
夜に目が覚めてしまうほどの腰痛
4~5年前から腰痛を自覚するようになり、それまでは特に問題はなかった。しかし、現在では全身の痛みがあり、特に寝ているときにお尻から先に痛みが出て目が覚めてしまうこと、寝られないことが最も困っている点である。
日によって痛みの程度は異なるが、共通しているのは立ち上がるときに痛みが出ることであり、まっすぐに立つと症状が和らぎ、座ると軽減する。しかし、寝ている間も痛みがあり、それで目が覚めることがある。このような症状がほぼ毎日続いている。
去年、病院で診察を受けたところ、「腰椎すべり症(L4、L5)」と診断され、その後、「脊柱管狭窄症」の可能性も指摘された。医師からは「症状が悪化すれば手術しかない」と説明され、不安を抱えていた。腰痛については湿布や塗り薬で対応しているが、根本的な改善には至っていない。ここ半年間はコルセットを着用しており、コルセットがないと不安である。
また、現在はそれほどではないが、過去に五十肩を経験しており、右腕を上げる際に痛みがある。さらに、腰痛との関連は不明だが、足がよくつり、夜中に目が覚めることがある。また、右手の親指にしびれがあることも気になっている。服用している薬は骨粗鬆症の薬で、飲み薬で症状を抑えている。
なんとかして腰痛や全身の痛みを改善できないかと考え、治療法を探していたところ、近所の患者が当院に通っており、その方が「どこへ行っても良くならなかった症状が改善した」と話していたため、この腰痛や不快感を取り除き、家事や庭いじりを楽しめるようになりたいという想いから当院を訪れた。
体幹前傾位、頭部前方位
左仙腸関節の可動制限
疼痛性跛行
初診時の視診では、体幹前傾位と頭部前方位が確認された。体表温度検査では、S2、C6、T12に異常反応が見られ、左右の温度の誤差が確認された。静的触診では、頸部・腰部全体の起立筋の過緊張と、腰椎棘突起の階段状変形が認められた。動的触診では、左仙腸関節とC6の可動域の制限が見られた。レントゲン評価では、L5/S1の椎間板がD6レベルの慢性的な変性を示していた。そのため、週3回のケアから開始することとした。
2回目のアジャストメント後には、家の庭の草むしりを少しだけではあるができるようになった。痛みの軽減が見られたことで、日常動作が少しずつ可能になり始めた。しかし、草むしりの後には再度同じ状態に戻ってしまったため、加減をしながら進めていただくようにアドバイスをした。
11回目のアジャストメント後には、30分ほどウォーキングが可能となった。しかし、その後しばらくして腰痛が再発することがあったため、引き続き経過を観察することとした。右手のしびれも軽減してきており、指先の感覚が自分に戻ってきた。
14回目のアジャストメント後には、腰痛の頻度が減少し、朝の動き出しが楽になってきた。足がつれることが減り、夜中に起こされることが少なくなっている。しかし、寝ている時に腰痛があり、まだまだ深く眠ることが出来ない。
18回目のアジャストメント後には、体全体が軽く感じられるようになり、仰向けで寝ることが可能となった。また、起き上がる際の痛みもかなり軽減されてきた。コルセットも外せるときには外すようにしているとのご報告をいただいた。
25回目のアジャストメント後には、庭いじりをして草むしりや葉を燃やす作業を行ったが、腰痛などの症状は出なかった。患者自身も「かなり調子が良い」と実感できるようになった。
執筆者OKA接骨院・鍼灸院・カイロプラクティック岡芹 侑哉
1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。