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腰痛

腰痛

70代男性
主訴
腰痛
来院に至った経緯

かなり前から腰痛が気になっている。また、手で物がつかみにくいと感じていることが悩みであった。地元にある2か所の総合病院で診察されたところ、どちらの病院でも現状では首や腰は全く問題がないと言われ、薬や湿布を使用していた。しかし、症状が改善せずに悩んでいたところ、当院に通院されていた奥様の紹介で来院の運びとなった。

定年前から家庭菜園を行っており、畑を耕したり、重いものを持つと必ず腰痛を訴えていた。また、朝になると起き上がるときに腰痛があり、最近では起き上がるにも時間がかかるようになってきた。

足には痺れがないが、10年ほど前から手に軽度の痺れがあり、物をつかむのが難しくなる症状があります。腰や首の痛みの原因について、本人は原因を覚えていない。これから孫が生まれるため、孫を抱っこしたいという希望に加え、家庭産園をしており、草むしりや野菜の収穫なども頑張りたいと考えている。

初診の状態
  • 01

    左側の腰部起立筋の緊張

  • 02

    左側の頸部起立筋の緊張、可動域制限

経過と内容

通常、症状や身体所見でペースを決めるのではないが、レントゲン画像がなく、自宅の畑の作業の都合もあったため、まずは週2回からの施術から行うことを提案した。

2週目(2回目のアジャストメント)には、少し腰痛が楽になり、若干の変化を感じた。好転反応などは全くなく、アジャストメントは受け入れられる。

4週目(6回目のアジャストメント)には、腰を動かしたときの痛みが軽減してきたため、少し家庭菜園が長く続けられるようになった。炎症の徴候も収まってきたため、ペースを変更した。

12週目(14回目のアジャストメント)には、朝起き上がる時にあった腰痛がいつの間にかなく、スムーズに起き上がれるようになったと喜んでいた。手の握りにくさはまだ残るが、以前よりも力が入るようになってきている。

19週目(18回目のアジャストメント)には、最近の調子が良く、家庭菜園をしても問題なく体を動かし、野菜の収穫もできるようになってきた。手の握る力も増え、この頃にはできた野菜を配り歩く程になった。

現在では孫が生まれ、大変ながらも抱っこや遊びに付き合っている。体調管理も含めて月に1回のペースにメンテナンスで通院されている。


考察

慢性腰痛の原因は2つに大別される。一つは自律神経のバランスが乱れ、腰臀部周囲の神経に対して影響を及ぼし、疼痛や可動域制限などをきたすことである。もう一つは、筋骨格系(主に骨盤や腰椎)のバランスの乱れにより、不安定な状態から体を支えようとすることで、腰臀部周囲の筋を過緊張させたり、炎症を引き起こし、神経に影響を与えたりすることである。

今回の腰痛は頻度の高い骨盤部ではなく、第5腰椎の後方変位が及ぼしたものと考えられる。第5腰椎の後方変位によって腰仙関節に必要以上の負荷がかかっていたところに、家庭菜園などでさらに腰椎に負担がかかったことが原因と考えられる。

手に軽度のしびれや握りにくさ認められたが、長年家庭菜園などによって頸部に負担がかかり、神経への影響があったものと考察される。また、頸部の起立筋の緊張や可動域制限が認められたが、今回のケースでは体がこれ以上神経に負担をかけないように、頸部全体に可動域制限をかけていたと推測される。

今回のケースは19週にわたってアジャストメントを続けた。神経の回復にはおおよそ3カ月かかるが、回復までの期間は年齢や症状、椎間板の状態にも依存するため長期となった。実際にはレントゲンにて判断することが望ましい。

筋骨格系で複数個所に症状があるとしても、正確な検査・考察を持って行うことで、最小限の個所の調整に留めることが出来た。カイロプラクティック・システムの重要性が分かる症例であった。

岡芹 侑哉

執筆者OKA接骨院・鍼灸院・整体院岡芹 侑哉

1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。

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