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生理不順

生理不順

10代女性
主訴
生理不順、月経前症候群(PMS)、めまい、不眠症、坐骨神経痛、末端冷え性
来院に至った経緯

小学生低学年の頃から体調が悪く、全体朝礼では頻繁にめまいがして保健室に運ばれていた。この頃からハッキリと手足が冷たいと感じており、運動してもお風呂に入っても手足など末端だけがすぐに冷たくなってしまった。

小学校高学年になると生理が始まったが、その頃から生理不順があり、2~3か月に一度しか生理が来なかった。生理が来ても出血量がやたら少なかったり、1日で終わってしまったり、終わったと思ったら数日後に出血したりと生理周期が安定してくるということは一度もなかった。

中学3年生の時に高校受験のストレスで眠れなくなった。布団に入っても3~4時間はゴロゴロして、そのまま朝まで眠れないということもしばしばあった。またこの頃から生理前になると腰痛を感じるようになった。生理の前だけ必ず左お尻の奥に突っ張るような痛みを感じて、父親が通っていた近所の整体院に行くようになった。

高校2年生の頃から、生理前の腰痛が酷くなった。それだけではなく、精神的に情緒不安定になり、イライラしたり、急に不安になったり、悲しくなったり、自分でも感情のコントロールが効かなくなった。あまりに酷いので病院へ行き、生理不順や月経前症候群(PMS)の相談もすると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された。

自分で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の事を調べてみると、男性っぽくなるとか、毛深くなるとか、太りやすくなるとか、自分には月経異常以外はまったく当てはまらないものばかりだなと思った。両親ともに薬は飲まない主義の人で、自分も子供の頃から具合が悪くても薬は飲まないように育てられたので、処方された薬は飲まなかった。

ただ体調は悪くなる一方で、これから大学受験も控えているのにと不安ばかりが募っていった。そんなとき、母親が自律神経に強そうな治療院を探してくれて、場所も家からすぐ近くの通えるところだったこともあり、当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    頸部胸鎖乳突筋の過緊張

  • 02

    左仙骨翼の強い浮腫感

  • 03

    左仙腸関節の可動域制限

経過と内容

腰部と頸部の椎間板にD3→D4レベルに移行している慢性的な段階が確認されたため、週2回のケアを提示したが、学業多忙のため週1回のケアからスタートすることにした。

4週目(4回目のアジャストメント)には、そういえばめまいが出なくなったなと本人もめまいのことは忘れているほどだった。また生理前だけ感じていた坐骨神経痛のような症状はまったく感じなくなった。

6週目(6回目のアジャストメント)には、布団に入ってから3~4時間も眠れなかったものが、1時間くらいで眠れるようになった。また、この段階でケアのペースを2週間に広げることができた。

10週目(8回目のアジャストメント)には、先月来たはずの生理が1か月後に来た。本人も生理が始まってから2か月連続で生理が来たことがなかったため、驚いていた。また、この頃から手足が温かいなと感じるようになり、夜もお風呂上りにすぐに布団に入ればつま先などが冷えなくなった。

24週目(15回目のアジャストメント)には、生理は毎月決まった周期で来るようになった。また生理前に情緒不安定になる感じも明らかに変化したと本人も感じるようになった。睡眠の質もすっかり良くなり、全体的に体調が良いと感じるようになった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の生理不順の原因は、自律神経の乱れから女性ホルモンのバランス異常を起こしていたものと考えられる。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンは、脳と卵巣が神経によって連携されていることで、適切な量が適切なタイミングで分泌される。

検査では骨盤部と上部頸椎に反応が強く確認されたが、骨盤部と上部頸椎はどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があることで、自然と交感神経が過剰に働き自律神経のバランスが乱れたことで、脳と卵巣の連携が上手く機能しなかったのだろう。

それによって生理不順のみならず、月経前症候群(PMS)をも引き起こし、心と体のバランスが保てなかったと考えられる。月経前症候群(PMS)自体が女性ホルモンの変動異常によるものとされているが、人間の精神面にはホルモンバランスが大きく関係している。

不眠症など休まる神経が上手く機能せずに引き起こしていたような症状が出ていたことからも、交感神経が過剰に働いていたと考えられる。子供の頃からあった末端冷え性も交感神経過剰だと考えられる。交感神経の作用として、末梢の血管を閉じる役割がある。その状態が長く続くことで、末梢の血管が閉じっぱなしになった結果、末端冷え性を引き起こしていたのだろう。

人間の平衡感覚を司っているのは耳だが、上部頸椎は耳とは密接な関係がある。子供の頃から頻繁にあっためまいは上部頸椎のサブラクセーション(根本原因)によって、脳と耳を繋ぐ神経機能に異常をきたし平衡感覚にも影響を与えていたのだろう。また自律神経のバランスが乱れたことで、リンパ液が必要以上に分泌されたことにより、平衡感覚に異常をきたしていたとも考えられる。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経や女性ホルモンのバランスが整った結果、生理不順や月経前症候群(PMS)という症状だけではなく、不眠症や末端冷え性など自律神経の症状改善にも繋がったのだろう。どれほど多くに症状が出ていたとしても、問題の原因と特定してアジャストメントによって神経の流れを整え、体の情報を脳へ届けることの重要性が分かる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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