10代の頃から腰痛、社会人になってから頭痛も
初めて腰痛になったのは17歳の時、アイロンがけをしていて座って立ち上がる時にズキっとした痛みが走り、ぎっくり腰になり歩けなくなった。次の日もその状態が続いていた為、学校に行けず近くの整形外科に行き少しは改善したが、今でもぎっくり腰みたいな症状が出てしまう時があり改善したく来院された。横になって寝ている時も寝返りするだけで痛みが出て目が覚めてしまう。また前職はアパレル業で立ち仕事がほとんどだったが、重い荷物も持つことも多くあり、それも腰痛の原因になっている。デスクワークが多い仕事に転職してからは、毎日画面の小さなノートパソコンを8時間は見ており、それから頭痛が出ることが多くなった。仕事が終わり夕飯を作っている時に出ることが多く、ひどい時は痛み止めを飲まないと耐えれないぐらいの頭痛が出てしまい、寝込んでしまうことがあった。
月経不順も高校生の時からあり、たまに来る時の生理痛がすごく辛く、下腹部が痛くなり、いつも痛み止めを飲んで誤魔化していた。本当に辛い時は授業を休み、社会人になってからは貧血になる時もあり、顔色が悪いと言われ早退させられることもあった。また旅行が好きなのにいつ月経が来るか分からず不安な為、ピルを処方している時があったが、副作用も怖い為、体質を改善したいと思い来院された。
右側の首(胸鎖乳突筋)が緊張
右の頚椎1番に浮腫
腰部全体が緊張
腰椎5番の椎間板がD4レベルだったため、初期集中期は週に2回のケア計画を提案したが、お仕事の都合で週に1回のペースで来院された。
2週目(2回目のアジャストメント)には、アジャストメント後仙骨の浮腫が明らかに減っており、頚椎1番右側の浮腫・圧痛も軽減していた。前回よりも頸部の緊張も明らかに減っている。また頭痛が気にならなくなってきていると仰っている。
7週目(6回目のアジャストメント) には、仙骨の体表温度の誤差がなくなり、仙骨の浮腫感も軽減したがまだ腰部の緊張は残っている状態。頚椎1番も初動は動いており、浮腫や圧痛、体表温度の誤差も出なくなった為、交感神経支配である腰椎5番と頚椎7番に移行。アジャストメント後、腰部のザラザラとした肌の質感が変化し、通常の肌の質感に変わり、たまに起こっていたぎっくり腰みたいな症状は出なくなった。
11週目 (9回目のアジャストメント)には、腰椎5番に移行してからまた、ずっときていなかった月経が来るようになった。それまではっきりと出ていた腰椎1番のブレイクが軽減していた。
6週目まではアジャストを仙骨(S3P)、頚椎1番(ASR)を続けて行った。7週目から体表の温度や浮腫、第一頚椎の初動の動きなど安定が見られたので、交感神経支配の腰椎5番(L5PL-M)、頚椎7番(C7PL)に移行した。
今回のケースでは、土台の仙骨の不安定さが原因となり、筋骨格的な問題から腰痛が出たと考えられます。ナーブスコープで体表温度の検査したところ仙骨(S3)に体表温度こ誤差が見られ、また仙骨(S3)の場所にはっきりとした浮腫感を確認。レントゲンの評価では腰椎5番(L5)の椎間板がD4レベルということもあり、腰椎5番(L5)へのアプローチも視野に入れたいと思っていたが、仙骨という脊柱の土台の不安定さが原因となり、腰椎5番の椎間板に負担がかかり、主訴である座って立ち上がる時の腰の痛みが顕著に出たと考えアプローチを始めることにした。
頭痛に関しては、デスクワークの仕事に転職してからノートパソコンを毎日8時間ぐらい眺められており、画面が自分の目線よりも低い場所にあることから俯いている状態が続いていたと考えられます。本来、座っている時の理想的な頭の位置は横から見た時に坐骨、肩、耳が一直線のラインになるのが理想ですが、継続的に頭の位置が前方にあることで椎間板に負担がかかり、本来なら骨格で支えられるところ、首の筋肉にも負担がかかってしまい過緊張な状態が続いてしまい頭痛へと繋がったと考えられます。
また座っている状態が続くと腰の椎間板にも圧が加わり負担になります。人間の身体は背骨で下から上まで繋がっており、骨と骨の間にはクッションの役割をもつ椎間板が存在しております。
今回のケースでは土台となる椎間板が不安定な状態となり、離れている上位の首にも影響が出てしまい、過緊張状態から頭痛に影響したと考えられます。
月経不順に関する原因となるのはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが関係しており、これらのホルモンの分泌は神経を介して行われております。子宮卵巣は腰椎の1〜3番に繋がっている神経から脳に情報を伝達すると、脳はその情報を元に適切なタイミングで適切なホルモンの量を分泌機関に出すように指令を送ります。
一般的に月経不順に繋がると言われる要因は精神的なストレス、激しい運動、過度なダイエットが原因と言われておりますが、同じ環境下でも症状に繋がる人と繋がらない人との違いは何が考えられるでしょうか?カイロプラクティックでは、神経の圧迫があることにより月経不順という症状に関連すると考えます。
この患者様は子宮卵巣に繋がる腰椎1番のところに体表温度の誤差が確認されました。この腰椎の1番は可動が動きすぎている状態となっており、過剰に動いている状態というのは、その場所に原因があるのではなく、根本的な原因となっている場所を補う為に過剰に動きすぎてい状態になります。今回のケースでは土台の仙骨の不安定さが原因となり、腰椎5番の椎間板がD4レベルとなり、その補正作用で腰椎1番の椎間板に負担がかかり、可動か過剰になっていたと考えられます。
今回はアプローチは土台のとなる仙骨を安定させてから、負担がかかっていた腰椎5番にアプローチを切り替えました。そこから子宮に繋がっていた腰椎1番の負担も軽減され、神経の流れが正常となり月経不順という症状の改善に繋がりました。
執筆者塩川カイロプラクティック治療室塩川 雅士D.C.
1980年、東京都生まれ。17才で渡米後、2004年パーマーカイロプラクティック大学を優等で卒業。D.C.の称号取得。米国ナショナルボード合格。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)役員。2005年からカイロプラクターを育成する学校の運営と講師に携わり、現在、年間約300時間の講義やセミナーなどの活動を全国で精力的に行っている。