20代の頃からビジネスに触れ、それからというもの体のケアを一切行わずに朝から晩まで仕事を続けてきた。
65歳で引退したが、10年前からあった腰痛が引退後悪化し、両側の脹脛から足先まで全体にわたる鋭い痺れに襲われた。
整形外科に行くと、腰部脊柱管狭窄症・腰椎5番すべり症と診断を受けた。すぐにその整形外科と提携している接骨院に通い治療を続けていたが歩行出来る時間と歩数はどんどん減っていき、来院時には約15分3000歩以上は歩けなくなり外出時には基本タクシーを使う生活を強いられた。
その時期に仕事も個人で請け負うようになっていたため、どうにか復帰したいという思いでいろいろな治療を試したが効果がなく、むしろ症状はどんどん進行している状態だった。
そんな中、背中の痛みで来院された奥様が劇的に回復したことをきっかけに奥様の勧めで当院を知り来院を決意した。
足の変色と浮腫
両足の親指の感覚鈍麻と痺れ
仙骨に大きな浮腫
初診時の状態を見る限り、明らかに日常生活に支障が出ており満足に外出もできなかったことでやりたい仕事を満足にできないでいたため、本人のよくしたいという思いが強かった。レントゲンレベルがD3であり仕事も忙しいとのことで、まずは週1回のペースでのケアを始めることにした。
4回目のアジャストメント時には徐々に歩行距離が伸び、5000歩くらいまで歩けるようになってきた。
仙骨の状態として、浮腫も減少傾向にあり、だんだん一ヶ所に集まってきている。
また親指の痺れはそのまま残っているが、感覚は徐々に回復し感覚が戻ってきている。
7回目のアジャストメント時には歩行も10000歩を超えても大丈夫になってきており、仕事も完全リモートだったのが近場なら電車に乗って行けたりなど行動範囲が増え、それに伴い仕事もどんどん増えてきているとのことだった。
10回目のアジャストメント時には日常生活を送ってもほとんど気にならず、間欠性跛行・親指の痺れもかなり減少傾向で県を跨ぐ長距離の移動も気にせずたくさん行けるようになった。
また骨盤部のみしか触っていないものの、常にあっためまいにも変化が出始め、気にならない日が増えてきているとのことだった。
体を気にせず仕事をやれるようになったことでメンタル的にもすごく良い状態で過ごせているとのことで、仕事のパフォーマンスも上がっているとのことだった。
現在は状態を維持するため1週~2週に1回のペースで来院を続けている。
脊柱管狭窄症による馬尾神経障害でまず考えられる症状として、腰痛、下肢の痺れ、下肢の運動機能低下、間欠性跛行、膀胱直腸障害などがあげられる。
また、腰椎5番の神経根は前脛骨筋や中殿筋を支配しており、腰椎5番の神経根障害では下垂足に伴う股関節外転筋力の低下が歩行に影響したり、足関節や母趾の底背屈筋力の低下がみられるケースがある。
今回はMMT低下や反射・知覚異常は見られないものの、腰痛以外に両足の親指の常にある痺れや間欠性跛行などがみられるなど馬尾神経障害が確認できたことに加え、めまいもあるなどケースマネジメントにおいては副交感神経サブラクセーションの兆候が強い患者様だった。
今回のケースでは腰椎5番のすべり症を伴う脊柱管狭窄症の症状だったが、腰部だけでなく土台である骨盤部のサブラクセーションの補正により上部頸椎にも影響が出ていた。
そのため骨盤部の安定化とともに補正をしていた上部頸椎の負担が減ったことでめまいにも良い影響が出たと考えられる。
アジャストメントを続けていく中でサブラクセーションが取り除かれ、神経と脳が正常にやり取りできるようになったことで患者様の本来持っている自然治癒力が最大限発揮され、今回のような脊柱管狭窄症と診断を受けた症状などの回復につながったと考えられる。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉
神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。