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腹部のガス

腹部のガス

整腸剤も飲んだが変わらなかった

70代女性
主訴
腹部のガス、右足のしびれ
来院に至った経緯

2023年9月に自宅で荷物を持ち上げようとしたときにグキッと腰を捻ってしまい痛めてしまった。その後、右足の太ももと右足のスネがしびれてきてしまい、右足をつることが多くなった。腰と足の状態が万全ではない中、元々予定していた海外旅行へ10月に行った。その機中で座っているとだんだんと右足が疼く感覚になり、ずっと右足を揉まないといてもいられなかった。その後、お腹にガスが溜まって渋る感覚が続いた。整形外科では軽いヘルニアと言われ痛み止めを、内科ではお腹には検査上は問題ないと言われ整腸剤を処方してもらった。しかし、お腹のガスが渋る感覚と腰から右足の痛みとしびれは変わらなかった。12月から自宅そば2か所(カイロプラクティックとマッサージ)で治療したがあまり変化はなかった。そんな中、インターネットで当院を知り、お腹も背骨と関係性があることをみて来院に至る。

初診の状態
  • 01

    仙骨周囲の顕著なスポンジ状の浮腫感

  • 02

    右仙腸関節の可動制限

  • 03

    右腰部起立筋の過緊張

経過と内容

腰部の椎間板にD4/5レベルと慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが、本人の日程スケジュールにより週1回のケアからスタートすることにした。

4週目(4回目のアジャストメント)には、腰を前に倒した際の痛みと右足がつることは無くなった。太もものしびれも落ち着き、右すねだけ少ししびれる。

8週目(6回目のアジャストメント)には、右すねのしびれも落ち着いた。以前よりお腹にガスが溜まり渋る感覚が出ない日が増えてきた。後頭下の緊張軽減とC1も可動してきたが、C5のブレイクと可動制限は、左SCMの緊張は残存しているため、C1からC5へアプローチを変更した。

15週目(10回目のアジャストメント)には、お腹のガスが溜まらなくなり渋る感覚が無くなった。

その後、ケアのペースを1か月に1度に広げたが、状態も安定している。


考察

今回の腹部のガスは、腰痛と右足のしびれ出現後にお腹のガスが溜まるようになり、病院でも検査では内科疾患は無いようだったが、自律神経の乱れが最大の原因だったと考えられる。

一般的にお腹にガスがたまる原因として、便秘や下痢、食事の時に空気を一緒に飲み込んでいる場合や、腸内細菌が異常に発酵する場合などが挙げられている。
不規則な生活習慣、食生活の不摂生、運動不足、過度な精神的ストレスを受け続けるような生活をしていれば、様々な症状が消化器系に現れます。

自律神経とは生命を維持するために、自分の意思とは関係なく24時間休むことなく働いてくれている重要な神経です。 その自律神経のバランスが消化器の根本的改善と大きく関係しています。

今回は、骨盤部と上部頸椎に反応が見られたが、どちらも副交感神経の範囲である。副交感神経にサブラクセーションがあると、交感神経が過剰に働いてしまう。

胃腸は副交感神経が優位なときに活発になり、交感神経が優位になりすぎると腸の蠕動運動が低下します。 例えば人間は過度なストレスを受けると、そのストレスに抵抗するために交感神経が刺激されます。

交感神経が過剰な状態が続くと大腸の蠕動運動は低下し、便は大腸に停滞して水分はどんどん奪われ便が出にくい環境になります。 その結果、大腸内で悪玉菌が有害物質を産生し、腸内ガスが発生してお腹が張ることがあります。 また腸内の有害物質によって血液が汚れ、背中や顔などに吹き出物が発生することもあります。

骨盤部の不安定性が腰部に影響し、腰の神経に負担がかかって右下肢のしびれとして身体のシグナルを出していたと思われる。その状態が続いたことにより腸の蠕動運動にも影響しガスが溜まっていたのだろう。

骨盤部が安定し、サブラクセーションが取り除かれたことにより、知覚神経・自律神経が身体の状態を正しく脳に届けることが出来るようになり、お腹のガスや足のしびれが改善したと考えられる。

金城 寿生

執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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