頻繁に風邪をひいていたが改善した
小学生の頃からサッカーを始め、社会人になってからも海外で数年プレーを続けていた。引退してからは、サッカーの指導を続けている。
20代前半までは怪我で悩んだことがなかったが、学生最後の大会前の練習で大腿部を負傷して最後の試合には出られなかった。
日本と海外での生活を何度か繰り返していたら、風邪をひきやすくなり、頭痛が出るようになった。頭痛は、気圧の変化で発症しやすく時間は夕方以降に出ることが多い。
同じ時期に徐々に睡眠の質が悪くなり、寝入りにも時間がかかり就寝中も何度も目が覚めてしまうようになってしまい、その状態が続いていた。
社会人になってからトレーニング量が増え、現在も継続していたがベンチプレスをしたときに右肩を負傷して整骨院に通院していた。痛みが楽になればトレーニングを再開して痛くなれば休むことを繰り返していたら胸部にも痛みが出るようになってきてしまい、そこからトレーニングを控えていた。
さらに、サッカーの練習中に対人で腰を痛めてしまい、日常生活にも支障をきたすほどの痛みがあり、体にも不調が続いたためホームページで検索し来院に至る。
僧帽筋部の過緊張
腰部脊柱起立筋、殿筋の過緊張
腰を支えながら歩行
動き始めの腰の際の痛み
初診時の状態は右側の仙腸関節には明らかな可動域制限がみられた。椎間板はD3レベルと確認したため、初期集中期の目安として週2回のケアから開始した。
2週目(2回目のアジャストメント)では、初回で腰部の炎症が強くみられ、腰を手で支えながらながらでないと歩けなかったが、2週目(2回目のアジャストメント)には、痛みが軽減し歩行時の怖さはなくなった。
3週目(3回目のアジャストメント)では、腰の痛みはほぼなくなり、サッカーで対人の練習以外は参加できた。
4週目(5回目のアジャストメント) では、トレーニングでスクワットをしても痛みなくできた。サッカーで対人の練習も参加できるまで回復した。
10週目(9回目のアジャストメント)では、頭痛の頻度が減った。
16週目(11回目のアジャストメント)では、夜に最低2回は起きてしまっていたが朝まで起きずに寝れている日が続いている。
21週目(13回目のアジャストメント)では、ひと月に1度は風邪をひいていたが、気づい頃には体調を崩さずに生活できていた。上部頚椎と骨盤の副交感神経部位が安定していたため、交感神経にアプローチを移行した。
23週目(14回目のアジャストメント)では、トレーニングで胸部には痛みは少し残っていたが、右肩に痛みを感じずにできた。
25週目(15回目のアジャストメント)では、胸部の痛みもなく高負荷でトレーニングできた。
現在は、症状は緩和しており、身体のメンテナンスとして3週間に一度アジャストメントを続けている。
今回の急性腰痛の原因は、サッカーの練習中に腰部へ過度な負荷がかかったことがきっかけとなったが、慢性的な骨盤の傾きによって腰部の配列が乱れ、長期的に腰骨盤部の神経に負担が掛かっていたものと考えられる。
腰の痛み以外では、右肩、胸部の痛み、睡眠の質の低下、風邪をひきやすいといった複数の症状がみられた。
初回の検査のでは、交感神経と副交感神経の両方で反応がみられたが、骨盤と上部頚椎部分には特に反応が強くみられたことと、患者様が一番悩まれていた症状が腰痛のと不眠症だったため、副交感神経のサブラクセーションを第一優先にアプローチをした。
第5腰椎はD3レベルと椎間板は慢性的な状態だった。骨盤のバランスの乱れによって背骨の配列は影響を受けやすい。この状態を放置してしまうと腰椎の椎間板には、日常的に捻じれが生じてしまうため、腰部の筋肉は体を支えようと硬直した状態となってしまう。骨盤部のサブラクセーションを放置してしまったことが、今回の症状に繋がったと考えられる。
不眠症は、神経への慢性的な負担を放置してしまい、自律神経のバランスの乱れてしまったことが原因と考えられた。検査で反応が強くみられた頚椎と骨盤は副交感神経の働きが関係する。
副交感神経でサブラクセーション(根本原因)があることによって、交感神経は通常よりも過剰な働きとなってしまい、その状態が長期的に続いた結果、睡眠の質が低下したものと考えられる。
頭痛も夕方以降に出るものは、緊張性の頭痛で交感神経の働きが過剰となっているときの頭痛の特徴でもある。
風邪をひきやすいのは、免疫力の低下が考えられる。体は細菌やウイルスなど有害物質を排除する防衛システムが備わっているが、この働きは自律神経がバランス良く働いているかどうかが重要となる。この自律神経のバランスが乱れ防御システムが正常に働けなくなったことで免疫力が低下したものと考えられる。
右肩と胸部の痛みは、肩関節は鎖骨、肩甲骨と関与していて、鎖骨、肩甲骨、さらに胸郭を構成している肋骨と胸骨も背骨と密接な関係にある。肩関節は背骨との連動して運動していることになり、背骨の負担は胸部まで影響を与えると考えられる。そして、肩関節に供給している神経は下部頚椎から上部胸椎からなり、そこで神経に負担が掛かっていれば損傷部分の修復がおこなわれない状態となっていると考える。
下部頚椎や胸椎部分は交感神経の働きが関係している。アジャストメント継続して上部頚椎と骨盤が安定したことを確認したため、下部頚椎と胸椎、腰椎での神経の負担が残されていたためアプローチを交感神経に移行した。
様々な症状がみられたが、患者様へ検査とレントゲンの評価も踏まえたケア計画を伝えながらすすめていけてこと、しっかり神経系を絞ってアプローチしたことが症状が改善したことに繋がったと考えられる症例であった。今後も引き続きケアを続けていきたい。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院中島 恵
新潟県東蒲原郡出身。柔道整復師の免許を取得後、整骨院に勤務。様々な講習会に参加している中で本来のカイロプラクティックの考え方に興味を持つようになり塩川スクールを受講する。カイロプラクティックで地域や社会に貢献したいという思いが強くなり、日本のカイロプラクティックの発展に尽力してまいります。