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常に覚醒状態。辛さを感じない身体の危険信号

常に覚醒状態。辛さを感じない身体の危険信号

30代男性
主訴
常に覚醒状態
来院に至った経緯

仕事としてデスクワークが多い職場環境に従事しているにもかかわらず、肩こりやめまい、頭痛といった一般的な不調の自覚症状は全く感じていなかった。
しかし、身体の柔軟性や可動域の制限については以前から気になっており、全体的に硬さを感じていた。
身体の動き方の左右差、前屈や後屈などの動作時にも動きの制限を感じることがあり、日常生活において身体のバランスの乱れを気にしていた。

また、仕事の忙しさから毎日の平均睡眠時間は4時間程度と短くなってしまうにも関わらず、実際には常に覚醒状態にあるため、睡眠不足による日中の倦怠感や集中力の低下といった不調は自覚していなかった。
しかし、年齢を重ねるにつれて、これまで感じなかった身体の不調や将来的な健康への不安を抱くようになっていた。

30歳の節目に受けた健康診断では、【高血圧】(上137/下75〜80)と【不整脈】を指摘された。
これまで特に自覚症状がなかったため、突然の指摘に驚きと戸惑いを感じた。
高血圧や不整脈については、親族でも症状が出ている人が多いため遺伝的な要因も関与していると考えられるが、将来にわたり薬に依存する生活には抵抗があった。
薬で症状を抑える対症療法ではなく、根本的に体質を改善し、薬に頼らずに健康を維持できる身体づくりを目指したいという強い思いが芽生えた。

さらに、19歳の頃に経験した交通事故も体調への影響を懸念する要因の一つであった。時速160キロで車が横転する交通事故に巻き込まれ、全身打撲と右首に1ヶ月間の痺れ(ビリビリ感)を経験した。
その後は特に大きな自覚症状もなく過ごしてきたが、当時は首の固定のためにコルセットを装着し、一定期間動きを制限されていた。
この事故の影響が、現在の身体の硬さや可動域制限、姿勢のバランスの乱れとして表れている可能性があるのではないかと自身でも感じていた。

これまでの仕事やこれからの人生を見据え、より高いパフォーマンスを維持・向上させるためには、身体の不調やバランスの乱れを根本から改善することが必要だと考えるようになった。

今回の来院のきっかけとして、知人からカイロプラクティックであれば、薬に頼らずに身体の根本的な機能を整え、人間が本来もつ自然治癒力を高めることで、将来的な健康リスクを軽減できるという話を聞いて興味をもった。

将来「薬漬けの生活」になることは避けたいとの強い思いや今後の仕事の効率化や生活の質の向上を目指し、健康な身体づくりをしていきたいと思ったこと、知人からの紹介もあり、一度受けてみようと考え来院された。

初診の状態
  • 01

    腰部起立筋に過緊張

  • 02

    頸部の全体的な過緊張

  • 03

    右胸鎖乳突筋の過緊張

経過と内容

1週間後(2回目のアジャストメント)、自覚症状として特に辛さを感じることはなかったが、アジャストメントを受けた後は普段よりも寝付きが良くなり、睡眠の質が向上したと感じた。また、初回のアジャストメント後には胸椎周囲の浮腫感が軽減し、以前ざらついていた肌質も滑らかになり、腰部などと同じトーンへと変化していた。しかし、アジャストメント前には再び胸椎周辺の肌のざらつきが見られる状態であった。

その後、3週間後(4回目のアジャストメント)には、初回時と比較して睡眠の質が大幅に変化し、以前は夜中の2時や3時まで作業をしても眠くならなかったが、最近では22時を過ぎると強い眠気を感じるようになり、これまでにない感覚を体感するようになった。また、寝起きも昔から良いと感じていたが、現在はさらにスッキリと目覚めることができ、身体の軽さを実感するようになった。右PSIS下端とS2に浮腫感があったが、明らかな脚長差は認められず、仙腸関節の可動性があったため、S2Pのアジャストメントを選択した。今後の経過次第では、前弯カーブが減少しているため、右ASINの評価も視野に入れる予定である。

4週間〜約5週間後(6回目のアジャストメント)では、腰部や頸部の緊張が大幅に軽減し、肩の屈曲制限も解消され、可動域は正常範囲(180度)までスムーズに改善された。さらに約6週間後(8回目のアジャストメント)には、S2および上部頸椎(C1)にブレイクは確認されたものの、初回と比較してブレイクの幅は縮小し、S2の浮腫も著しく軽減していた。また、上部頸椎(C1)の可動性も向上し、肌質に関しても、これまでに感じていたざらつきが大幅に減少した。依然として肌荒れは確認できるものの、順調な変化がみられている。

10週間後(10回目のアジャストメント)には、期間が空いてしまったものの、アジャストメントの影響で自律神経のバランスが変化していることを改めて実感する機会となった。前回の施術後から2週間程度は、夜10時頃になると自然と眠気が訪れていたが、施術間隔が空くにつれて再び覚醒状態になることが増えてきた。これにより、アジャストメントの継続が交感神経と副交感神経のバランスに直接影響を与えていることを、より明確に体感できた。


考察

本症例は、「常に覚醒状態」であることを自覚していながらも、一般的な疲労感や倦怠感をほとんど感じないという特徴を持つ。これは、交感神経が過剰に優位になり、副交感神経の働きが抑制されている典型的な状態と考えられる。

交感神経の過活動は、ストレスホルモン(アドレナリンやコルチゾール)の分泌を促し、心拍数や血圧の上昇を引き起こす。実際に本症例では、健康診断で高血圧(上137/下75〜80)や不整脈を指摘されており、自律神経のバランスの乱れが心血管系にも影響を及ぼしていることが示唆される。
しかし、患者本人は「眠くならない」「疲れを感じない」といった状態を長年当たり前のものと認識しており、身体が本来のリズムを失っていることに気づいていなかった。

また、患者は19歳の時に交通事故を経験しており、頸椎(特にC1)や仙骨(S2)への外力が加わった可能性がある。頸椎上部(C1)のサブラクセーションは、脳幹を通る迷走神経(副交感神経)の機能低下を引き起こし、交感神経の過活動を助長する。さらに、仙骨(S2)のサブラクセーションは、仙髄神経を介した副交感神経の働きを阻害し、全身のリラックス機能を低下させる。これらの影響により、患者は長年にわたり「交感神経優位の覚醒状態」が持続し、睡眠の質や自律神経の調整機能に影響を受けていたと考えられる。

アジャストメントの経過においては、C1およびS2への調整後、患者は「寝付きが良くなった」「22時を過ぎると眠気を感じるようになった」といった変化を実感するようになった。これは、副交感神経の働きが回復し、交感神経優位の状態が緩和されたことを示唆している。また、施術期間中に肌質の変化や腰部・頸部の筋緊張の軽減がみられたことも、自律神経の正常化に伴う血流改善の結果と考えられる。

しかし、10回目のアジャストメントでは、施術間隔が空くことで再び「覚醒状態」が戻ってくる傾向が見られた。これは、交感神経の過活動が長年にわたって続いていたため、体がその状態を「通常」と認識してしまっていることを示唆する。つまり、長期間にわたり神経の適応が起こっていたため、定期的なアジャストメントを通じて正しい神経バランスを維持することが必要であると考えられる。

本症例は、交感神経が過剰に働き続けることで「疲労を感じにくいが、身体は限界に近い」という危険な状態に陥っていた典型例である。自覚症状が少ないため、問題の本質に気づくのが遅れがちであり、長期的には高血圧や心血管系の疾患リスクが高まる可能性があった。カイロプラクティックによる神経調整を行うことで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、睡眠の質や血圧の安定に繋がったことは、健康維持において非常に重要なポイントである。

今回の症例は、あちこちにアプローチせず、神経系に絞った施術の重要性を示す典型的な症例であり、同様の症状に対しても効果的な介入が可能であることを示唆している。
頸椎上部(C1)と仙骨(S2)のサブラクセーションに対するアジャストメントにより、交感神経の過活動が抑えられ、副交感神経の働きが回復することで、睡眠の質や血圧の安定、全身のリラックス機能の向上が見られた。

アジャストメントによってサブラクセーション(根本原因)が取り除かれ、神経伝達が正常化し、自然治癒力が最大限に発揮されることを裏付けた症例である。
これは、カイロプラクティックが自律神経のバランスを整え、薬に頼らず健康を維持するための根本的なアプローチとして有効であることを示している。今後も継続的な施術を行いながら、身体の本来の機能を取り戻し、より良い健康状態を維持できるようサポートしていくことが求められる。

菊地 雄介

執筆者塩川カイロプラクティック・埼玉カイロプラクティック 大宮Kソレイユ菊地 雄介

埼玉県熊谷市出身。スポーツインストラクターを専門的に学び、大手整体サロンに就職。副店長として施術と人材育成にも携わるが、本格的な施術で多くの方を健康に導きたいと思い独立。様々なセミナーを通じ探求する中で塩川カイロプラクティックに出会う。身体が劇的に変化していくのを目の当たりにし、この道を極めたいと考えてシオカワスクールに入校。本物のカイロプラクティックの可能性と奥深さに感動し「本物の技術を学び、より多くの人に伝えたい」という想いが強くなり、塩川カイロプラクティックでの勤務をきめた。カイロプラクティックの力で皆様の健康を全力でサポートします。

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