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腰の痛みと脊柱管狭窄症による両脚の痛みとしびれ

腰の痛みと脊柱管狭窄症による両脚の痛みとしびれ

”痛みのことを忘れるようになりました”

80代男性
主訴
腰痛、脊柱管狭窄症に伴う間欠性破行
来院に至った経緯

数年来、腰の痛みと両下肢の痛み・しびれに悩まされていた患者さんです。最初は「年齢のせいだろう」と自己判断され、市販の湿布や鎮痛薬で痛みをごまかしながら生活を続けておられました。

しかし、ある日、近所のスーパーまでの買い物の途中で、わずか10分も歩かないうちに足がしびれて立ち止まってしまったそうです。「このままでは日常生活に支障が出てしまう」と感じ、病院でMRI検査を受けられました。

結果は「腰部脊柱管狭窄症」。医師からは「加齢によるもの」と説明され、鎮痛薬とリハビリによる保存療法が勧められましたが、数ヶ月通っても大きな改善は見られなかったとのことです。不安は次第に大きくなり、「このまま歩けなくなるのでは」と感じておられました。

そんな中、ご家族の方(息子さん)が当院を見つけてくださり、「手術や薬以外にも選択肢があるのでは」とご相談を受けました。ご本人も「できることはすべて試しておきたい」という前向きな思いを持たれ、来院に至りました。

初診の状態
  • 01

    仙腸関節の可動域制限

  • 02

    腰の筋肉のこわばり

  • 03

    両仙腸関節にしこり

経過と内容

初回来院時、患者様の表情には不安がにじんでいました。「このまま歩けなくなるんじゃないか…」という強い恐怖を抱えておられたのだと思います。病院では“加齢のせい”と片づけられ、痛み止めとリハビリを続けても良くならない。それでも、手術だけは避けたい——そんな思いで、息子さんの後押しを受けて当院に来られました。

検査を行ったところ、腰の椎間板はD5〜6のレベルで全体的に傷んでおり、首もD4〜5で慢性的な負担が見られました。症状の根が深いと判断し、まずは週3回の集中ケアからスタートすることをご提案しました。

最初の頃は、施術のたびに緊張と期待が入り混じったような様子でした。それでも毎回真剣に体と向き合い、ケアに通い続けてくださいました。

4週目(10回目の施術)には、腰の張りや重だるさがかなり和らぎ、表情にも少しずつ笑顔が戻ってきました。「最近、座っていてもしんどくない日が増えてきたんです」と、少し驚いたように話してくださったのを覚えています。

6週目(13回目)には、はっきりとした変化が現れました。なんと6000歩ほど歩いても、以前のような足のしびれや痛みが出なかったのです。ご本人も「こんなに歩けたのは何年ぶりだろう」と、目を潤ませながら話してくださいました。腰のむくみや筋肉の緊張もさらに落ち着き、症状は安定してきました。

そして8週目(17回目)には、日常生活の中で気になる症状はほとんど感じなくなっていました。「最近、痛みのことを忘れてる時間があるんですよ」と、笑顔でお話される姿が印象的でした。腰椎の3番にわずかな動きの制限が残っていたため、アプローチの仕方をL3PRSに切り替え、より細やかなケアを継続しました。

現在は、週1回〜2週に1回のペースでメンテナンスを行いながら、再発を防ぎ、より快適な毎日を送れるようサポートしています。


考察

腰部脊柱管狭窄症は、年齢とともに起こる背骨や椎間板の変化が主な原因とされていますが、実は普段の姿勢や生活習慣など、体にかかる慢性的な負担も大きく関わっています。背骨の中を通る神経の通り道が狭くなることで、足のしびれや、長く歩けなくなるといった症状が出てくるのが特徴です。

一般的には、痛み止めや筋肉をゆるめる薬、血流を改善する薬などが処方され、ある程度症状が軽くなることもありますが、根本的に治るというケースはそう多くありません。

そもそも加齢を止めることはできませんし、現代社会で背骨に負担をかけない生活を送ることも現実的ではないため、「外側」だけに注目するのではなく、神経の働きや身体のバランスといった「内側」からのアプローチが必要になります。

カイロプラクティックでは、背骨や神経のバランスの乱れが症状の根本にあると考え、それを整えることで体全体の回復力を引き出していきます。

腰部脊柱管狭窄症も、単なる加齢のせいで終わらせるのではなく、「今の体からのサイン」と受け止め、神経や身体の内側の調和を取り戻すことが大切です。

椎間板は年齢とともに水分が減り、クッションのような役割が弱くなっていきますが、これは数年、あるいは数十年にわたって体にかかり続けた負担の積み重ねの結果です。

その過程で背骨の形が変わったり、骨が出っ張ったりするのも、実は神経へのダメージを最小限に抑えようとする体の防御反応とも言えます。

整形外科では、こうした骨の変形が神経を圧迫して症状が出ると説明されますが、カイロプラクティックでは、それ以上に「神経がきちんと働いていないこと」に注目します。

神経の流れや体の回復力を邪魔している部分を見つけ、そこを正しく調整していくことで、体は本来の働きを取り戻し、症状も自然と和らいでいくのです。

今回のように、腰部脊柱管狭窄症の方に対しても、単に骨の形をどうこうするという視点ではなく、神経の働きを回復させることを軸にしたケアがとても大切になります。

細井 康隆

執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆

埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。

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