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手術をしても良くならなかった椎間板ヘルニア

手術をしても良くならなかった椎間板ヘルニア

50代男性
主訴
来院に至った経緯

会社を経営されており、全国を飛び回る出張や会食が立て込み多忙な日々を過ごされていた。 責任ある立場で活躍しながらも、10年ほど前から首や肩の張り、特に左肩の痛みや左腕から親指の痺れが気になっていた。最初は「仕事の疲れだろう」と深く考えずに過ごしていたが、数年経つうちに症状が改善せず、どんどん悪くなっていることに違和感を覚えていた。

その影響は徐々に仕事にも現れ、会議や長時間のデスクワークが苦痛になり、集中力が続かなくなることもしばしばあった。大好きだった趣味のゴルフも控えるようになり、休日は疲れを癒すためにただ休むだけの生活が続くようになった。

5年前には、腰に痛みが出始めた。足の痺れも感じるようになり、たまらず病院へ行ったところ腰椎椎間板ヘルニアと診断された。その後は様々な治療院へ出向いたが一向に改善せず、医師の勧めでついに手術を決断した。

手術を受けチタン金属を腰に入れ固定したが、期待していたほどの改善は見られなかった。痛みこそ一時的には和らいだもの、腰の違和感は常に感じている状況だった。

特にここ1年は症状がさらに悪し、仕事中だけでなく日常生活にも耐えられなくなった。 腰の痛みが強く下を向く動作さえ億劫になり、趣味のゴルフももちろんできず、気づけば常に痛みや痺れが頭に浮かんでいた。 「このままでは仕事はおろか、普通の生活さえ続けられなくなるのではないか」という不安が募っていきました。

こんなとき、たまたま当院へ通っている知り合いから「一度カイロプラクティックを試してみたら?」と勧められた。

カイロプラクティックを知らなかったが、ホームページを見てみると希望が湧いた。ここならよくなるかもしれないと思い、希望を持って来院された。

初診の状態
  • 01

    左仙腸関節に大きめの浮腫と過緊張

  • 02

    中部胸椎のくぼんだ浮腫

  • 03

    下部頸椎に過緊張とぶよぶよした浮腫

経過と内容

レントゲン評価では椎間板のレベルがD56だったりとかなり慢性度合いが進んでいたことに加え、症状が強く日常生活にも支障が出ているレベルだったため、週に最低1回のペースでのケアを提案したが、仕事の関係上早くても2週間に1回、基本は月に1回程度しか来れないとのことで出来る限りの頻度でのケアを進めていくことにした。

3回目の来院時には腕の痺れが驚くほど少なくなった。肩甲骨周りの痛みは残っているものの、仕事は出来るまでに回復。坐骨神経痛と足のしびれは残っており、引き続き日常生活には支障が出ている。

10回目の来院時には腰の痛みや足の痺れはほとんどなくなった。日常生活も普通に送れるようになり、仕事で出張が続いても大丈夫になった。仙腸関節の動きや下部頸椎の浮腫も経過良好で、身体の調子が良くゴルフも再会したとのこと。

15回目のアジャストメント時には身体の不調は仕事が忙しい時の肩こりが時々気になる程度まで改善した。全体的に浮腫や可動性も気になる箇所はなく、安定している。日常生活も全く不自由なく生活が送れているとのこと。

状態はだいぶ良くなったが、f最高のパフォーマンスを発揮できる状態を維持するため現在は2~3週に1回のペースでケアを続けている。

 


考察

今回の症例は、腰椎、骨盤部にボルトを埋め込んでおり仙骨や下部腰椎がさわれないケースだった。腰椎4番〜仙骨が固定されているため、まずは土台である骨盤部(仙腸関節)を疑いながら問診・検査を進めたところ、左仙腸関節にサブラクセーション(根本原因である神経の伝達異常)を確認することができた。

このようにアジャストメント箇所が制限されている場合はまずできることから考えていく。手術部位は固定されていて動かない場合、その周りのセグメントはその分の動きを代償するため過剰な動きになることで負担がかかっているケースが多い。

今回は腰椎4番〜仙骨のボルト固定だったが、その際は仙腸関節のアジャストメントは行えることに加え、検査でもはっきりとしたサブラクセーションが仙腸関節に確認できたため、仙腸関節に絞ってアプローチを行った。

仙腸関節のサブラクセーションが取り除かれたことで、脳が身体の状態を正しく認識することができるようになり、坐骨神経痛や足の痺れの改善に至ったと考えられる。

また、肩こりや腕の痺れに関しては頸椎は全体的に変形を伴っており、頸椎5番の椎間板の慢性度合いがD5(10年〜15年の負担がかかっていると推測できる)とかなり慢性的だった。

椎間板が慢性的な場合、その椎骨自体のサブラクセーションの場合ももちろんあるが、多くは下位セグメントの補正により過剰な動きになってしまったことで負担がかかってしまっているケースも多い。

今回は頸椎5番の椎間板レベルがD5と慢性的だったが、C5の動きは過剰で、胸椎1番にサブラクセーションが確認できた。胸椎1番のアジャストメントを続けていく中で、徐々に動きが出始めたことにより頸椎5番エリアの動きにも良い影響が出始めたことも痺れの改善に関係していると考えられる。

今回の症例では、どんな状況でもできることを探し、サブラクセーションを特定して取り除くことの重要性を改めて感じることができた。

 

高島 克哉

執筆者塩川カイロプラクティック治療室高島 克哉

神奈川県川崎市出身。横浜市の整体院に勤務後、世田谷区で開業。自分の治療法に確信が持てず、様々な治療法を模索し多くの講習会に参加。そんな中、偶然塩川雅士D.Cの記事を読んだことをきっかけにカイロプラクティックの持つ無限の可能性に衝撃と感動を覚える。その後塩川カイロプラクティックスクールに参加し、研修を経て正式に入社。現在は治療にあたりながら塩川スクールのインストラクターを担当する。

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