シオカワグループ シオカワグループ

慢性的な首肩こりからくる頭痛

慢性的な首肩こりからくる頭痛

“頭痛は気にならず仕事ができました!”

カテゴリ: 頭痛関野 貴友
40代男性
主訴
寝起きの頭痛
来院に至った経緯

色々な頭痛の対策をしても、全く改善しない。

そんな不安を感じるようになったのは、ここ数年のことだった。デスクワーク中心の仕事を続けるうちに、首から肩、腰にかけての痛みが慢性化していった。特に肩はガチガチに固まり、手から腕にかけてのこわばりも強く感じるようになっていた。

巻き肩も関係してるのかもしれないと思いながらも、日々の忙しさに追われ、ついケアを後回しにしていた。仕事は在宅ワークがメインで、朝から晩までパソコンに向かう日も珍しくない。ひどいときは朝8時から夜10時まで座りっぱなし。時折、大阪への出張が入り、ついこの間まではアメリカへも行っていた。出張が続くと、一気に疲れが押し寄せてくる。

そんな生活の中で、一番つらかったのは頭痛だった。前頭部から側頭部にかけてズキズキと痛みが走る。特に低気圧の影響を受けやすく、雨が降る前日は最悪。さらに、首を押すと、そのまま頭痛の部位に響くことがあった。日中は仕事に集中していても、夜になると痛みが増してくる。

ただの疲れなのか、それとも何か他に原因があるのか……?

気になってマッサージにも通った。施術を受けた直後は少し楽になるものの、すぐに元通り。仕事が忙しくなるたびに症状が悪化し、これはもう治らないものなのかもしれないと諦めかけていた。

そんなとき、知人の紹介でカイロプラクティックの話を聞いた。姿勢や体のバランスが整うことで、肩こりや頭痛が楽になるケースも多いという。マッサージで改善しなかった痛みが、もしかしたら変わるかもしれない。

今のまま放っておいたら、もっと悪化するかもしれない。

そう思い、半信半疑ながらも来院を決意した。

初診の状態
  • 01

    左の脊柱起立筋の過緊張

  • 02

    左後頭部の大きなスポンジ状の浮腫感

  • 03

    下部頚椎周囲に体毛が多い

経過と内容

今回の患者様は頸部、腰部どちらもD3~4と慢性化が進んでおり、初期集中期として週に2回のペースを提案するも仕事の都合で折り合いがつくのが週に1回までとのことであったため、まずは週に1回でケアを開始した。

2週目(2回目のアジャストメント)では、前回終わったのケア後に後頭部痛が出た。その後はかなり調子が良く、頭痛が出にくくなった印象があるそう。左後頭部の浮腫感はまだ強く残っている。

4週目(4回目のアジャストメント)では、頭痛が発生する時間がはっきりしてきて夕方もあるが朝方も気になることが出てきた様子。頭痛の程度は落ち着いてきている。腰の調子がいい気がするとのこと。後頭骨の関節の可動域が以前より改善されてきている。

7週目(7回目のアジャストメント)では、頭痛はかなり楽になってきたとのこと。ただ頭痛が気になる時間帯が朝が一番目立つようになってきたとのことであった。またこれまでデスクワークがほとんどであった環境から、倉庫整理など肉体労働が増えてきたからか、体の様子が以前とは違い、腰椎5番や頚椎7番の神経圧迫や浮腫、可動域制限が目立つようになった。

8週目(8回目のアジャストメント)では、アジャストメントの場所を交感神経のエリアに絞ってL5とC7に変更する。頭痛の位置は、後頭部から側頭部に変化した感覚があるそう。

13週目(12回目のアジャストメント)では、頭痛はほとんど見られなくなってデスクワークがあまりにも続いた時に出てくるが、次の日まで持ち越すことはないとのことであった。腰椎5番の浮腫はかなり小さくなっており、下部頚椎の動きも以前より申し分なく動きが出て神経圧迫も落ち着きを見せている

現在も2週〜3週に1回のペースでケアを継続しており、仕事の忙しさが尋常ではないため、仕事の仕方を見直すことを検討しているようだった。


考察

今回の症例では、初めて来院された時、患者さまは前頭部から側頭部にかけての頭痛を訴えていました。頭痛は低気圧の影響を受けやすく、首を押すと頭痛の場所に響くこともありました。また、仕事が忙しくなると夜に頭痛が強くなることもあれば、朝に特につらいと感じることもありました。

初診時の頭痛は、長時間のパソコン作業や精神的なストレス、目の疲れが重なり、交感神経が過剰に働いている状態だと考えられました。交感神経が活発になると血管が収縮し、筋肉が緊張することで、脳への血流や酸素の供給が減少し、頭の締め付けやこめかみの痛み、後頭部から前頭部にかけての頭痛が起こります。

しかし、初診時の頭痛の症状はさまざまな特徴が混在しており複雑でしたので、まずは身体の基盤である骨盤と、副交感神経を司る後頭骨の調整に重点を置きました。副交感神経は休息や回復を促す神経であり、この部分を整えることで、過剰な交感神経の働きを抑える狙いがありました。初めのケアは1回目から7回目まで、副交感神経に関係する部位へのアプローチが中心でした。

ケアが進むにつれて、日中の頭痛は少しずつ和らいだのですが、今度は朝起きた時や長時間寝た後に頭痛が強くなる症状が目立ってきました。この朝の頭痛は副交感神経が優位になる時間帯に起きやすく、代謝の低下や体内の老廃物のたまりと関係することが多いです。特に睡眠中の体の浄化機能がうまく働かず、朝に頭痛としてあらわれたのです。

この朝の頭痛は交感神経に関係する問題が隠れている可能性があり、交感神経に関連する脊椎の調整が必要と判断しました。そこで8回目以降は、交感神経の影響が強いとされる頚椎や腰椎の調整に切り替えました。とくに、慢性的なストレスや疲労、排毒機能や体全体の代謝と関わりの深い首の骨周辺には、カイロプラクティックケアが効果を発揮しました。

また、気圧の変化による頭痛にも注意を払いました。低気圧が近づくと副交感神経が過剰に働き、血管が広がって血流が停滞しやすくなるため、痛みが強くなる場合があります。こうした副交感神経の過敏な反応も、交感神経の調整を行うことでバランスを取り戻していったのではないかと考えられます。

現在では、頭痛の回数は大幅に減り、痛みがあっても休めば自然におさまる程度にまで改善しています。これは自律神経のバランスが整い、身体がストレスや環境の変化に適切に対応できる状態へと回復しつつあることを示しています。

本症例は、初期の段階で日中から夕方にかけての交感神経過剰による頭痛を見極めつつも、まずは副交感神経の領域で身体の基盤を整えた点が重要でした。その後、朝方の頭痛という新たな症状に合わせて、交感神経の問題に焦点を移しケアを進めたことで、段階的に自律神経の調和を図る計画が効果を発揮した良い例だと考えられます。

関野 貴友

執筆者塩川カイロプラクティック治療室関野 貴友

1999年、大阪府生まれ。19才より東海大学トレーナー専攻及び東京衛生専門学校のダブルスクールを行い、共に優等で卒業。鍼灸あん摩マッサージ指圧師を取得。のちに睡眠専門治療室NEOCHIを開業。2023年よりシオカワスクールのインストラクターを務め後進の育成にも力を入れている。

pagetop