンバランスも乱れていったことで発症したということが判ります。

様々な問題に対して、1つ1つ、局所的に対応するのではなく、全体の中でどこにサブラクセーションがあるのかを特定し、アプローチしていくことで、結果的に本来持つ自然治癒力が向上し、寛解へと向かったいった症例でありました。

現在は育児も余裕を持ってできる上に、趣味であったダンスやヨガ、ウォーキングをすることができてイキイキと生活をされています。

 

 

関野 貴友

執筆者NEOCHI関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

pagetop