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歩行やイスの立ち座りができないほどの鼠径部痛

歩行やイスの立ち座りができないほどの鼠径部痛

子供の頃からの問題も、大人になってからの問題も、すべて解消された!

 

40代女性
主訴
便秘、末端冷え性、めまい(メニエール病)、難聴・耳鳴り、更年期障害、左足の付け根が痛い(左鼠径部痛)、腰痛
来院に至った経緯

子供の頃から便秘があり、小学生から中学生にかけては1週間に一度出れば良い方だった。大人になってから漢方を飲むようになり、少しはマシになったが、それでも3~4日に一度出れば良い方だった。また、幼少期から冷え性がありいつも手足が冷たいなと感じていた。

2年くらい前にめまいが止まらなくなり、左耳が聞こえづらくキーンという耳鳴りがして、吐き気もあった。病院ではメニエール病と診断されて、めまい止めの薬を処方された。薬を飲んで、吐き気を伴うようなめまいは割と早く解消された。

吐き気を伴うめまいが出なくなったので、薬を服用し続けるのは嫌だったので、薬はすぐに飲むのをやめた。薬をやめると、疲れてくると軽いめまいがして、左耳が詰まるような感覚になり耳鳴りもすることがあった。

1年くらい前から更年期障害なのかなと思うような症状が出るようになった。子供に怒りっぽくなったり、睡眠の質が悪いのか夜中に何度も起きたり、顔のほてりを感じていた。もしかしてめまいは更年期障害が原因だったのかもと、逆に納得してしまった。

2か月前、歩いていると左脚の付け根に違和感を覚えた。左脚の付け根の違和感は、次第に左鼠径部辺りのハッキリとした痛みに変わった。鼠径部の痛みはどんどん酷くなり、イスに立ち座りの動作をするだけでも痛みを感じるようになった。この頃から腰痛も感じるようになり、更年期障害と思われる症状もあって、これが年を取るということかと思った。

左鼠径部の痛みは我慢できなかったので、ママ友とランチをしているときに、それとなく相談してみると「ここの先生凄いから行ってごらん!」と強く勧められて、紹介という形で当院に来院された。

初診の状態
  • 01

    第一頸椎左横突起にスポンジ状の浮腫

  • 02

    頸部胸鎖乳突筋(特に左)の過緊張

  • 03

    左仙骨翼にスポンジ状の浮腫

経過と内容

初診時の状態では、左の仙腸関節には明らかな可動域制限があった。体表温度検査では、上部頸椎と頸椎5番、骨盤部に明らかに左右の温度の誤差が確認された。また第一頸椎左横突起と左仙骨翼に強い浮腫が確認され、頚部胸鎖乳突筋(特に左側)と腰部起立筋は過緊張の状態であった。

レントゲン評価では、腰の椎間板の段階は慢性的なD4レベルで重度の骨盤の傾きが確認された。首の椎間板は慢性的なD3→D4レベルに移行する段階が確認された。

初期集中期の段階では週2回のケアを提示したが、仕事の関係で週1回のケアから開始した。

1週目(1回目のアジャストメント)には、左仙骨翼のアジャストメントを一度やって立ち上がるときには左鼠径部の痛みがなくなっていた。また、2回目のアジャスト後には腰痛も感じなくなっていた。

10週目(9回目のアジャストメント)には、めまい、難聴、耳鳴りは、そういえば最近出てないと本人も忘れているほどだった。この頃には、便秘も1~2日に一度は出るようになっていた。

19週目(15回目のアジャストメント)には、幼少期からあった便秘は解消されて、安定して毎日最低でも一度は便が出るようになった。また手足の冷えもかなり解消されて、本人もあまり手足の冷たさを感じなくなっていた。

22週目(19回目のアジャストメント)には、更年期障害と思われた顔のほてりや不眠の問題はほとんど感じなくなった。また、しっかりと眠れるようになった影響か以前ほどイライラしなくなった。

現在は、ほとんどの症状が落ち着いたが、身体のメンテナンスとして定期的なカイロプラクティックケアを続けている。


考察

今回の症例では、幼少期から続く便秘や末端冷え性、めまい、難聴、耳鳴り、更年期障害、鼠径部痛や腰痛と多岐にわたったものだった。

大人の場合の便秘は、自律神経の乱れ、胆汁やすい液の生成不足、女性ホルモンのバランスなどさまざまなものが考えられるが、幼少期から続く便秘は仙骨部が原因である場合が多くみられる。

末端冷え性は、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰になっているときに多くみられる。交感神経の作用として末梢の血管を閉じる役割があるが、その状態が長期間続くことで末梢の血管が閉じたままとなり、血流異常が起こっていたと考えられる。

検査では上部頸椎と骨盤部(特に仙骨部)に強い反応が認められたが、これらはどちらも副交感神経支配の部位となる。副交感神経にサブラクセーション(根本原因)があったことで、交感神経が過剰に働き、自律神経のバランスを乱していたと考えられる。

めまい、難聴、耳鳴りも出ていたが、上部頸椎は耳と密接な関係がある。メニエール病と診断されていたが、メニエール病で内耳のリンパ液が異常に増え、内リンパ水腫と呼ばれる状態になることで現れる症状となる。

リンパ液の増減をコントロールしているのが自律神経となるため、自律神経の乱れによってメニエール病のようなめまいを引き起こしていたと考えられる。また、難聴、耳鳴りは脳が聞こえなくなった音を拾おうと、聴覚の感度を上げたことで起こってしまう。

たとえるならラジオのボリュームを上げすぎたときに、音にノイズが混ざってしまうような状態と似ている。メニエール病によって誘発された聞き取りづらさがきっかけとなり、脳が過敏になったことで耳鳴りを引き起こしていたと考えられる。

更年期障害の最も考えられる原因は、脳と卵巣をつなぐ神経の流れが乱れていることである。更年期といわれる年代になると、閉経に向けて女性ホルモンは徐々に減少してくる。エストロゲンは40%、プロゲステロンに関しては0%となる。

このとき、脳と卵巣をつなぐ神経機能が正しく機能していれば、脳は卵巣の役目が終えたことを知ることができる。しかし、神経を介したやり取りが上手く機能していないと、脳は女性ホルモンが分泌されていないと思い「女性ホルモンを分泌しなさい」という指令を送る。

しかし、役目を終えた卵巣は脳からの指令に応えることができない。すると脳はなぜ指令に従わないのかと混乱し、過剰な指令を送り続ける。この指令の伝達がどこを通ってくるのかというと交感神経となる。

脳の過剰な命令が、交感神経を過剰に刺激することで、自律神経のバランスを乱してしまう。これが結果として、顔のほてりやのぼせ、イライラ、不安など、いわゆる更年期障害の原因になってしまうと考えられる。

左鼠径部の痛みや腰痛は骨盤部の乱れから腰部の神経に過度な負担が掛かっていたと考えられる。特に鼠径部の痛みに関しては、骨盤の内転変位や仙骨部の軸転変位でよくみられるケースである。

アジャストメントによりサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、自律神経のバランスが整った結果、さまざまな症状の改善に繋がったと考えられる。あらためて根本原因を特定して神経の流れを整えて、体の情報を脳へ届けることの重要性が確認できる症例である。

前田 一真

執筆者前田カイロプラクティック藤沢院前田 一真

1982年、神奈川県生まれ。シオカワスクール在学中から塩川カイロプラクティック治療室にて内弟子として学ぶ。塩川満章D.C.と塩川雅士D.C.に師事し、副院長まで務める。2023年に前田カイロプラクティック藤沢院を開院。一人でも多くの人にカイロプラクティックの持つ無限の価値を知っていただくため、カイロプラクターとして尽力している。またシオカワスクールでは現役講師を務めており、後任の育成にも力を入れている。

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