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繰り返す動悸と頻脈性の不整脈による日常生活の不安

繰り返す動悸と頻脈性の不整脈による日常生活の不安

心臓への不安が薄れ、落ち着いて日常を過ごせるようになりました!

カテゴリ: 不整脈前田 一真
40代男性
主訴
頻脈性不整脈
来院に至った経緯

20代前半の頃、健康診断で頻脈性の不整脈を指摘されたことをきっかけに、自身の体調について意識するようになった。精密検査を含めて複数の検査を受けてきたが、命に関わるような重大な異常は認められず、「経過観察」として様子を見ながら生活を続けてきた。

不整脈を自覚する場面は仕事中や就寝前など、ふとしたタイミングで胸の違和感や拍動の乱れを感じることがあり、そのたびに「このまま年齢を重ねて大丈夫なのだろうか」という不安が頭をよぎるようになっていた。また、不整脈を指摘されて以降、胃酸が逆流するような感覚や喉元の違和感を覚えることもあり、消化器系の検査も受けてきたが、いずれも大きな問題はないとの説明を受けていた。

仕事は長時間のデスクワークが中心で、日中はパソコン作業が続くことが多い。慢性的な眼精疲労や首・肩のこわばりを感じることは日常的であり、30代に入った頃からは、下を向く姿勢が続いた後に首が動かしにくくなることも増えていた。趣味で畑作業を行う際にも、前屈姿勢が続くと首が固まったように動かなくなることがあり、以前は自分で首を鳴らして対処していたが、不安を感じるようになり控えるようになっていた。

また、昔から身体が硬いと言われることが多く、巻き肩や姿勢の崩れ、足部の偏平足といった身体的な特徴も自覚していた。ランニングを行った際には足首やふくらはぎ周辺に痛みが出ることがあり、中敷きを使用して対応してきたが、身体全体の使い方やバランスに問題があるのではないかと感じる場面もあった。

これまで、鍼治療を時折受けることで身体が楽になる感覚はあったものの、不整脈を含めた体調全体について「なぜこの状態が続いているのか」「根本的に身体はどのような状態なのか」を詳しく説明される機会は少なかった。そんな中、偶然目にした医師のYouTube動画をきっかけに、自律神経や身体の状態を多角的に捉える考え方に触れ、表面的な症状だけでなく、身体全体のバランスを一度しっかり評価してもらいたいと考えるようになった。

不整脈という症状をきっかけに、これまで積み重なってきた姿勢や生活習慣、身体の緊張状態を含めて見直したいという思いが強くなった。自律神経に強そうな治療院を探していたところ、当院のHPにたどり着いた。カイロプラクティックは初めてであったが、レントゲンを撮って根本原因を特定するということに興味を惹かれて当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

初診時の状態では、第一頸椎と左仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左上後腸骨棘上端内縁に強い浮腫が確認され、頸部胸鎖乳突筋と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、椎間板をD1~D6という6段階で評価していく。腰の椎間板の段階は慢性的なD3レベルが確認された。首の椎間板の段階は6段階中4段階の慢性的なD4レベルが確認され、首の前弯カーブ(前カーブ)は消失してストレートネック(を通り越してスワンネックとなっており、椎骨の変性も確認された。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、遠方からの来院であることと、お子さんが受験生で多忙な生活状況を考慮し、無理のない範囲で週1回のケアから開始した。

4週目(4回目のアジャストメント)には、これまで日常的に感じていた動悸や胸の違和感の出方に変化がみられ始めた。仕事中や就寝前に頻繁に意識していた拍動の乱れが、「常に気になる状態ではなくなってきた」との自覚があり、症状が出現するタイミングが以前より限定的になっている様子がみられた。また、首や肩の緊張感もわずかに和らぎ、長時間のデスクワーク後の疲労感が軽減している感覚が得られていた。

11週目(8回目のアジャストメント)には、不整脈の自覚頻度がさらに減少し、「1日の中でほとんど意識せずに過ごせる日が増えてきた」との報告があった。特に就寝前に感じていた動悸が落ち着いてきており、横になった際に胸の拍動が気になって眠れなくなることが少なくなっていた。あわせて、眼精疲労や首の可動域制限についても改善傾向がみられ、首が動かなくなるような強いこわばりは出現していなかった。

17週目(11回目のアジャストメント)には、体調全体の安定感が増してきていることが確認された。不整脈に対する不安感が以前ほど強くならず、動悸を感じたとしても短時間で落ち着くようになっていた。また、胃の違和感や喉元のつかえ感といった消化器系の不快感も出現頻度が低下しており、身体が過剰に緊張状態へ移行しにくくなっている様子がみられた。

26週目(15回目のアジャストメント)には、頻脈性の不整脈による日常生活への影響は大きく軽減していた。仕事中や就寝前に不整脈を強く意識する場面は少なくなり、「以前のように常に心臓のことを気にしなくてもよくなった」という安心感が得られていた。首や肩の過緊張も安定しており、姿勢を意識しやすくなったことで、デスクワーク後の疲労の蓄積も軽減している状態が維持されていた。

現在は、不整脈を含め初診時にみられていた諸症状は日常生活に大きな支障をきたさない状態で安定している。今後も神経機能の安定を維持し、体調の波を抑える目的で、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを継続している。


考察

今回の頻脈性の不整脈は、上部頸椎の神経、特に左側の迷走神経に対する継続的な負荷が関与していたことが主な原因であったと考えられる。

本症例では、心臓そのものに明確な器質的異常は認められておらず、医療機関においても頻脈性の不整脈と指摘されていた。こうした不整脈は、心筋や弁膜の構造異常によるものではなく、自律神経系による心拍調整機能の乱れによって生じるケースが少なくない。その中でも、心拍数の制御に大きく関与する迷走神経の機能低下は、頻脈性不整脈の重要な要因として知られている。

迷走神経は副交感神経の中枢的な役割を担い、心拍数を抑制し、心臓を安静方向へ導く働きを持つ。特に左の迷走神経は、心臓の刺激伝導系に対する影響が強いとされており、この神経の働きが低下すると、交感神経の影響が相対的に強まり、心拍数が過剰に上昇しやすい状態となる。

初診時の評価では、第一頸椎に明らかな可動域制限と浮腫が確認されており、上部頸椎周囲において神経機能へ継続的な負荷が加わっていたことが示唆された。上部頸椎は脳幹と末梢神経をつなぐ重要な部位であり、この領域の機能低下は、自律神経の中枢的な調整機構に影響を及ぼしやすい。特に迷走神経は脳幹から起始するため、上部頸椎の問題がその働きに影響することは臨床的にも多く経験される。

また、本症例では骨盤部にも機能障害が確認されていた。骨盤部は副交感神経機能と深く関与する領域であり、この部位の機能低下は、身体全体を回復・安静方向へ導く神経調整を妨げる要因となる。上部頸椎と骨盤部という、副交感神経機能に関与する二つの要所に同時に問題が存在していたことで、副交感神経の働きが十分に発揮されず、結果として交感神経優位の状態が慢性的に固定化されていたと考えられる。

交感神経が過剰に優位な状態が続くと、心拍数の上昇や拍動の乱れだけでなく、胃酸逆流感や喉元の違和感、筋緊張の亢進、睡眠の質の低下といった症状が連動して現れやすくなる。本症例において、不整脈と同時期に消化器系の違和感や首・肩の緊張がみられていた点は、この自律神経バランスの乱れを反映したものといえる。

アジャストメントにより、上部頸椎および骨盤部にかかっていた神経機能への負荷が段階的に軽減されることで、迷走神経を含む副交感神経が働きやすい環境が整い、過剰に亢進していた交感神経活動が徐々に抑制されていった。その結果として、頻脈性の不整脈の自覚頻度が減少し、日常生活における不安感や身体の緊張も同時に軽減していったものと考えられる。

本症例は、頻脈性不整脈が心臓そのものの問題ではなく、自律神経機能、とりわけ上部頸椎における迷走神経への負荷を背景として出現していたことを示す症例である。神経機能に着目した評価とアプローチにより、局所的な症状にとらわれない全身的な安定が得られた点は、不整脈を含む自律神経症状を理解するうえで重要な示唆を与えるものといえる。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティックにて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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