首の痛みだけでなく、脳梗塞後の歩行困難が解消した
数週間前に庭いじりをおこない、その3日後に左首が寝違いのような症状がわらわれはじめる。自宅にあった痛み止めのお薬を飲みながらやりすごすものの、痛みのため布団に入るのが10分もかかるようになり、起床するのも15分かかるほど症状は悪化しつづけていた。父親のつらい様子をみかねた娘さんから、当院を紹介されて来院する。
首がまわらない(左が向けない)
左首の痛み
左仙腸関節に浮腫
左頸部が筋緊張
初回に来院したときには、サブラクセーションにもとづいたつらい痛みを鎮痛薬でうやむやにしつづけたために、「首の動きの悪さ」や「骨盤の動きの悪さ」などもみられた。
また患者様のお話しをよくお聞きすると、50代の頃に発症した「脳梗塞の後遺症」による歩行困難も訴えておられたが、状態をよく見極めるほど体のバランスが乱れることでおこる「骨盤サブラクセーションにもとづいた歩行困難」であるような違和感を感じた。
初回のアジャストメントでは、首の可動域が改善したことによりつらい痛みがやわらいだ。また骨盤サブラクセーションが解消したことで、「足をひきずるような歩行」はすぐに解消したため本人も感動しておられた。
2周目(2回目のアジャストメント)では、首の可動域がさらに改善したことで痛みがやわらぎ、よく眠れるようになったことで痛み止めを服用しなくても安眠できるようになった。この時、骨盤サブラクセーションによる歩行困難は根本から解消していた。
3週目(3回目のアジャストメント)では、つらい痛みは根本から解消してぐっすりと眠れる日がつづき、精神的にもイライラする日がなくなった。
4週目(4回目のアジャストメント)では、初回のつらい健康問題はすべて消失したためにメンテナンス通院へと移行した。
5週目(5回目のアジャストメント)では、健康問題を感じることのない良いコンディションを維持できている。
自律神経には「交感神経(興奮する神経)」と「副交感神経(リラックスする神経)」の2種類があり、「環境の変化」にあわせて私たちの健康を維持するために、生まれてから命が終わるその時まで、常に生命を維持するためにはたらいている。
今回はこの副交感神経系である上部頸椎サブラクセーションにより、「交感神経が過剰にはたらきする神経バランス」になり、寝違いのようなつらい痛みだけでなく、不眠症や精神的にもイライラする日がつづいていた。また過去には、脊椎サブラクセーションを見極めずにおこなわれた、「乱雑な手技療法」をうけつづけていた悪影響から、上部頸椎や後頭骨にも影響がおよんでいた。
50代の頃に発症した「脳梗塞の後遺症」により、歩行をおこなうと「下肢をひきづるような歩き方」にもなっていたが、骨盤のアジャストメントにより大きく改善したことから、「脳梗塞の後遺症」との関係性は低いことが判明した。このことは本人も驚きを隠せない様子で、たいへん喜んでおられたのが印象的だった。過去にくり返しおきていた「ソ径部ヘルニア」なども、実はこの骨盤サブラクセーションによる影響があったものだと考えられる。
40代の頃に患ったことがある胆石症などは、副交感神経系サブラクセーションにより交感神経が過剰に興奮しつづけることで、甲状腺のはたらきが乱れてしまい血中カルシウム濃度が高くなりつづけて胆のうに「石が溜まってしまう体質」になっていた。
また脊椎サブラクセーションが長期間放置されつづけたことで、神経ネットワークをかいした脳と体がおこなう情報のやりとりにも悪影響がおよびつづけ、「健康を維持する力」や「病気を治す力」が低下してしまい、腎臓ガンを発症したと考察できる。
サブラクセーションをしっかりと見極めて、副交感神経系サブラクセーションにアプローチをしぼり、アジャストメントをおこなったことで早期回復につなげることができた。
執筆者まの鍼灸接骨治療院藤井 康徳
1986年、滋賀県生まれ。柔道整復師(ケガのスペシャリスト)、鍼灸師(東洋医学のスペシャリスト)、あん摩マッサージ指圧師(手技療法のスペシャリスト)など3つの国家資格を取得。日本カイロプラクティックリサーチ協会(JCRA)会員。2019年からシオカワスクールにてカイロプラクティックを学びはじめ、現在では「カイロプラクターの育成」や「カイロプラクティック業界の発展」のために精力的に尽力している。