シオカワグループ シオカワグループ

腰の重さ,胃痛(食前)

腰の重さ,胃痛(食前)

介護でつらい腰の重さと、長年悩む食前の腹痛

60代女性
主訴
腰の重さ、項部の痛み、胃の痛み(食事前)、睡眠の質が悪い(中途覚醒)、不安神経症
来院に至った経緯
産後(20代後半)から腰の重さが発生していた。
60代になると家事や介護の負担が重なって痛みにまで発展するようになってしまった。
また、メンタルが不安定なこともあり、それに伴って胃の調子も良くなくなる。
満足に家事をすることもできない上に、大好きなお酒も飲めなくなったことが辛いと思っていたところ、身内がカイロプラクティックを受け始め、体調が良くなった様子を見て「自分も受けてみたい」と思い、来院に至った。
初診の状態
  • 01

    仙骨全体に浮腫(S3を中心に。)

  • 02

    腰椎の前弯が過剰

  • 03

    右の胸鎖乳突筋の緊張

  • 04

    T3-6の胸椎後弯減少(ディッシング)

経過と内容
下部腰椎の椎間板がD4レベルであったことから週3回のケアを提案し、可能な限りお越しいただいた。
2週目(5回目のアジャストメント)の頃には、腰の重さや項部の痛みは、本人曰く軽減した。実際に、仙骨の浮腫の軽減、右の胸鎖乳突筋の緊張が顕著に軽減し、体表温度測定を見ても以前ほど炎症が強くない状態であった。
4週目(10回目のアジャストメント)の頃には、胃のシクシクした痛みが軽減し、好きなものを食べても飲んでも快適に過ごせるようになった。睡眠の質も安定してきて、途中で起きる回数は減っていった。
5週目(13回目のアジャストメント)の頃には、腰、首、胃どれをとっても快適になった。しかしながら、お母様の介護をされていることもあり、介護をした日は腰に負担がかかるためそのケアを継続的に行なっていく方針を固めた。
リスティングは変化なし。

考察
この患者様の腰や項の問題部分には浮腫が強く出ており、その周囲の筋緊張も強く出ていた。
また、副訴として、食前後すぐに出る胃痛や睡眠の質が交感神経の活動が過剰によるものであることから、副交感神経サブラクセーションによるものであると考えられる。
以上のことから副交感神経領域(骨盤および上部頸椎)に対してのアプローチでケアを開始した。
ケアを進めていくことで、土台である骨盤が安定してきたことから、神経機能が正常に働き、腰や首の筋緊張や痛み、重さが軽減していった。
この患者さまは、お母様の介護をしていること自体が非常にストレスと感じており、それが胃痛に関係してきていることは本人が自覚されていた。
このようなストレスによる胃痛のケースは、副腎から分泌されるコルチゾールの影響を疑うことが多い。だが副腎にフォーカスすることなく、まずは土台である骨盤を安定させ、自律神経系の安定を優先したことによって胃痛に関しても順調に回復傾向が見られた。
今回の胃痛は交感神経過剰によるものだったという裏付けにもなった。
睡眠の質に関しても、交感神経の働きが過剰になっていたことで生じたものであったため、自律神経系の安定と共に、問題も消失していった。
1つの臓器、1つの問題にそれぞれ着目するのでなく、全体を見てケアを進めていくことが今後も重要になってくる。
関野 貴友

執筆者NEOCHI関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

pagetop