シオカワグループ シオカワグループ

歩くと抜ける感じがする膝痛

歩くと抜ける感じがする膝痛

”妻と一緒に楽しく散歩ができるようになりました”

40代男性
主訴
歩行時の膝の不安定さ、腰痛
来院に至った経緯

バスの運転士として日々長時間運転をしている。仕事内容の特性からか、慢性的に首、肩、腰のこりを感じており、特に同じ姿勢が長く続く運転中は、腰の重だるさが顕著に出るという。

運転は1日におよそ合計9時間近くを座ったままの状態で過ごす日も多い。アクセルやブレーキ操作自体には問題はないが、長時間の運転により全身の筋肉が緊張しやすく、特に台風のような低気圧が近づくと、首のこりが強まり、後頭部の緊張性頭痛を伴うこともあるとのことだった。

また、右肩には四十肩のような症状があり、特に腕を外に開く動き(外転)に制限があり、痛みも出る状態である。普段の仕事や日常動作の中でも、肩をかばいながら動く場面が増えており、体全体に無理な使い方のクセがついているのではないかと感じていたようだ。

一方で、右脇から肋骨に沿って痛みを感じることもあり、これは運転中の姿勢や体幹の使い方に関係している可能性があると本人も考えている。仕事中だけでなく、日常生活でも違和感が出る場面があり、特に右膝にはここ最近(2025年2月頃から)気になる症状が出始めた。

右膝については、歩行中や階段の下りで違和感が出ることがあり、まれに「膝が奥に行くようなカクンとした感覚」が走るという。音が鳴るとともに一瞬の痛みを感じることもあるため、半月板などの損傷を疑い整形外科を受診した。レントゲン検査の結果では、半月板や軟骨に目立った異常や腫れは見つからなかったが、実際に感じている違和感は消えないままである。本人いわく、「反張膝のような感覚だが、見た目はそこまでではない」という。

この膝の症状がきっかけとなり、「このままだと日常生活にも支障が出るのではないか」という不安を感じ始めた。特に奥様と一緒に始めようとしている散歩やジム通いを、思うようにできなくなることへの焦りもあるという。仕事の合間にある事務所での階段昇降にも不安が出てきており、今のうちにしっかりと体を見直して、整えておきたいという思いが強くなったようだ。

今回は、単なる対症療法ではなく、カイロプラクティックによって体の土台から整え、根本的に改善していきたいという意志をもって来院された。再び安心して歩き、運動し、家族と楽しい時間を過ごせるようになることが目標である。

初診の状態
  • 01

    右の膝内側と後面に浮腫が確認できる

  • 02

    左後頭部全体にブヨブヨした浮腫感

  • 03

    右脊柱起立筋の過緊張

  • 04

    右膝を庇うような歩行

経過と内容

腰椎側面像、頚椎側面像において、D2~3の椎間板の慢性具合が確認できるため、サブラクセーションが発生してから、かなりの時間が経過している。そのため、初期集中期として週に1回のケアを推奨し、ケアをスタートする。

2週目(2回目のアジャストメント)では、右の手の小指から腕あたりに、昔感じていたようなしびれを感じたが、すぐに良くなったそうである。膝に関しては、まだ不安定さが残る。浮腫も強い。

3週目(3回目のアジャストメント)では、膝痛は歩いて30分くらいの時と、運転中に痛むような感覚であるとのことであった。骨盤周辺の筋緊張や神経圧迫は現存している。

4週目(4回目のアジャストメント)では、腰や腕の痺れ、膝の痛みなど、全ての症状が取り除かれているとのことであった。左の後頭部の浮腫も小さくなり、右の脊柱起立筋の緊張も減少傾向にある。

9週目(7回目のアジャストメント)では、腰も膝も調子が良い。運転中も腰が気にならなくなったそう。初診時よりも、かなり仙腸関節の動きが改善されている。左後頭部の浮腫も減少傾向にある。

13週目(9回目のアジャストメント)では、基本的に仕事をしても、生活をしても何も問題がない状態。強いてあげるのならば、仕事が忙しくなると、頚椎の7番周囲のこり感が気になるとのこと。左の後頭部の浮腫感が気にならなくなり、神経圧迫も取り除かれていることが確認できているため、C7のリスティングに変更した。

現在は元々感じていた膝の違和感は一切なくなり、奥様と楽しくウォーキングをされている。頸部は運転が忙しいと、どうしても首が凝るとのことでメンテナンスで3週に1回程度の頻度でケアを続行している。


考察

バスの運転士という仕事は、長時間座ったまま、緊張感を持って運転し続ける毎日です。今回のケースでは、そんな生活を何年も続ける中で、体に慢性的なこわばりやゆがみが生まれていました。特に、右肩の動かしにくさや右わきの痛みといった症状があり、それが体のバランスや動き方に影響していたと考えられます。

主な悩みは、右ひざの「カクン」とするような不安定さ。病院で検査を受けても、レントゲンやMRIには異常が見つかりませんでした。でも、実際には、ふとした瞬間にひざが抜けるような違和感や、一瞬ピリッとする痛みがあり、不安が常に付きまとっていたのです。

カイロプラクティックでは、体の土台である「骨盤」の動きや神経の流れに注目します。今回も、右の骨盤や左後頭部(後頭骨)にアプローチすることで、全身のバランスを整えていきました。とくに骨盤の動きが悪いと、歩くときや階段の上り下りなどで、ひざに余計な負担がかかってしまいます。ケアを重ねることでその負担が減り、ひざの不安定さも改善されていきました。

また、左後頭部に対するケアを行ったことで、自律神経の中でも「リラックスモード」をつかさどる副交感神経が働きやすくなり、全身の緊張がゆるんでいきました。そのおかげで、以前あった右手小指のしびれも自然に落ち着き、ひざまわりの血流や神経の働きもスムーズになったと考えられます。

初回の頃に目立っていた足のむくみや筋肉のこわばりも、回を重ねるごとに落ち着き、姿勢や体幹の安定性もアップ。歩くときや運転中の体への負担が少なくなり、以前よりも動きやすくなっていきました。

そして今では、以前感じていたひざの不安や痛みもなくなり、仕事中も安心して過ごせるようになったとのこと。なにより、奥様と一緒にウォーキングを楽しめるまでに回復されたことが、私たちにとっても何より嬉しい報告です。

これは、ただ「痛みを取る」だけではなく、「安心して動ける身体」を取り戻すプロセス。カイロプラクティックケアがその一歩一歩を支えることができた、素晴らしいケースでした。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

pagetop