シオカワグループ シオカワグループ

整体やトレーニングを試したが改善しなかった頸椎ヘルニア

整体やトレーニングを試したが改善しなかった頸椎ヘルニア

枕も変えたが改善しなかった。

40代男性
主訴
頸の痛み、
来院に至った経緯

4年前より頚部の痛みを自覚するようになり、日常生活や業務に支障をきたすことがあった。初めのうちは軽度であったが、次第に症状が持続するようになり、痛みの程度も増してきたため、ペインクリニックを受診した。そこで痛み止めの注射薬による治療を受け、一時的に症状は軽減したものの、根本的な改善には至らなかった。

その後も痛みが断続的に続き右腕に痛みが出ることもあり、1年前に整体や運動療法を試みることとした。整体では首や肩周囲の筋肉の調整を受け、運動においてはストレッチや軽い筋力トレーニングをした。これにより一定の改善が見られたものの、完全に痛みが消失するには至らなかった。

さらに、2カ月前からは枕を新しくしたら、以前は困難であった仰向けでの就寝が可能となった。これにより睡眠の質が向上し、日中の倦怠感も軽減した。しかしながら、依然として首の違和感や痛みが完全には消失せず、根本的な治療の必要性を感じたため、インターネットで当院を知り来院に至った。

初診の状態
  • 01

    下部頸椎周囲に浮腫

  • 02

    左後頭下の過緊張

  • 03

    仙骨周囲のスポンジ状の浮腫

経過と内容

レントゲン評価では、頸部の椎間板の段階は慢性的なD3/4レベルで椎骨の変性が確認された。初期集中期の段階は仕事の関係で週1回のケアから開始した。

4週目(5回目のアジャストメント)には、日常生活での首の痛みは軽減してきた。伸展しても痛みないが、詰まり感は残存している。左仙腸関節も可動してきて、浮腫も仙骨中心に変化してきた。下肢長差もなくなった。本日よりS2に移行した。

9週目(8回目のアジャストメント)には、二日前に寝違えたが今日は問題ないとのこと。伸展時の詰まり感も気にならない。水泳を開始して腰が重い感覚があるとのこと。可動時時痛などないが、両腰部起立筋の過緊張と仙骨全体に浮腫が見られた。1週間後に経過を確認することとした。

14週目(11回目のアジャストメント)には、下部頸椎部の浮腫も軽減してきて首の違和感もないと。腰も水泳後でも問題なく、むしろ動きやすいとのこと。

27週目(15回目のアジャストメント)には、1か月の間隔を空けても問題なしと。身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを希望のため、月1回nで通われている。


考察
今回の頚椎ヘルニアによる首の痛みは、下部頸椎の神経への負担が原因であったと考えられる。

人間の痛みの感覚は「正常→痛み→痺れ→麻痺」の順番で進行していくが、回復過程では「麻痺→痺れ→痛み→正常」の順番で回復していく。

頚部はレントゲン評価でも6段階中、D3~4レベルと慢性的であり、4年前の経過から推測すると回復過程の「痛み」から回復が正常に行われていないことが考えられた。脊柱周りの筋肉は姿勢維持筋が多く、首肩の筋肉をガチガチに固めて頭部の重さを支えようとした結果の首の張りや違和感、肩こりに繋がったと考えられる。

頸の張りや肩こりは自律神経のバランスを乱し、交感神経が過剰に働くことで体全体が過緊張を起こして発症するケースもある。そのような場合であれば、副交感神経支配の部位に絞ってアプローチを行う必要がある。今回は、自律神経の問題ではなく、頚部のみならず体の土台である骨盤部の乱れなど筋骨格系の乱れが原因であったと考えられる。

骨盤部の乱れは、頸ほど慢性的ではないが人間には必ず補正作用があり、土台である骨盤に傾きや動きに左右差があると脊柱に影響を与える。今回腰痛は訴えていないが、仙腸関節の可動性が確認され調整後は首の過緊張も軽減していた。骨盤部の補正による下部頸椎への負担を脊柱全体としてアジャストメントしたことにより軽減され、スムーズな回復に繋がったと考える。

あらためて神経の流れを整えて体の情報を脳へ届けてあげること・患部だけではなく脊柱全体として診ることが大切なことを再確認できた症例だった。

金城 寿生

執筆者塩川カイロプラクティック治療室金城 寿生

1989年、沖縄県生まれ。柔道整復師の免許取得後に上京。接骨院やクリニック勤務を経験。2022年東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック(旧豪州ロイヤルメルボルン工科大学 日本校)卒業。塩川スクールにてGonstead seminar修了。研修を経て塩川カイロプラクティック治療室に入社。勤務しながら、インストラクターとしてカイロプラクター育成に携わっている。

pagetop