
“趣味のゴルフができるようになりました”
都内でデスクワーク中心の仕事をしている方で、もともと腰の張りは感じていたものの、「運動不足や年齢のせいかな」と軽く考えていたそうです。
ところが、半年ほど前から背中の真ん中あたりに鈍い痛みを感じるようになり、次第に左のお尻から太もも、ふくらはぎにかけて、しびれるような痛みが出るようになってきました。
最初は「寝れば治るだろう」と思い、市販の湿布を貼ったり、ストレッチをしたりしてごまかしていたものの、だんだんと椅子から立ち上がる動作や階段の上り下りですらつらくなっていきました。趣味だったゴルフにも行けなくなり、家族との外出も控えるようになってしまったそうです。
整形外科では「坐骨神経痛でしょう」と診断され、痛み止めの薬とリハビリを勧められましたが、期待していたような改善は見られませんでした。
そんなとき、職場の同僚との何気ない会話の中で、「自分も似たような症状があったけど、あのカイロプラクティックに通ったらかなり楽になったよ」と当院の話を聞いたそうです。「正直、半信半疑だったけど、このままだと仕事にも生活にも支障が出る」と思い、同僚の紹介で当院を予約されました。
初回のカウンセリングでは、骨盤や背骨に負担がかかり神経を圧迫し、今のような症状につながっている可能性があることを丁寧に説明しました。その内容に納得感があり、「これまで原因がわからなかった自分の症状が、ようやく理解できた」と安心されたようです。それが、継続して通ってみようと思えた一番の理由だったとお話しくださいました。
腰から背中にかけての強い筋肉のこわばり
両PSIS上端部にしこりのような浮腫感
検査の結果、腰の骨の5番の椎間板にはD5レベルの変性が見られ、首のカーブ(前弯カーブ)も失われており、椎間板もD3〜D4とかなり慢性的な状態になっていました。本来であれば週2回のペースでケアを行うのが理想的でしたが、お仕事の都合もあり、まずは2週間に1回のペースから施術をスタートすることになりました。
4週目(3回目のアジャストメント)を終える頃には、腰の張りが少しずつやわらいできたようで、ご本人からも「最近ちょっと楽かもしれない」といった前向きな声が聞かれました。
12週目(7回目のアジャストメント)では、「前よりも疲れにくくなった感じがあります」とのことで、足のしびれや痛みもかなり軽くなってきていました。腰椎4番の動きも良好で、浮腫感もすっきりしていました。
20週目(11回目のアジャストメント)には、長く悩まされていたしびれと痛みは完全になくなり、「日常生活で症状を感じなくなりました」と笑顔で話してくださいました。まだ背中の一部に軽い張りは残っていましたが、浮腫感や動きの悪さ(fix)はほぼクリアな状態に。
本当はこのまま定期的にケアを続けていきたいというお気持ちがあったそうですが、お引っ越しの関係で、今後は年に数回、メンテナンスとして当院にお越しいただくことになりました。
症状に悩まれていた当初の表情とは打って変わって、施術の最後には前向きな表情に変わられていたのが印象的でした。
坐骨神経痛は、お尻から足にかけての痛みやしびれ、筋力の低下などを引き起こす症状で、神経が圧迫されることで起こります。原因としては、骨盤や背骨にかかる慢性的なストレス、長時間の同じ姿勢、そしてホルモンバランスの乱れによって起こる「冷え」などが関係していると考えられています。
治療としては、一般的に痛み止めや筋肉をゆるめる薬、血流を良くする薬、神経の回復を助けるビタミンなどが処方され、あわせてストレッチやマッサージといった運動療法が行われることが多いです。これらの方法で一時的に症状が楽になる方もいますが、根本的な原因を取り除くには至らないことも多く見られます。
実際のところ、日常生活で背骨や骨盤にまったく負担をかけずに生活することは難しく、仕事や家庭の事情から生活スタイルを大きく変えるのも簡単ではありません。だからこそ、坐骨神経痛の本当の原因に向き合うには、「外からの原因」だけでなく、「体の中の状態」、特に神経の働きに注目することが大切です。
坐骨神経痛は、体の内側で何かバランスが崩れているという“サイン”であり、体からの警告のようなものでもあります。実際、多くの方に見られるのが、お尻まわりの筋肉がガチガチに固くなっている状態です。これは骨盤や背骨のバランスが崩れた結果、体が自分を守ろうとして筋肉を緊張させている「防御反応」として起こるものです。
たとえば、正座を長くした後に足がしびれるのは、血流や神経が一時的に圧迫されることで起こる自然な反応で、時間が経てば自然に治ります。坐骨神経痛も同じように、神経にかかったストレスが取り除かれ、神経が本来の働きを取り戻せば、症状は自然に和らいでいくのです。
整形外科では、骨や筋肉といった“構造”の異常を重視して診断・治療することが多いのに対して、カイロプラクティックでは“神経の働き”そのものを重視します。つまり、脳と体がうまくコミュニケーションをとれている状態を取り戻すことで、体が本来持っている「自分で治す力(自然治癒力)」を引き出し、外からのストレスにも対応できるようになると考えます。
人間の体には、生まれたときから自分自身を調整し、回復させる力が備わっています。それでも、しびれなどの症状が慢性的に続いているとすれば、それは体の中で神経の情報伝達がうまくいっていないサインかもしれません。つまり、脳と体の間の“つながり”が乱れていて、神経が修復されにくくなっている可能性があるということです。
こうした視点から、カイロプラクティックでは神経の流れを整えることを重視し、単に骨の歪みを正すだけではなく、神経系のはたらきを高める施術を行っています。今回の症例でも、そうしたアプローチによって明らかな改善が見られました。
執筆者細井カイロプラクティック細井 康隆
埼玉県さいたま市出身。2011年にスポーツトレーナーとメディカルトレーナーの資格を取得後、2014年に国家資格の柔道整復師資格を取得。接骨院・整体院での臨床と経営経験から多くのセミナー講師を務め、その参加人数は延べ2,000人以上を数える。その後カイロプラクティックと出会い、日本カイロプラクティックのパイオニアである塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.が主宰である塩川スクールで学ぶ。2025年に卒業し、埼玉県さいたま市大宮区にて細井カイロプラクティックを開業。現在は本物の技術を提供するカイロプラクターとして、臨床で多くの患者様と真摯に向き合い施術を行う傍ら、塩川スクールでインストラクターとして後進の指導を行っている。