何もないところで転んでいたのに、気づけば転ばなくなっていた!
仕事は15年間、事務作業をしている。仕事中は座っているか、重たい荷物を持ち歩いている。その影響か10年以上前から腰痛があり、何もない平坦な道でつまずいたり、足首を捻挫したり、階段の下りでも怖さを感じていた。1年前から両ひざに痛みが出て、病院では膝に水が溜まっていると診断された。この頃から、夜寝るときに両脚のふくらはぎが頻繁につるようになった。
高校生の頃から生理不順があったが、20代半ばで出産をしたあと、生理不順がさらに酷くなり3か月に1度しか生理が来なくなった。一度、生理が来ると2週間以上出血が続いたり、逆に1日で出血が止まったり不安定な状態が続いていた。30歳を過ぎたころには子宮筋腫と子宮内膜症と診断され、その頃から生理がまったく来なくなり無月経となった。
子供の頃から手足が冷えやすく、運動をしても温まることはなかった。大人になって末端冷え性と気づいたが、子供の頃からなので生まれつきなのかと諦めていた。
右仙腸関節の可動制限
腰部起立筋の過緊張
右後頭部のしこりのような浮腫感
腰部の椎間板が全体的にD4~D6レベルと慢性的だったため、週3回のケアを提示したが、仕事の関係上週1回のケアからスタートすることにした。しかし、仕事が多忙のため、ケアを開始してから週1回以上に間隔が開いてしまうことがほとんどだった。
2週目(2回目のアジャストメント)には、パンパンに腫れてしまっていた膝の腫れが明らかに減っていた。本人は1回目のアジャストメントを受けた帰りには、階段を下りるときの怖さがなかったと変化を感じていた。
5週目(4回目のアジャストメント)には、膝の腫れはすっかり引いて痛みも感じなくなった。この頃からキンキンに冷え切っていた手足にも血流が戻ってきて、本人も脚が温かいと感じるようになった。
8週目(6回目のアジャストメント)には、仙骨を中心に広がっていた浮腫感も減り、浮腫の位置が局所的(右仙骨翼)になった。また、10年以上止まっていた生理が再開し、本人も驚いていた。
14週目(9回目のアジャストメント)には、頸部の右胸鎖乳突筋や腰部起立筋の過緊張はほとんどなくなった。あれほど頻繁に転んだり足を捻ったりしていたのに、そういえば最近転ばないと本人もそれ自体を忘れているほどだった。
今回の腰痛の原因は、土台である骨盤の乱れから腰部に必要以上の負荷がかかっていたこと。また、膝痛、歩行時のつまずき、足をよく捻る、階段が怖いといったことも骨盤の制限によって起こっていたと考えられる。骨盤から下肢へ伸びる神経機能に異常をきたした結果、下肢の関節や筋肉の動きにも制限がかかっていたのだろう。
末端冷え性や生理不順といった自律神経の問題もいくつか確認されたが、末端冷え性は交感神経が優位になっていることの特徴でもある。交感神経が優位に働くと末梢の血管が閉じて体の中心部分に血液を集める作用が働く。その結果、末端冷え性となっていたと考えられる。
生理不順は、脳と卵巣を繋ぐ神経の流れが阻害されることで起こる。生理周期は卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンだけではなく、脳下垂体から出る卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化形成ホルモン(LH)などさまざまなホルモンが関連し合い、1つの周期を作り出している。
ホルモンの分泌は多すぎても少なすぎても体に悪影響を与えてしまうが、神経の流れが整い脳と卵巣のやり取りが正常に行われた結果、高校生の頃からある生理不順や30歳から10年以上続いていた無月経が解消され、生理が再開したのだと考えられる。
執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真
1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。