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目に激痛が走り、光が眩しく痛みを感じる(サイプレジン検査後)

目に激痛が走り、光が眩しく痛みを感じる(サイプレジン検査後)

光が痛いためサングラスを常に着用していたが外せるように

10代男性
主訴
光が痛い、ガスが溜まる、首こり
来院に至った経緯

これまで野球をしており、屋外でもごく普通に運動をできていた。ところが、2024年4月ごろに野球ボールが見えづらくなる感覚があり違和感を覚えた。万が一のことを考えて、眼科に行き視力検査をすると0.3~0.8くらいと診断される。瞳孔がしっかりと働くのか、一応検査しましょうと病院にて言われ、後日サイプレジン検査をおこなう。(サイプレ検査とは、 目のピントを合わせる力がお子様は強いので、普通の検査をしただけでは、正確な度数がわかりにくいため、ピントを合わせる力を弱めて検査することで、隠れた遠視を見つけることができる検査。)翌日、学校に行くと目に激痛が走り、早退し病院に行くとアレルギー性結膜炎と診断される。それを境に、光が異常に眩しくさらには痛みを感じ続けることとなってしまった。それから、3つの眼科、大学病院などたくさんの病院を回るものの原因は不明で、眼球自体には問題がないと言われる。また、ある病院では「視神経に変なスイッチが入ったため治療法がない」と打つ手がない状態となってしまった。家ではカーテンを閉め続け、外ではサングラスをつけ続ける状態で過ごしており、お子様もお母様も生活に支障をきたしている。瞳孔を閉じる薬(ミドリンM)やアレルギーの薬(オロパタジン、フルオトメトロン、アレジオン、ゼペリン、サンビロ)などたくさんのお薬も服用したが変化はない。八方塞がりな状態が続いていたが、家族がカイロプラクティックの記事を読み、神経に対してアプローチをしていることを知る。そこか藁をもすがる思いで当院への来院を決心する。

初診の状態
  • 01

    サングラス、つばの長い帽子を常に着用

  • 02

    右の胸鎖乳突筋の過緊張

  • 03

    お腹にガスが溜まっている

  • 04

    表情が暗い

  • 05

    仙骨にブヨブヨとした浮腫

経過と内容

レントゲンの評価で言えば椎間板は全体的に保たれており、C3がD2~3ということ意外は慢性化は進んでいない。患者様のご希望とレントゲンの評価から週1回のケアで進めていくこととする。

1回目(1週目)のケアの時点では、治療室の電気の明るさは眩しく痛みもある状態。

3回目(3週目)のケアでは、夜道でならばサングラスはなくても歩くことができるようになった。C1のブレイクは大きく変化はないが、胸鎖乳突筋の緊張は少なくなってきている。

5回目(5週目)のケアでは、曇りの日、家の中ではサングラスの使用頻度がかなり減り、これまでお母様から見た様子しか聞くことはできなかったが、初めてお子様とも十分にコミュニケーションをとることができ、「良くなってきている」と口にした。

9回目(9週目)のケアでは、かなり目の感覚が変わってきており、日中に2回程度サングラスを外すようになった。夕方はサングラスなしでも出歩くことができる程度には回復してきており、瞳孔散大状態も軽減してきている。コミュニケーションも十分取れるようになる。
ただ、久しぶりに昼に野球を見に行った次の日に目が疲れた感覚があり、痛みはないが、眩しさが少し強かった。

10回目(12週目)のケアでは、先日の光の疲労は回復しており、光に対して痛みを感じることはなくなった上に、眩しくてつらい感覚もほとんどない。正常な範囲に戻ってきている。対光反射においても正常な範囲にある。サングラスを一気に外すことで再発することに恐怖があるため、まだ外してはいないが、お子様から積極的にはずす姿を見せてくれた

現在もメンテナンスでケアを継続中


考察

今回の患者様においては、自律神経の問題が主な原因であったと考察できます。目の問題であるから、目を直接さわれば良いかと言われるとそうとも限りません。まずは光やピントの調節をする構造についてを知る必要があります。眩しさが過剰になってしまう原因として、今回のケースにおいては顕著なきっかけとしてサイプレジン検査がありました。サイプレジン検査は、副交感神経という神経の働きを低下させることで、瞳孔括約筋(光を取り込みにくくさせる筋肉)をゆるませることによって瞳孔を開いた状態にさせます。またピント調整をする毛様体筋を使いにくくさせます。

時系列を考えると、検査前に野球ボールが見えにくくなっているということがあり、当初からピント調整に必要な毛様体筋の働きが低下していた可能性があります。特に副交感神経が働くと遠くを見ることができるため、この時点で副交感神経に何かしら問題があったことが推察されます。

その上で、サイプレジン検査をおこなったことで、副交感神経が低下し、目にたくさんの問題が発生するという構図が助長されたと言えます。

まとめると副交感神経が働かないため、光の入り方を調節する瞳孔括約筋と、ピントを調節する毛様体筋が機能しなくなってしまったのです。

また副交感神経が使えなくなると、反対に交感神経という神経が過剰な状態が続きます。そうなると大腸の働きは低下してしまうことから、ガスが停滞してしまうということも推察できます。

これらのことを加味し、検査をすると副交感神経のエリアである第一頚椎と仙骨という箇所にサブラクセーション(神経の圧迫)が確認でき、そこに対してアジャストメントを継続しました。それにより、徐々に神経の働きが正常に戻り、瞳孔括約筋の収縮、毛様体筋の弛緩が正常に行われるようになりました。それに伴って、眩しさも軽減し、痛みの感覚も消失していきました。

ピントや光の調節をする目の筋肉は全て自律神経によって働いており、それぞれが複雑に絡み合っています。ただ、それらの作用を理解することで今回のように、全ての問題が解消していくことも事実であります。そのため、目の問題においては全ての目の筋肉の支配神経と作用を把握し、それに準じたアプローチをすることで回復を促すことができるということがわかる非常に良い例でありました。

関野 貴友

執筆者NEOCHI関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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