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座骨神経痛

座骨神経痛

マッサージや電気治療などで改善しない痛み

60代女性
主訴
座骨神経痛
来院に至った経緯

10年前に自宅の階段の、下から2~3段目から転倒し、左側の腰や臀部を打ち付けたことがある。それだけでなく、6年前にも同じ場所でまた2~3段目から転倒し、同じ場所を打ち付けた。痛みは当時1週間ほどで良くなったが、ここ1カ月ほど最近になって痛めた場所と同じ部位に痛みがあり、坐骨神経痛のような症状が出るようになった。特に歩いているときに痛みがあり、足をつくと左側のお尻から足先までズキズキした痛みが走るようになった。

痛みのせいもあってか、寝つきが悪く、体を休めることが出来ない。家の中で家事をするのも苦痛であり、食事の用意や洗濯物を取り込んだり、干したりするのも一苦労である。畑を持っていて、普段も耕したりすることは無いが、収穫の際に手伝えず困ってしまう。

また、1カ月ほど前の同時期に左肩が急に痛み出した。痛みの感じ方としてはズキズキした感じで、肩の外側から上腕にかけて認められた。ひどいと肩が抜けてしまうような感じがあり、夜中に痛みを感じていた。

1カ月ほど他の接骨院で治療をしていたが、中々改善されず、焦ってしまう。また、他のカイロプラクティック院でも施術を受けていたが改善しないため、当院に通院中の近所の方の紹介で、来院の運びとなった。

初診の状態
  • 01

    腰部脊柱起立筋・臀筋の過緊張

  • 02

    右仙腸関節の可動域制限

  • 03

    頚部~背部にかけての過緊張

経過と内容

問診や検査の結果、交感神経の過剰な反応が見られたため、副交感神経に絞ったケアから始める事にした。通常、症状や身体所見でペースを決めるのではないが、レントゲン画像がなかったが、本人と相談の上、まずは週2回からの施術から行うことを提案した。

1週目(2回目のアジャストメント)には、症状がかなり改善し、今度は右側に痛みが移動した。また左肩の症状も夜間の疼痛が軽減された。このころからよく眠れるようになってきたという。

4週目(5回目のアジャストメント)には、坐骨神経痛の痛みが半分以上改善され、体を動かしやすくなっている。身体が良くなり気分的にも楽になった。自分でも筋トレやストレッチの意欲がわいてきている。

6週目(7回目のアジャストメント)には、痛みがほとんどなく、食事の用意や洗濯などの家事も良く出来ているとのこと。再発しては困るため畑の収穫はお休みしているが、そろそろ始めたいと、自信がついた。

現在は家事や畑をしつつ、今年の初めに生まれた孫の面倒に忙しい日々である。1カ月に1回メンテナンスに通院しており、その経験から他の患者様もご紹介いただいている。


考察

今回の坐骨神経痛の原因は、自律神経のバランスが乱れたことが最大の原因であったと考えられる。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、検査では副交感神経支配であるC5と骨盤部の反応が強く見られた。

副交感神経サブラクセーションの特徴として、鋭い痛み(Sharp Pain)、早い痛み(Quick Pain)、痙攣性まひ(Spastic Paralysis)、筋硬直、両側の症状、臓器や腺の機能亢進などが挙げられる。鋭い早い痛みとは、針で刺されたような痛みや電気が走るような痛みを伴う特徴であり、今回の坐骨神経痛も「ズキズキとした痛み」が特徴的である。

寝つきが悪い(不眠症)といった症状は交感神経が過剰な状態である。副交感神経の活動が抑制されると、交感神経が過剰に働く。寝つきが悪いという症状も交感神経が過剰に働くことにより、体が興奮状態になることで、自律神経が乱れることにより発生する。交感神経と副交感神経が切り替わることができず、交感神経が過剰に働いている状態で体が興奮状態にあり、寝つきが悪くなったものと考えられる。

副交感神経サブラクセーションのアジャストメントにより、交感神経の働きが落ち着いた結果、それらの症状が急速に落ち着いたものと考えられる。

副訴である左肩の症状であるが、可動域としてはそこまで制限がなく、運動時痛もあまり認められなかった。これは頸部のサブラクセーションが左肩を走行する神経に影響を与えていたことが考えられる。

今回は早期の段階で回復がなされたが、これは自律神経系を見極め、システムに則り調整したことが要と考えられる。筋骨格系であっても、可能な限り自律神経を考慮して対応することで、患者様の自然治癒力が十分に働いたと考えられる症例である。

岡芹 侑哉

執筆者OKA接骨院・鍼灸院・整体院岡芹 侑哉

1993年、埼玉県出身。柔道整復師・鍼灸師の免許取得。接骨院・鍼灸院・整形外科の研修後、接骨院を開業。塩川スクールにてトムソン教室、クレニオセラピー、上部頸椎ボディドロップターグルリコイル、Gonstead seminar修了。現在、塩川スクールの検査のインストラクターとしてカイロプラクターの育成に携わる。

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