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病院で改善しなかっためまい

病院で改善しなかっためまい

耳鼻科で眼振も確認されためまい

60代男性
主訴
回転性めまい
来院に至った経緯

日常的にPC作業を行っていて長時間のデスクワークが続くことも多く、運動不足を感じていた。そこで、3か月前に健康維持と運動不足の解消を目的としてヨガを始めた。しかし、初めてのレッスンでポールを使って首を強くほぐすようにしたところ、その日の夜に突然発熱し、グワングワンと回るような激しいめまいに襲われた。めまいの強さにより、立ち上がることもままならず、救急車を呼ぼうとしたものの、当時対応できる医師がいないとのことで、そのまま自宅で耐えるしかなかった。

翌日、めまい専門の病院を受診し、脳や脳神経に問題がないか詳しく検査を行ったが、特に異常は見つからなかった。さらに耳鼻科でも診察を受けたが、耳自体にも大きな異常はなく、耳石の影響によるめまいである可能性が高いと診断された。診断後、医師の指導のもと、エプリー法という耳石を元の位置に戻すための治療を試みたほか、めまいを軽減するための内服薬も服用した。しかし、症状は完全には改善せず、特に寝返りを打った際や体を捻ったときに、強いめまいが再び生じる状態が続いていた。

さらに、患者は以前から肩の痛み(50肩の可能性)や首のこり、眼精疲労にも悩まされていた。PC作業による負担が蓄積しており、特に長時間の作業後には首から肩にかけての重だるさや痛みが強くなっていた。今回のめまいの発症とこれらの症状の関連性も気になり、根本的な改善を求めるようになった。

そのような中、知り合いが「塩川カイロプラクティック」に通院しており、施術によって体調が改善したという話を聞いた。これまで病院での治療を試みても完全に回復しなかったことから、他のアプローチが必要ではないかと考えるようになった。信頼できる施術を受け、めまいの改善とともに肩や首の不調も根本から整えたいという思いから、紹介を受け、当院への来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    右環椎横突起周囲の浮腫

  • 02

    右仙腸関節の可動制限

  • 03

    腰部起立筋の過緊張

経過と内容
初診時の状態では、第一頸椎と右仙腸関節に明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部・下部頚椎と骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。

初期集中期の段階では週3回のケアを提示したが、遠方のため週1回のペースからケアを開始した。

2週目(3回目のアジャストメント)には、治療後、2、3日はフラフラするが、寝返り時のめまいが軽減してきた。睡眠の質もよくなってきた。寝起きに腰痛出るようになった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、めまいは出なくなった。座ると右臀部から右大腿部にしびれと痛みがでてきた。

10週目(9回目のアジャストメント)には、めまいは落ち着いている。右大腿部のしびれと痛みは無く、右臀部に違和感。

15週目(11回目のアジャストメント)には、腰や臀部の違和感も問題なくなった。

現在は症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

初診時には、第一頸椎(C1)と右仙腸関節(SIJ)に明らかな可動域制限がみられ、体表温度検査でも上部・下部頚椎および骨盤部に左右差が確認された。これらの所見から、自律神経のバランスの乱れが疑われた。また、レントゲン評価では腰部の椎間板が6段階中5段階と、かなり慢性的な状態であることが確認され、椎間板に対する負荷が長期にわたって続いていた可能性が高かった。

施術を続ける中で、アジャストメント後の数日間はフラフラする感覚があったものの、寝返り時のめまいは軽減し、睡眠の質が向上した。一方で、寝起き時に腰痛を感じるようになったが、これは骨盤の安定化が進む過程での適応反応と考えられた。

その後、めまいは消失していったが、新たに座位時に右臀部から右大腿部にかけてのしびれと痛みが現れた。この症状は、骨盤のアライメントが整う中で、仙腸関節周囲の筋緊張や神経圧迫の変化によるものである可能性が高い。もともと人間の骨盤には、左右に一つずつ仙腸関節が存在しており、どちらかの動きが悪くなると、反対側が過剰に動くことで補正する仕組みがある。その結果、歩くたびに腰部の椎間板にねじれが生じ、徐々に椎間板の厚みが失われてしまう。この状態が長期間続いたことで、腰部や骨盤部の神経に慢性的な負荷がかかり、今回の症状へとつながったと考えられる。

また、痛みの感覚は「正常→痛み→しびれ→麻痺」という順番で進行し、回復する際はその逆を辿る。「麻痺→しびれ→痛み→正常」の順番で回復していくため、今回のケースでは、しびれが軽減してきた段階で、右脚全体の重だるさや右臀部の強い痛みが発生していた。これは、神経の適応プロセスの一環として起こる現象であり、回復過程が順調であることを示していた。

今回のケースでは、第一頸椎のアジャストメントが平衡感覚を司る第8脳神経に影響を与え、めまいの改善につながったと考えられる。また、骨盤の調整が進むにつれて一時的に右臀部から大腿部の症状が現れたが、これは神経系の適応プロセスの一環と捉えられる。神経系を絞って経過を確認する重要性を実感した症例だった。

金城 寿生

執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

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