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治らない手首痛と長年の首こり

治らない手首痛と長年の首こり

”手首も肩も全く気にならなくなりました!”

60代男性
主訴
左手首の痛み,首こり
来院に至った経緯

長年、首のコリに悩まされてきた。特にデスクワークが続いた日の夜には、首の付け根、特に頚椎7番周囲に強いだるさを感じることが多く、ひどい時には頭まで重くなってしまう。日常的にパソコン作業が多いため、常に肩や首の緊張が抜けない感覚があり、それが慢性的な疲労感につながっているように思う。

さらに、2か月前に転倒し、手をついた際に左手首を痛めてしまった。その影響で、今でも手をつく動作や手首をひねる動作に違和感や痛みを感じることがある。日常生活には大きな支障はないものの、ふとした動きで痛みが走ることがあり、無意識のうちにかばう動作が増えてしまった。

また、長時間のイベントなどで立ちっぱなしの状態が続くと、背中にだるさが出る。特に背筋を伸ばした状態を維持するのがしんどくなり、次第に姿勢が崩れてしまう。加えて、長時間座った後には、尾てい骨周辺に痛みを感じることがあり、座り姿勢にも不安を抱えている。

睡眠の質もあまり良くない。眠剤を飲むことで何とか眠れてはいるものの、途中でトイレに起きてしまうことが多く、朝スッキリと目覚めることができない。日中も眠気や倦怠感が抜けず、集中力が続かないことに悩んでいる。

さらに、定期的に憩室炎を発症しやすく、下痢気味であることも気になっている。食生活にはある程度気をつけているものの、体調が崩れると腸の調子が悪くなることが多く、根本的な体質の改善が必要なのではないかと感じていた。

こうした身体の不調をなんとかしたいと考え、さまざまな情報を探している中で、カイロプラクティックに興味を持つようになった。整体やマッサージとは違い、身体の根本から調整していくことで、慢性的な症状が改善できるのではないかと思い、来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    左手首は反った状態(背屈)で痛みが出る

  • 02

    左乳様突起周辺のブヨブヨとした浮腫感

  • 03

    左仙腸関節に可動域制限

経過と内容

今回の患者様のレントゲンではL5の椎間板は後方が閉じており、C6,C7の椎間板はにおいても、サブラクセーションが進行していることが確認できる。共にD2~3であることから、週に1〜2回のケアを推奨し、まずは1回からケアを始めることとした。

7週目(4回目のアジャストメント)では、長年抱えていた首肩こりについて、来院時に何も言及することが無くなった。あまり感じなくなったそうであった。手首に関しては、まだ動かすと痛みはあるものの、初診時ほどの負担ではないとのことである。第一頚椎の浮腫感は減少傾向にあり、神経圧迫も落ち着きを見せ始める

15週目(7回目のアジャストメント)では、腰に疲労感があるという言葉のみであった。手首の痛みに関しては一切言及がなく、動かしても全く問題がないそう。左の第一頚椎や左の仙腸関節は、初診時よりも動きも神経圧迫も安定し始めている。

27週目(13回目のアジャストメント)では、最近首肩こりがある程度で、これまでの主訴は回復されてきた。ただ、持病であるS状結腸の憩室炎が再発したとのこと。この回から、アジャストメントを交感神経エリアに移行した。第一頚椎と骨盤のサブラクセーションはクリアになった。

現在は、過去の手首痛や慢性的は首肩こりは大いに改善され、睡眠の質も高まり、それに伴って休息の質も向上したそうである。ただ、現在転職をされ、ホテル業であることから年中忙しくされている。そのため、体の負担も加味し、月に1〜2回のケアは続行している。

 


考察

今回の主訴は、転倒による左手首の痛みでしたが、問診や検査を進めるうちに、単なる局所的な外傷ではなく、身体全体のバランスの乱れが背景にあると考えられました。

患者さんはもともと長年にわたって首のコリに悩まされており、特にデスクワークが続いた夜には頚椎の下の方に重だるさを感じていたとのことで、こうした慢性的な緊張は首から背中にかけての姿勢や神経系のストレスを示唆していました。また、手首の痛みが通常よりも長引いていたことからも、単なるケガとは言い切れない要素があると考えられました。

手や手首を支配する神経は首の下の方(C6〜T1)から出ているため、一般的には首の上の方(C1〜C4)との関係は薄いとされます。しかし今回のケアでは、手首に直接触れず、第一頚椎(C1)と骨盤(S1)に調整を行いました

一見関係なさそうに見えるこれらの部位は、実は神経や姿勢全体に大きな影響を与えており、全身の緊張状態や不調に密接に関わっている可能性がありました。

普通ならば転倒による手首痛であれば、1〜2週間、かかっても1ヶ月程度で治癒してもおかしくないですが、今回のケースではかなり長引いていることが問題であるからです。

特に骨盤は体の土台として重要で、ここが不安定だと背骨全体に負担がかかり、結果的に首の緊張を生み出します。また第一頚椎は、自律神経のバランスを整えるうえでも非常に重要な部位であり、今回の患者さんが訴えていた睡眠の浅さや消化器系の不調など、自律神経に関わる症状への配慮も必要でした。

実際、第一頚椎にアプローチすることで首や肩の緊張が軽減され、その影響で下部頚椎の負担も減り、間接的に手首の神経の働きがスムーズになったと考えられます。

さらに、長時間の座位や立位で尾骨周辺に痛みを感じていたことからも、骨盤のゆがみが長期的に体へ影響を与えていたことがうかがえます。

こうした症状はそれぞれがバラバラに見えても、実は身体全体のつながりの中で説明できるケースが多く、今回のケースでも、局所ではなく全身のバランスに目を向けたアプローチが奏功しました。

このように、症状が現れている場所だけを追うのではなく、全体を見て“指令塔”である第一頚椎と“土台”である骨盤を整えることで、体全体の調和が取れ、結果として手首の痛みも含めた不調が改善されるという、カイロプラクティックの「全体性」に基づいた典型的な症例となりました。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

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